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こんにちはっ!

…え?

病院の屋上

不思議そうな顔をする君を、僕は

今日からはここで入院かぁ…

病院ずっところころ変えて…

なんか、やだなぁ…

病院をころころ変えている元凶は僕の病気

人魚姫病(にんぎょひめびょう)

言うところの奇病ってやつ

お話の人魚姫のように声が出なくなって、足から鱗が出てくる

涙は真珠で、病気が進むと勝手に海へと足が進んで身を投げる

初めて症状が出たのは中学校3年生

(おかあさん…)

!?

寝て起きたら声が出なかった

すぐ病院に行くと気づいたら鱗も出ていた

医師

これは…人魚姫病ですね

医師

症状は今黄さんが出ているもの、そして

医師

涙が真珠になるということです

医師

今まで人魚姫病を患った人のカルテを見ると、「真実の愛の口付け」が最も有効的な治療法のようです

それから色々な病院に入院したけれど

どこも経験が少なく、僕の症状が良くなることはなかった

そして、一番奇病の経験があるといわれているこの病院に入院することになった

でもここって…あの人が入院してた病院…

このまま消えちゃいたいなぁ…

!?

なんで…いるの?

そんなことより!声かけないとやばいかも…!?

ええと、紙とペン…

こんにちはっ!

…え?

やっぱり…赤だ!

でもなんで…

タヒんだはずじゃ…?

こ、こんにちは…?

パァァッ✨

お名前なんて言うんですか?

あ、赤…

でもこの感じ、覚えてなさそう…

そうだよね、会ったの小さい頃だし

僕は黄!よろしくね

えぇと…

僕、今日からここで入院することになったんです

そ、そうなんだ…

じゃあ俺…行くね

うん!またね!

病室の名前、同姓同名なだけだと思ってたけど…

嬉しい…!

ニコニコ

………

僕は嬉しいけど…

お、怒ってる…?

病室、同じだったんですね

…絶対知ってたでしょ

そんなことないです!

まぁ「赤」って名前聞いてもしかしたらとは思ったけど…

本当に本物の赤だとは思わなかった

赤の症状が出た一年後

タヒんだって聞いたから

………

あ…なんか話題…

僕、ちゃんとした入院なんて初めてだから緊張します…

そうだ、なんで入院することになったの?

あ…言ってもいいのかな…

なんていうんだろ…

奇病?にかかったみたいで…

ピクッ

奇病…?

病名は…?

人魚姫病です

人魚姫病…?

人魚姫病は、お話の人魚姫のように声が出なくなります

そして、足から徐々に鱗が出てきて

最終的には足が勝手に動いて海に身を投げてタヒにます

……ごめん、変なこと聞いて

ハッ!

そんなことないです!

代わりに、赤の病気も聞いていいですか?

ぁ…

ほんとは知ってる

………

病名も、赤が言いたくないってことも

でも…なんで僕にタヒんだって話がきたのか、理由を知りたい

そのためにも、まずは赤の口から直接病状を聞きたい

でも…やっぱり無理そう

無理して話さなくてもいいですよ?

僕が勝手に話したんで

俺は、吐石病

宝石を吐く病気

ただ、それだけ

話してくれた…!

僕ね、まだ症状があって

涙が真珠なんです!

似てますね!

宝石かぁ…綺麗なんでしょうね

お世辞なんかじゃない

心からそう思ってるけど

すごく不安そうな顔をしてる…

それに、奇病持ちの人が他にもいるなんて

治療法はあるんですか?

教えて貰えないんだ…

はやく…治って欲しいのに

やっと見えた、赤の本心

そっか

僕はね、「真実の愛の口付け」だって

どこまでも人魚姫みたい

しかも、自分からしても意味がない

相手からの愛がこもっている口付けしか効かないらしい

病院から出れないのにどうやって僕を愛する人が出てくるの?

看護師

赤さ〜ん

看護師

今大丈夫ですか?

