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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第32話『雨音の向こう』
午前十時過ぎ、薄暗い雲が空を覆い始めていた。
らんは、キッチンの窓を少しだけ開けて、外の空気を入れた。
湿った風と、どこか遠くで降り始めた雨の匂いが混ざり合っている。
らん
ポツ、ポツ、とアスファルトを打つ音が、徐々に密度を増していく。
いるまは今日は一日仕事部屋にこもる予定で、朝食後からずっとドアを閉めきったままだ。
らんはソファに腰を落とし、暇つぶしに近所の小さな雑貨屋まで出かけることにした。
らん
傘を差し、ゆっくりと歩く。
雨脚はまだ弱く、灰色の空の下で街全体が少しぼんやりとした輪郭を帯びている。
足元を流れる雨水の中で、小さな泡がはじけては消えていった。
雑貨屋に入ると、ベルの軽い音が鳴る。
店内は湿気を避けるためか、ほんのりと涼しい。
色とりどりのマグカップ、便箋、手作り風のアクセサリー……その中に、ふと目を引くものがあった。
――青い、透明なガラス玉の付いたキーホルダー。
らん
見た瞬間、視界がぐらりと揺れた。
透明な玉の中には、小さく白いしずくの模様が刻まれている。
それを見つめると、耳の奥にざらざらとした雑音が走った。
ザザ……ザ……。
同時に、鋭い痛みがこめかみを突き刺す。
呼吸が浅くなり、膝がわずかに震えた。
声
声
ぼやけた声が頭の中に滲み出す。
少年のような柔らかい声。
それが誰のものか、あと少しで掴めそうだった。
らん
らんは反射的に目をぎゅっと閉じた。
すると次の瞬間、暗闇の中にもう一人の自分が立っていた。
輪郭がぼやけ、笑みとも冷笑ともつかない表情を浮かべている。
らん?
声は淡々としていたが、その奥に硬い圧があった。
らん?
らん?
らん
らん
らん?
らん?
らん?
暗闇がぐっと濃くなり、記憶の中の声も、雨の匂いも、一気に掻き消された。
次に目を開けた時、らんは雑貨屋の片隅で、棚に手をついて立っていた。
額にはうっすらと汗。
キーホルダーはまだそこにあり、透明な玉の中の模様はただの飾りにしか見えない。
らん
深呼吸をして、何事もなかったかのように店を出た。
雨は少し強くなっていて、傘に当たる音がやけに大きく響く。
それでも、あの時耳の奥に残った雑音は完全には消えていなかった。
家の近くまで戻ると、こさめとばったり出くわした。
両手に買い物袋を抱え、濡れた前髪を軽く払っている。
こさめ
こさめ
こさめ
らん
何でもないように返事をする。
けれど視線がわずかに揺れた。
さっきの記憶の声と、目の前のこさめの声が、どこかで重なった気がしたからだ。
こさめ
こさめ
らん
らん
らんは笑ってみせた。
こさめは訝しげに見つめたが、それ以上は聞かず、軽く会釈して家の中へ消えていった。
扉が閉まった後も、らんはしばらく廊下に立ち尽くしていた。
雨音が、やけに耳に残る。
そして心の奥で、もう一人の自分の声が再び囁いた。
らん?
らん?
その声は、雨音に溶けるように静かだった。
第32話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡330
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コメント
14件
もうひとりのらんらんが言ってることがすごく気になる…続き楽しみにしてます!あと、関係者なりたいです!とくにどの位置がいいとかこだわりないです!
もう1人の桃くんってなんなんだろ...🤔 気になる!!✨️
記憶の声は瑞くんなのかな…? 最後に言ってたもう1人の桃くんの言葉も気になる…。