すち君とおれは幼馴染みやった。家も近いし、年齢も同い年やし、警察になりたいという夢も一緒に頑張ってきた。おれとすち君は夢を叶えて、警察になったし、これからも輝かしい未来が待っていると信じて疑わなかった。…あの日までは。
その日、おれとすち君は自主練で遅くまで残っていた。かなり夜遅くまで残っていたため、二人で“ちょっと不気味だね”なんて会話しながら帰路を急いだ。その道中、鬼に出会ってしまった。
みこと
冷静な状況判断が出来なかった。鬼退治できる力も持ち合わせていなかった。おれは―――。
すち
みこと
すぐに鬼に捕まったすち君は首を噛まれる。まずい、このままじゃ…!
生憎実戦経験はない。それでも、すち君を助けるためなら…!
…実はその後のことはよく覚えてない。とにかく無我夢中で、考える暇なんてなかった。絶対に噛まれないように攻撃を防いで、ただただその時を待った。殺さなくてもいい、この場から居なくなってくれれば…!
攻防の途中、すち君がおれへ刀を投げてくれたのが見えた。片方の刀を鬼の顔面すれすれで横に突き刺して、すち君の刀を心臓に突き刺そうとした時、腕を引かれ、刀に押し付けられた。
みこと
それでも絶対にすち君の刀は手放さなかった。なんとか心臓に刀を突き刺して、鬼が動かなくなったのを確認して、おれはすち君に駆け寄る。
みこと
すち
おれはすち君を担いで宿舎まで戻る。
すち
みこと
治療のおかげですち君は一命をとりとめたけど、そう長く人ではいられない。おれはありとあらゆる文献を読み漁って、いろんな治療法を試した。…闇商人なんかとも取り引きをした。その文献に、気になる表記があった。
みこと
正直確証がないけど、確証がないのなんて今更だ。おれは自分の指を切って、すち君の首筋に注いだ。
おれは、すち君のことが好きやけど…すち君がおれを好きじゃなきゃ、意味がないんよな…。
そんな想いをかがげた次の日、すち君はすっかり全快していた。鬼の予兆も消えており、完全に人間に見えた。
すち
いるま
すち
にわかには信じがたい…。すちが鬼に噛まれたことがある、と言っても…。
いるま
すち
すちはネクタイを解いて、ブラウスのボタンを外す。すちの首筋にはくっきりと噛み跡が残っている。
…信じるしか、ないか…。
みこと
いるま
すち
みこと
いるま
みこと
すち
いるま
今日の見回りは俺とすちだった為、気になっていたことを聞いてみた。本当はみことに聞きたかったけど、今日はあの後ずっと3人で行動してたし、気にしたまま過ごすのもモヤモヤするし…。
すち
いるま
てっきり付き合ってるものだと思っていた。ていうか、両思いなんだから付き合ってない方がおかしいだろ…。
すち
いるま
すち
いるま
俺の質問にすちは困ったような笑みを浮かべた。
すち