えっ?あ、はい

看護師

午前中の石の回収に来ました

すみません…

はい、これです

看護師

ありがとうございます

看護師

それと、担当医からお話があるそうなので診察室へ来てください

わかりました…

いってらっしゃい

…うん

…さてと

赤の病気が発覚したのが中学校一年生のとき

僕に赤がタヒんだって話が来たのは中学校二年生のとき

そういえば…赤の『親友』なら何か知ってるかも…

僕が病気になったのが次の日の朝

赤の病気が発覚してからの一年間に、なにかあったってことかな…

突然連絡すみません

赤のご友人…ですよね

…誰?

僕、黄って言います

赤のことについて聞きたくて連絡しました

…なにも喋るようなことはない

なんでですか?

まず、俺はあいつの友達なんかじゃない

あいつも俺のこと友達なんて思ってないだろうし

そんな…

なにかあったんですか?

しつこい!

ブロックするぞ?!

すみません…

失礼します

どうして…?

友達じゃない?

なんで…

あの人のせいで赤は苦しんでいたのに

まさか…タヒんだって話をしたのも、あの人…?

あの人のせいで、僕は…

病気になったってこと、?

最っ低…

あと気になってた事と言ったら…

吐石病の治療法…か

調べたら出てくるか…な…

…っ!

嘘…でしょ?

『大切な人を○すこと』…

そんなの…

心優しい赤に…出来るわけがない…

赤を治す方法はこれしかないの…?

そんな…

コロコロッ

ガラガラガラッ

…君、険しい顔してどうしたの?

ビクゥッ

携帯見られたらまずい…

あ…びっくりさせちゃった?

ううん!大丈夫!

それよりも

僕、黄って名前なんですけど

え?

名前で呼んでください!

いっつも「君」って

ご…ごめん…

そういえば、お話ってなんだったんですか?

まさか、治療法を赤に言ったり…

目眩がないか〜とか…?

へぇ〜

なにその興味ない感じ

そんなことないですよ?

僕それどころじゃないから!

もしも赤が治療法を知ったら…

治療法については?

ここが一番大事

教えてもらってない

そっか

よかった

この感情が正しいのかはわからないけど、そう感じた

赤のことを考えると少し申し訳ない

あれ…ここは…

っ!?

声が…出る!?

でも僕、病院にいたはずじゃ…

ここは…昔よく遊んでた公園…?

それに…

僕が…目の前にいる…

黄くん〜!

赤!?

小さ…じゃなくて、幼い…?

ねぇねぇ!かくれんぼしよぉっ!

過去の黄

うん!いいよ〜!

ちょ、ちょっと…!

声は届いていない

というか、聞こえて無い…?

………

赤とは、幼馴染だった

でも、中学に上がるときには話すことも少なくなった

僕は、沢山話したかったんだけどな

へっ…?

教室…?

さっきまでは公園に…

過去の黄

…赤…ボソッ

あ…

中2の僕だ

赤のことを常に考えてた時

なぁ、隣のクラスの赤ってやつ

タヒんだらしいぞコソッ

過去の黄

え…?

え、あの入院してたやつ?

多分

ーーが言ってた

過去の黄

…赤が…タヒんだ…?

………

この頃、既に僕は赤のことが

好きだった

人魚姫病の原因は

『絶対に叶わない恋をしてしまったとき』

「タヒんだ」なんて言われたら、

そりゃ叶わないよね…

パチッ

(あれ…?)

あ…

声が、出ない

夢…だったのか

深夜3時…

もう一回寝よ…

赤が、いない

理由は知ってる

赤の容態が急変して集中治療室にいるから

…赤、大丈夫かな

ガラガラッ

赤…っ!?

失礼します…

誰!?!?

えと…黄…?

そうですが、誰ですか?

え、怖い…

はぁ

俺!わかんない?

分かんないから聞いてるんだけど…

お前が突然連絡した桃だよ!

