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ガラガラ

嵐諷 諏禾

ここが志杏くんの病室よ

諏禾に案内され、未彩と穂架が病室に入る

志杏は白いシーツに包まれ、依然として目を閉じたまま

規則正しい呼吸だけが、かろうじて彼の生を示していた

月影 未彩

たっのもー!

未彩は元気よく病室に入るが…

火桜 志杏

意識不明の志杏からは当然ながら応答がない

月影 未彩

……寝てるみたいー

意識不明なんだから当然だろ

そんな静かな部屋から──

パチ…パチ…

どこか不気味な、微かな音が漂ってくる

雪名 穂架

……?

穂架は眉をひそめ、周囲を見回す

雪名 穂架

何か、音がしませんか……?

嵐諷 諏禾

音?

耳を澄ませた諏禾は、言われてようやくその異音に気付く

嵐諷 諏禾

……確かに、言われてみれば、静電気のような音がするわね……

月影 未彩

え、何言ってるの?

月影 未彩

全然聞こえないよ〜

若干鼻で笑いながら言う未彩

なんだこのアホ巫女

雪名 穂架

いいえ、確かに音がしますよ

穂架は静かに志杏へと近付き、視線を落とす

入口で聞いたときより大きくなったその音は、間違いなく志杏から発せられているだろう

パチ…パチ…

雪名 穂架

……少し、失礼します

穂架は志杏の枕元まで歩み寄り、手をそっとかざす

雪名 穂架

『バーチャル能力ー解析ー』

淡い光が志杏の全身を包み、魔力の流れが視覚化される

雪名 穂架

……っ

解析された映像に、穂架は目を見張った

志杏の身体から、微弱な電磁波が断続的に発生している

それは──穂架自身の能力によって生み出される波形と酷似していた

雪名 穂架

……これは、私の電磁波…

嵐諷 諏禾

穂架ちゃんの…って…

雪名 穂架

今志杏から出ているこの電磁波は、私の能力から生み出される特有の電磁波です

雪名 穂架

どうやら、この電磁波が志杏の体内に蓄積しているみたいで…

雪名 穂架

おそらくこれが意識不明の原因でしょう…

嵐諷 諏禾

穂架ちゃんの電磁波が意識不明の原因…

月影 未彩

穂架の能力ってそんなに危険なの?

雪名 穂架

まあ、扱い方によっては危険になりますね

雪名 穂架

人間が活動するのに電磁波は必要ありません

雪名 穂架

むしろ、生きるために必要な代謝を妨害してしまうんです

嵐諷 諏禾

まあ……っ

月影 未彩

えーそんな危険なんだね

雪名 穂架

そうです

雪名 穂架

今は昏睡状態になっていることで代謝が低くてもなんとかなっていますが…

雪名 穂架

このまま放置すればいずれ死に至るでしょう

嵐諷 諏禾

じゃあ、どうすればいいのかしら?

諏禾は真面目な顔つきで穂架に尋ねる

穂架も、真剣な眼差しで答える

雪名 穂架

こんな状態を見るのは初めてですが…

雪名 穂架

できる限りのことはします

雪名 穂架

私のせいのようなものなので

真面目な二人とは裏腹に、きょとんとした顔をする未彩

月影 未彩

え?志杏が意識不明なのって穂架のせいなの?

嵐諷 諏禾

……

雪名 穂架

……

なんとも言えない顔で未彩を見つめる2人

ポツリと諏禾が呟く

嵐諷 諏禾

未彩さん、言葉の綾よ

月影 未彩

琴のあやとり?

もうこいつほっとけ

嵐諷 諏禾

ところで穂架さん

嵐諷 諏禾

「私のせいのようなもの」って…

嵐諷 諏禾

原因が大方わかっている、ということでいいかしら?

雪名 穂架

はい、仰る通りです

雪名 穂架

これはおそらく、“爆発誘導システム”の副産物

嵐諷 諏禾

副産物?

雪名 穂架

きっと、爆発したロボットから電磁波が大量に出てしまい、志杏の体内に蓄積してしまったのでしょう

雪名 穂架

律くんも同様の理由だと思います

嵐諷 諏禾

そう…なのね

嵐諷 諏禾

色々思うところはあるけれど、今は治療が優先なのよね?

