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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

すち君とおれは幼馴染みやった。家も近いし、年齢も同い年やし、警察になりたいという夢も一緒に頑張ってきた。おれとすち君は夢を叶えて、警察になったし、これからも輝かしい未来が待っていると信じて疑わなかった。…あの日までは。

その日、おれとすち君は自主練で遅くまで残っていた。かなり夜遅くまで残っていたため、二人で“ちょっと不気味だね”なんて会話しながら帰路を急いだ。その道中、鬼に出会ってしまった。

みこと

すち君、逃げ―――。

冷静な状況判断が出来なかった。鬼退治できる力も持ち合わせていなかった。おれは―――。

すち

い”っ…!?

みこと

すち君!!

すぐに鬼に捕まったすち君は首を噛まれる。まずい、このままじゃ…!

生憎実戦経験はない。それでも、すち君を助けるためなら…!

…実はその後のことはよく覚えてない。とにかく無我夢中で、考える暇なんてなかった。絶対に噛まれないように攻撃を防いで、ただただその時を待った。殺さなくてもいい、この場から居なくなってくれれば…!

攻防の途中、すち君がおれへ刀を投げてくれたのが見えた。片方の刀を鬼の顔面すれすれで横に突き刺して、すち君の刀を心臓に突き刺そうとした時、腕を引かれ、刀に押し付けられた。

みこと

っつぅ…!?

それでも絶対にすち君の刀は手放さなかった。なんとか心臓に刀を突き刺して、鬼が動かなくなったのを確認して、おれはすち君に駆け寄る。

みこと

すち君…!

すち

みこ、ちゃん…。

おれはすち君を担いで宿舎まで戻る。

すち

みこちゃん、オレのことはほっといて…。オレ、鬼に噛まれちゃったんだよ…?もう…。

みこと

嫌や!おれはすち君を見捨てへん!絶対に、すち君を助ける…!

治療のおかげですち君は一命をとりとめたけど、そう長く人ではいられない。おれはありとあらゆる文献を読み漁って、いろんな治療法を試した。…闇商人なんかとも取り引きをした。その文献に、気になる表記があった。

みこと

…想い人の血を、鬼に噛まれた部分に注ぐ…?

正直確証がないけど、確証がないのなんて今更だ。おれは自分の指を切って、すち君の首筋に注いだ。

おれは、すち君のことが好きやけど…すち君がおれを好きじゃなきゃ、意味がないんよな…。

そんな想いをかがげた次の日、すち君はすっかり全快していた。鬼の予兆も消えており、完全に人間に見えた。

すち

ありがとう、みこちゃん。どんな治療法を試したのかわからないけど…みこちゃんのおかげで助かったよ。

いるま

…じゃあ、すちは一緒に暮らすより前に鬼噛まれてて…それなのに、今人間として生きてるのか…?

すち

うん。信じてもらえないかもしれないけど、オレに今鬼としての予兆はないよ。人を襲おうとか考えたことはないし…というか、だったら此処に居られないと思うんだよね。

にわかには信じがたい…。すちが鬼に噛まれたことがある、と言っても…。

いるま

…噛み跡は?

すち

その話になるよねぇ。見せたら信用してくれるってことかな。

すちはネクタイを解いて、ブラウスのボタンを外す。すちの首筋にはくっきりと噛み跡が残っている。

…信じるしか、ないか…。

みこと

とはいえ、この話はすち君が噛まれてから三日以内の話。らんらんはもう2週間は経っとるやろうし…らんらんの想い人がいるま君とも限らん。本当にあの治療法が効いたのかもわからん…。不確定要素だらけや。

いるま

…それでも、可能性がゼロじゃないなら俺は試したい。…LANを、人間に戻せるなら…LANを救えるなら…。

すち

…いるまちゃんがそこまで言うならオレも手伝うよ。

みこと

そうやね。おれもらんらんに戻ってきてほしいし…。

いるま

…ありがとな、みこと、すち。

みこと

お礼を言うには早いで、いるま君!

すち

うん、らんらんを助けた後まで取っておいて〜。

いるま

みこととすちって付き合ってんの?

今日の見回りは俺とすちだった為、気になっていたことを聞いてみた。本当はみことに聞きたかったけど、今日はあの後ずっと3人で行動してたし、気にしたまま過ごすのもモヤモヤするし…。

すち

えっ。…まあ、あの話聞いた後じゃそう思うよね…。…でも、付き合ってないよ。

いるま

え?お前ら両思いなんじゃないの…?

てっきり付き合ってるものだと思っていた。ていうか、両思いなんだから付き合ってない方がおかしいだろ…。

すち

…あの頃から気持ちが変わってなければ、両思いだと思うよ。でも、直接告白したわけじゃないから。…それに…仮にみこちゃんから告白されて、オレがはいって返答したら、気を遣われてると思われるんじゃないかなって…。

いるま

…すちから告白すればいいんじゃねぇの?

すち

…オレは、みこちゃんの未来を狭めたくはないかな…。

いるま

同性同士だから?

俺の質問にすちは困ったような笑みを浮かべた。

すち

この仕事をしている以上、難しいだろうけど…。…みこちゃんには、平和で平穏な日常を送ってほしいんだ。

ムゲン×ロクジンカクメイ 曲パロ

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