この作品はいかがでしたか?
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コメント
2件
最高過ぎませんか...! ( ゚ཫ ゚)ゴフッ
クロメアやんけんwいい。 ´ཫ`)
nightmare
月夜を見上げながら、先輩はベランダにて不意にそんな言葉を俺に投げかけた。
その言葉が不意打ちすぎて、俺は驚いた形相を浮かべながら咄嗟に先輩の顔を見る。
先輩は、焦りに焦っている俺なんて気にもとめず、すました顔をしながらベランダの柵に頬杖をついて寄りかかっている。
『月が綺麗ですね。』
一見、その言葉は何の変哲もないただの言葉であるように聞こえるが、そうではない。
『月が綺麗ですね。』この言葉の招待は、I love you.の意なのである。
I love you.を日本語に直すと愛してるという意味になるが、夏目漱石が、「そんな言葉は日本人は使わない。月が綺麗ですねとでも訳せばいいのだ」というエピソードからうまれた言葉だという。
先輩は…その事を知っていて、わざと俺の事を揶揄ったのだ。
Cross
少し低い声で、俺は先輩に向けて注意をした。
対する先輩は、とぼけるかのようにして少し肩を竦める。
…先輩はいつもこうだ。
まあ…先輩がからかい野郎と言っても誰もが頷くほどおかしくない事なのだが…。
この人は、いや、この骨は何かと俺に対して些細な事で揶揄ってくるのだ。
だからまた今まで同様に今も揶揄われていると思うと、余計に腹が立つ。
そういう面でもこの骨は性格が悪いと思う。本当に。
…こっちの気も知らずに揶揄ってくるし。
nightmare
Cross
nightmare
nightmare
じゃあ何で敬語でさぞもうひとつの意味であるかのような言い回ししたんだよこの性悪骨が…!
という本音は心の中にしまって、俺は苛立ちを誤魔化しながら月夜を見上げた。
雲1つかかっていない綺麗な月は、辺りを照らす1つの光のように眩く光っている。
嗚呼。先輩もあの月のように綺麗で良い性格な人だったらなぁとここぞとばかり思う。
でも何故か放っておけなくて。
けらけらと笑っている姿が可愛いと思ってしまって。
未だに想いを寄せている自分がいる。
さぞ自分は情けないな。俺はそう思った。
nightmare
おもむろに先輩が俺の名を呼ぶ。
俺は、返事をせずに黙って先輩の方を見た。
横顔。というだけなのに、何故か俺の目には、横を向いている先輩の顔が秀麗に映ってしまう。
無意識にほんの少し頬が赤くなった。
nightmare
先輩はそう言いながら、月夜を見上げた。
だが、自分は月夜を見ているだけだと取り繕おうとしたのか、それは顔だけで、目線は下を向いている。
そんな先輩を見て、俺はクスリと笑った。
こういう時の先輩は、取り繕うことが下手だ。
Cross
先輩…否。
nightmareは俺が珍しく自身の事を名前で呼んできたのでビックリしたらしく、少し驚いた表情をしながら俺の事を見た。
そんなnightmareの頬に手を添え、俺は優しく微笑む。
Cross
そう言って俺は、"彼に"キスをした。