雪名 穂架

はい、その通りです

雪名 穂架

こんなこと、初めてなのですが…

雪名 穂架

……やるしかありませんね

月影 未彩

お、なんかカッコイイ展開?

お前は黙っとけ

穂架は両手を広げ、志杏の胸元に魔力を集中させる

深く息を吸い、集中を切らさぬよう、ひたすらに両手に魔力を込める

パチ…パチ…と弾けていた異音は一瞬強まったが、やがて細い糸がほどけるように、音の粒は消えていった

淡い光が志杏の体から立ち昇り、霧散する

部屋に漂っていた不気味な気配も、静かに和らいでいく

雪名 穂架

……っ

大きく息を吐き、額に汗をにじませながら手を下ろす

嵐諷 諏禾

……音が消えた…わよね…?

諏禾は驚いたように耳を澄ませ、静けさを確かめる

雪名 穂架

はい……電磁波は全て、取り除けました

わずかに震える声で答える穂架

緊張の糸が切れたのだろう

月影 未彩

おぉー!なんかすごい!

月影 未彩

ヒーローっぽかった!

場違いな感想を元気に述べる未彩

嵐諷 諏禾

真剣な空気を台無しにしないでちょうだい……

呆れたように眉をひそめながらも、諏禾の表情は安堵に変わっていた

雪名 穂架

穂架は改めて志杏を見つめる

まだ目を閉じたままだが、呼吸は先ほどよりも落ち着いて見える

ふうっと安堵のため息を吐き、諏禾達に向かう

雪名 穂架

……これで、あとは彼自身の力次第です

そう呟くと、そっと志杏の毛布を整え直した

すると、もぞっと微かに志杏が動く

嵐諷 諏禾

一旦は大丈夫そうね

雪名 穂架

はい…

嵐諷 諏禾

穂架ちゃんさえ良ければ、律くんのことも調べてもらえないかしら?

雪名 穂架

えぇ、もちろんです

月影 未彩

お、また移動?

嵐諷 諏禾

……

雪名 穂架

……

一瞬冷めたような目付きで未彩を見つめ、再び二人は向き合う

雪名 穂架

行きましょうか

嵐諷 諏禾

そうね

嵐諷 諏禾

ここが律くんの病室よ

諏禾に案内され、再び律と歩斗の病室に戻ってくる

月影 未彩

よーし!

月影 未彩

次は律くんだね!

月影 未彩

さっきみたいにサクッとやっちゃって!

雪名 穂架

……そう簡単にいけばいいのですが

嵐諷 諏禾

そんなに簡単に言うなら、一度やってみればいいわ

月影 未彩

えぇ!私の能力瞬間移動なのに!

嵐諷 諏禾

知らないわよ

嵐諷 諏禾

とにかく、奥へ行きましょう

病室の奥へと進むと、律は歩斗の隣のベッドで、依然として静かに横たわっていた

実鳴 律

実鳴 律

窓から差し込む光に照らされるその姿は、眠っているというより、何かに囚われているかのように見える

そんな様子の律を心配して疲れ果てたのか、歩斗はぐっすりと眠っていた

実鳴 歩斗

……zzz

月影 未彩

月影 未彩

……律くん

未彩は律を見て無意識に声を落とす

珍しく、ふざけた色が混じらない声だった

雪名 穂架

……では、診てみますね

穂架は歩み寄り、再び手をかざした

雪名 穂架

『バーチャル能力ー解析ー』

淡い光が律を包む

すぐに、バチッ…と強い音が弾けた

雪名 穂架

雪名 穂架

……志杏よりも強い反応ですね

雪名 穂架

おそらく、至近距離で爆発を浴びたからなのでしょう

嵐諷 諏禾

そうなのね…

雪名 穂架

このままでは命に関わります

月影 未彩

じゃあ早く取り除いちゃおう!

雪名 穂架

……はい

穂架は両手をかざし、集中して魔力を注ぐ

バチバチと暴れる光が一瞬激しくなり

──やがてシュウゥっと収束していく

雪名 穂架

……っ、取り除けました

肩で息をしながら報告する穂架

嵐諷 諏禾

よかったわ……

安堵の声を漏らす諏禾

月影 未彩

おー!やっぱりすごい!

場をぶち壊すように声を上げる未彩

その横で、律の呼吸は落ち着きを取り戻していた

死にたかった子たちの“ゆかい”な生活

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