兄さんの特別

急に始まるよぉ

今日、俺は好きな人に告白するんだ！

付き合えるといいなぁ！

好きな人は過保護だ。

でも、俺を見てくれる。

ﾄﾞﾝｯ

ﾄﾞｻｯ

こんな光景、思ってもみなかった。

みんなに拒絶されるなんて···せっかく、兄さんたちの特別になれたのに。

また···最初からやり直しだ。

ﾊﾞｼｯ

同性が好きだからって何が悪いの？

恋愛は、自由なんじゃないの？

ぉれ···失敗しちゃった？

みんな、居なくなった。

俺が、変なこと言ったから。

好きな人に、好きって言っちゃったから。

やっぱり同性を好きになるのはいけないこと、なんだ。

それから瞬く間に学校中に俺の噂が広まった。

もしかしたら、兄さんたちがバラしたのかも。

しん、じてたのに。

部活内でも、俺に向ける視線が痛かった。

仲間に入れてもらえなくなった。

話を聞いてもらえなくなった。

俺が、ホモだから。

ﾄﾝｯ

ﾊﾟｼｯ

ﾀｯ

ここには居られなかった。

拒絶された。

嫌われた。

愛してくれない。

特別扱いをしてくれない。

また、一人ぼっちだ。

ﾀｯ

兄さん···っ。

きらわれちゃった。

どうしよう。

もう、どこにもいれない。

どこにもいたくない。

しんじゃいたい。

それから俺はみんなとすごく距離を取った。

監督とも、先生とも、父さんとも、もちろんみんなとも。

静かに、誰にも気付かれないように。

そうだった。今日、約束してるんだった。

柊翔はあの事件後、償いをした。

反省をして、納得したから暇あればのこうやって会いに行っている。

もう、死のう。

あの時、柊翔に言われた言葉は本当だったんだ。

ホモは、ゲイは嫌われる。

みんなから嫌われる。

俺なんか、死ねば良かったんだ。

柊翔、喜んでくれるよね。

ｷｷｰｰｰｰｰｯ

ﾊﾞﾝｯ

やっと、死ねる。

やっと···消えれる。

柊翔の前から···兄さんの前から···蛍の前から···。

しゅうとに、ぜぇんぶあげる。

おれはきもちわるいから。

きらわれてるから。

しゅうとからうばったから。

じゃましたから。

ぜんぶ、ぜんぶおれがわるいんだ。

もういらない。

なにもいらない。

どこかに、いかせて？

どこへでもいいよ。

じごくでも、てんごくでも、どこかしらないばしょでもいいから。

なにもいらないよ。

ぜんぶ、いらないよ。

おれのなかみは、もうからっぽだよ。

ぁあ···つかれた、なぁ。

次回 生まれ変わり編