響
前を歩く響がさり気なく
私の名前を呼ぶ.
晴香
小さくそう返す.
響
どうしたんだろ
いつも以上に真剣な顔して…
なんて考えていると
そのまま響は黙って
歩き出してしまった.
一瞬、告白かな?なんて
思った自分のバカに泣けてくる.
告白なんてありえない.
だって、私は響を恋愛対象にしてても
響は私を恋愛対象に
してくれた事なんて
1度もなかったから.
だから、私は必死にどんな時でも
幼馴染みを演じてきた.
少しでも、響と長く
一緒にいられるように…
いつもの様に二人揃って
教室に入っても
何か言われることなんて
なくなっていた.
みんなが、それを
当たり前だと思っているから.
だけど、それが
私の心を余計に辛くさせた.
…こんな想いするなら
冷やかされた方がマシだった.
気がつけば、放課後になっていた.
屋上で見たあの入道雲は
大量の雨雲を連れてきて
雨やら雷やらを降らせている.
響
ふと、少し先の昇降口から
聞こえてきた響の声.
” 一緒に入ってく?”
なんて、いつもの私なら
響に走り寄って言ってたと思う.
だけど、今日に限って
私の靴に折り畳み傘は
入ってなかった.
なんて、考えてたら…
女子
女子
女子
クラスメートの女子に
ちゃっかり傘を借りている.
胸が、どくんと嫌な音を立てる.
ほんとは、私が
借してるはずだったのに…
なんて焼きもちを焼くのは
みっともないよね.
ふいに、私の方を振り返った
響と目が合う.
なんで、こっちなんか向いたの?
早く、帰ってよ…
今の私を響に見せたくない.
こんな醜いところなんて.
響
響
そう言って、元気よく手を振って
私に背中を向けて歩き出す響.
あの背中に抱きつけたら…
どれだけ幸せなんだろう.
靴にまとわりつく泥が跳ね
前髪は束になり額に張り付いている.
地面も空も、私の心も制服も
何もかもが雨に濡らされて
びしょびしょだ.
あれから、仕方なく傘も差さずに
早足で家への道を急いだ.
少し前に見える
響の背中を見つめて、
足元をバシャバシャ言わせながら.
私の横を通り過ぎていく人たちはみな
不思議そうな、あるいは
好奇な目を私に隠すことなく
向けてきた.
途端、恥ずかしくなり
俯きがちに歩き出す.
雨に濡れた制服が
背中に張り付き出して気持ち悪い.
『じゃーね!また明日ね晴香!』
汚れたローファーを見つめながら
頭の中に響く響の声に
静かに涙をこぼす.
もしも、私が
響の彼女だったら…
私は、自分からあの傘に
入る事が出来たのかな?
なーんて、
考えちゃうのはズルいよね.
そんな事考えたりするだけで
涙が出てきて胸が苦しい.
心がズキズキと痛い.
キューって
胸が締め付けられて切ない.
片想いは楽しいって、幸せだって
誰かは言ってたけど…
じゃあなんで
こんなに心の中が切なくなって
涙が止まらなくなるの?
どうしてこんなに
私の恋は辛いんだろう?
❤️きたら続き出します!!🙌 読んでくれて📖 ありがとです!!🥀 絶賛片想い中の人はいますか?? ぜひ他のも 見てみてください!!😊
コメント
2件
早く続きがみたい!!
とてもよかったです! 続きが気になります! 応援してます!