桃…桃…

!!!!

よくもまぁここに来ることが出来ましたね

それはまぁ…悪かったって

今更なんの用ですか?

赤の見舞いに来た

は???

友達ではないのでは?

それ…は…

まぁいいですけど、残念ながらしばらくはいないですよ

そうか…

赤には、俺が来たこと、言わないでくれるか?

この人の言う事を聞くのは気が引けますが

わかりました

赤には言いません

ありがとな

じゃ、

ガラガラッピシャリ

ほんとに何しに来たんだろう

…はぁ

赤がいないって、寂しいな

もしかしたら、もう二度と…

駄目だ、そんなこと考えたら

赤の帰りを、待とう

赤が戻ってきたら、絶対に言う

『好きだよ』って

朝、起きたら隣には赤が居た

でも、前の赤じゃない

赤!大丈夫ですか!?

心配したんですよ!?

うん…なんとか

赤、目が

黄くん

俺、もう動けないし

すぐタヒんじゃうんだって

え?

タヒぬ?赤が?

嘘だ…そんな…

別に、タヒぬのはいいんだけどね

もともとタヒにたかった…し…

ポロポロ

コロコロッ

黄くん!?

そんなこと、嘘でも言わないで

どうしよう…なにも考えられない

…ごめん

……ほんとは、タヒにたくなんてない…

うん

前は、ずっと治らないんだったらタヒにたいって思ってた

うん

みんなから突き放されるより

タヒんだほうがマシだって

うん、辛かったね

そうやって声をかけたいのに…

僕は声が出ない…

なんで…っ?

でも…

俺、大切な人って思える人が出来たんだ

初めて話しかけてきたときの笑顔が、とっても綺麗で

それにその人が気持ち悪がらずに俺に話しかけてくれるから

どんどん惹かれていった

だから…タヒにたくなんてなかった

…そっか

それなら僕はこの気持ちを赤に伝えることは出来ないな…

でも…気付くのが遅すぎたみたい

お願いだから、話を続けないで

僕の恋が、一生叶わないものになっちゃうから

でも……

その大切な人には、伝えなくていいの?

俺、黄くんのことが好きだよ

チュ

!?!?

なん…で

大切な人って……

黄くんにとってはわからないけど

俺にとってこの気持ちは真実の愛だよ

足の鱗が…なくなって…

本当に、僕のことが…?

『鱗が…』

『えっ?』

そんな声をしていたんだね

綺麗だよ

赤のほうが…何千倍も綺麗だよ…

俺さ、黄くんが俺の病気の治療法調べてたの、知ってるんだ

だから…

俺、調べたんだ

え…?

そんな…っ!

『大切な人を○すこと』でしょ?

っ…

俺にとっての大切な人は黄くんだから

そんなこと、できるわけない

せめて、俺の分まで生きて

そんな…

突然そんなこと言われても…!

ホントだよねw

俺が、治してあげたかったんだ

黄くんの病気を

そんなこと言わないで…

言いたいこと…抑えられなくなっちゃうから…!

僕も…

僕も、赤の病気を治してあげたかったし、

好きだよ、ずっと

ねぇ、お願い、逝かないで

俺だって…逝きたくないよ…

でも…もう手遅れだよ

手遅れなことなんか僕も分かってる

最期に見たいのは、黄くんの笑顔なんだけどなぁ

本当に、お別れなの…?

ポロポロ

見せてくれる?

笑うから、逝かないで

ニコッ

ほら…!

ありがとうニコッ

赤は、灰となって朽ちていった

僕の目の前で

残酷だなぁ…

灰が、すごくキラキラしてる

…綺麗

赤…ポロポロ

涙が…温かい

きっと赤は、幼い頃の僕との記憶は

一つも覚えてなかったと思う

でも、それでよかった

僕を病気にしたのも、治したのも

好きになったのも

赤で、よかった…

END

逝きたくて生きたかった

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