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テラーノベル(Teller Novel)

 

行ってきます

今日もいつもと何も変わらない

まだ誰もいない通学路を歩いて

学校へ向かう

時刻はまだ7時で両親さえ起きていない時間

初めの方は疑問を感じていたのに

最近ではそれを当たり前として

受け入れてしまっている自分がいる

時々通り過ぎる車を眺めては

今飛び出したら死ねるかな

なんてことばかり考える毎日

誰かのために生きるなんて

考えてみればおかしな話

せっかく生きているのに

何で自分の人生をかけてまで

両親の言う通りにするのか

昔の自分に聞けば

何かわかったかもしれないけど

もう今はどうしてだか覚えていないし

思い出したくもないんだろう

だけどそんな自分でも

今の自分じゃ現状を

変えることすら出来ないってことはわかる

楽しいとか嬉しいって感情を

とっくに捨ててしまったからに

満足のいく人生を築き上げることは出来ない

それなら親の言う通りに生きて

少しでも誰かの心を満たしてあげたい

…本心じゃないけど

こうやって偽善者ぶってないと

自分を見失ってしまう気がした

高校は一駅先で

家からはそこまで離れていない

だけど定期が欲しかったから

電車通学を選んだ

朝早い時間だから

ほぼ毎日通勤ラッシュに出会している

だけど同じ学校の生徒とは

会うことがないから

朝から自分を偽る必要がない

その点は朝早く起きていてよかったなと思う

今日は委員会の仕事がないから

教室で勉強をする

家でも勉強

学校でも勉強って

両親は一体自分に何をさせたいんだろ

大して自分に興味もないくせに

世間体ばっかり気にして

ゆさんの気持ちなんて考えたことないんだろうな

周りはみんな成長してるはずなのに

自分だけ昔から何も変わってない

両親の言いなりになって

優等生でいる生活

小学生の頃からずっとそんなで

自分はこの人生で一体何を学んだんだろ

ふと考えるけど

答えが出ることはきっとない

このまま何も変わらないまま

大人になって生きていくぐらいなら

最低限の自分を保った状態で死にたい

…いや

きっと死にたいわけじゃないよね

生きていくのが辛いから

生きるのをやめたい

でもそのためには死ぬしかない

生きるか死ぬかの二択なのに

それすらも

自分の意思で選択できない

数年前から

考えてはいるんだけど

いざとなるとなかなか

実行に移すのが難しい

死んでしまったら

もう何も感じないはずなのに

死ぬ間際に後悔するのが嫌だから

最後の一歩を踏み出せないでいる

もうここまできたら

誰でもいいから

背中を押して欲しい

こんなつまらない人間の

物語の1ページにすらならない

くだらない人生を

早く終わらせて欲しい

そうやって願ってみるけど

口に出さないと

何も伝わらない

生きていくって

何でこんなにも大変なんだろ

神様がいるんだったら

もう少し楽になれるように

ゆさんの人生を操ってくれないかな

塾がないから今日だけは

少し教室に残ることにした

勉強…は少し飽きたから

ちょっとだけ考え事でもしよう

って思ったけど

朝から色々考えすぎて

少し頭が痛いや

やることがないけど

家には帰りたくないから

適当にスマホで時間を潰す

ニュースでは芸能人の不祥事や

所謂悪いニュースが多く報道されていた

そう考えてみると

改めて自分の周りは

平和なんだなと思った

正直芸能界の話とかは

全然興味がない

だけど一つだけ

目を引かれる記事があった

 

家出少年、正体は高校生アイドル…

内容も特に変わったものじゃない

すごい人気の高校生アイドルが

何故か急に行方不明になった事件らしい

友人の話を聞いてみたところ

家出だってことが判明したって書いてある

特別変わった内容じゃないはずなのに

何故かどんどん記事を読み進めた

 

…そいつもしかして友達?

 

えっ…!?

突然後ろから声をかけられ

振り返ると人が立っていた

 

え、あ、えっと誰ですか?

 

れるって呼んで

そう言った後に

れる…さん?は

黙ってこっちを見つめてきた

 

あ、自分のことはゆうって呼んでください

 

ゆう…くん、そいつと友達なん?

そいつってもしかしなくても

この高校生アイドルだよね…?

 

いや、全然知らない人…です

 

そいつ、こえって言うんやけどさ

 

もしどっかで見つけたら教えて

 

友達なんですか?

 

そんな感じ

れるさんはさっきから

ずっと真顔で驚くことすらない

友達が見つからなかったら

少しは落ち込むものじゃないのかな?

 

…ゆうくんって

 

当たり前かもやけど

 

1年3組よな?

 

そうです

いやまあ普通に考えて

違ったらここの席に座ってないんだよね

 

れる4組

 

同い年やから敬語使わんでいいよ

 

わ、わかった…?

 

んははっ、何で疑問系なん?

 

あ、笑った…

 

は?

 

…あ、え、いやちがツ

 

いや怒ったわけじゃないんよ!

 

けどなんか、こんなこと言われたの初めて…w

さっきから笑わないなぁとか考えてたから

つい声に出してしまった

だけどなんだか…

 

…ゆうくんはさ、れるのさっきの顔見て

 

笑ってるって思ってくれたんよな?

 

笑ってるというか…

 

笑顔だなとは思ったよ

 

そっか

何となく

気まずい空気がながれる

 

じゃあれるもう帰るわ

 

ゆうくんも遅くならんうちに帰りや

 

うん

 

気をつけてね

 

またそいつのこと、なんか分かったら

 

教えてな

 

じゃ、ばいばい

 

またね

話してみたら結構

陽気な人だったな

ゆさんとは違うっていうか

結構正反対なタイプかも

だけど少し

何となくだけど

ゆさんと似てるなって

思う部分があった

 

…ゆさんもそろそろ帰ろ

あんまり遅くなると

怒られちゃうかもしれないしね

それに塾がないなら

家で勉強しなきゃだし

 

学生ってのも楽じゃないなぁ…

だけどゆさんは

"優等生"だから

勉強ぐらい家でもするよ

どうしてだかわからないけど

いつもなら重い家への足取りが

今日は少し軽く感じた

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