唐突に制服のスカートや足に
掛かる水しぶき.
思わず何事かと視線を上げてみれば
目の前は横断歩道.
どうやら、前の道路を走っていった
トラックが道路端の
アスファルトの溝に溜まった雨水を
跳ねたみたいだ.
…危なかった、
そう心の中で小さく呟く.
もしも、私があのまま
足を踏み出していたら間違いなく
道路を行き交う車達に
轢き殺されていただろう.
目の前に見える歩行者信号機は
赤だったのだから.
涙で少し歪んだ視界の中
横断歩道の向こう側に見えた人影が
響であるとわかるのに、
1秒もいらなかった.
その愛おしいくらい
大好きな人の背中を眺めながら…
いつまでも届く事のない想いを
心の中でそっと包める.
ねえ、響.
私ね、ずっと響が好きなんだ.
子供みたいに顔を
くしゃくしゃにして笑うところも
ちょっとバカなところも
拗ねると可愛いところも
全部響の全部が大好きなんだ.
……知らなかったでしょ?
いいよ、そのままで.
だって、変に意識されて
距離が遠くなっちゃうより
どんなに辛くても
今の関係を壊したくないから.
だから、この叶わない想いを
そっとどしゃぶりの世界に
流したんだ.
晴香
だけど、そんな私の想いは
彼に届くはずなく
いとも儚く車の波に
飲み込まれて消えた.
その時、背中を向けていた
響が振り返った.
一瞬、夢かと思った.
だけど今も尚、絡み合う視線に
やっと現実だとわからされる.
思わぬ奇跡と驚きに心が
追いつかずいつしか
涙は止まっていた.
私の想いは
雨に流されたはずなのに…
どうして響は私を
まっすぐ見つめてくるの?
響
横断歩道の向こうから
響が何かを必死に叫んでる.
幻聴かな?
一瞬だけ響が好きだって
言ってるように聞こえた…
…はやく、はやく
信号変わって!!
早鐘を打つ心臓の音を聞きながら
そう心の中で願う.
その時、信号機が
青く色を変えた.
瞬間、私は
響のこと目掛けて走り出した.
なんでか、止まったばかりの涙が
また瞳から溢れ出す.
なんで響のためならこんなに
一生懸命になれるんだろ?
…好きだからかな?
恋してるからだよね.
なんか、急に心がスッと軽くなって…
もう私辛くないよ.
なんでだろ?わかんないや.
…なのに、私は泣いてるの.
涙が止まらない.
ねえ、どうして?
❤️きたら続き出します!!🙌 読んでくれて ありがとです!!😊 ぜひ他のも 見てみてください!!❇️ 今度、質問コーナーを 実施しようと考えてるので その時はばんばんして下さい!!✨
コメント
3件
今回はなんか感動ですね 泣けてくる
今回も面白かったです! 応援してます