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千年恋歌

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千年恋歌

4 - 千年恋歌4〜リボンと赤いお守り〜

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2019年11月14日

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椎名夏美

昨日…?

村上春樹

柊神社でだよ。お前男と話してただろ?

椎名夏美

(…朔夜のことよね、絶対…けど何でそんなこと聞いてくるんだろ?…ん?それよりも…)

椎名夏美

何で一緒に来てない春樹が知ってるの?
…まさかこっそり付いてきて、こっそり見てたわけ?
いつからそんなストーカーまがいなこと…

村上春樹

ち、ちげーよっ!
かなえは神社に行くから、お前と一緒に帰ろうとしたんだ。
そしたら、2人ともいなかったしクラスメイトに聞いたら一緒に神社に行くとか話してたっていうから…
それでまたかなえのやつ、からかってやろうかと後追ったんだ!

椎名夏美

何も怒るような言い方しなくてもいいじゃない

村上春樹

お、俺の事ストーカーとか言うからだよ!
それで、後追って神社ついたらお前が境内の桜の近くで知らない男と話してたの見えたから。
相手、この学校の制服着てただろ?けど、見かけた事ないし…

椎名夏美

(…そういえば朔夜、制服着てたのどうしてだろう…?…って今はそれより春樹にどう説明すればいいんだろう…)

椎名夏美

(……というか…そもそも何で春樹に説明する必要あるの?私何で悩んでるわけ??)

村上春樹

夏美!聞いてるかー!

椎名夏美

え…?

村上春樹

で、誰あいつ?

椎名夏美

…関係ないじゃない、春樹には

村上春樹

か、関係大ありだっつーの!

椎名夏美

何がどう関係あるの?いちいち春樹に報告しないといけないわけ?
悪いけどかなえ待たせてるから戻るね

村上春樹

ま、待てよっ!

椎名夏美

(なんか今の春樹とは話したくない…)

村上春樹

夏美っ…!

椎名夏美

ごめんね、待たせて

吉井かなえ

いいよ、それより春樹なんだったの?

椎名夏美

わかんない…昨日神社で話してた男誰だって

吉井かなえ

は?なんで一緒に来てないあいつが知ってるの?

椎名夏美

私と帰ろうとして教室に来たらいなくて、クラスメイトからかなえと一緒に神社に行くような話してたって聞いたから、後追ってきたみたい

吉井かなえ

後追っかけってって…別にそこまでして一緒に帰ろうとしなくてもいいと思うけどなぁ…約束したとかなら分かるけど

椎名夏美

知らない。それになんか怒ったような言い方してくるし、私があの人と会ってるの『関係おおあり』とか言うし…訳分かんないよ…

吉井かなえ

(もしかして春樹のやつ…うーん、けど親友とはいえ私が入り込むとややこしくなりそうだしなぁ…今はまだ様子を見るか…)

吉井かなえ

夏美、今日も付き合ってくれるんだよね?

椎名夏美

うん、今日も朔夜に会いに…

吉井かなえ

朔夜?あの話してる男の子の名前?

椎名夏美

え…あ、うん…

吉井かなえ

へぇ〜、朔夜くんかぁ、今度ちゃんと紹介してよ♡夏美の一目惚れしたあの子♡

椎名夏美

べ、別に一目惚れなんかじゃ…

吉井かなえ

(明らかに一目惚れにしか感じないんだけどね…)

椎名夏美

も、もう!ほらかなえ、早く食べちゃうよ、休み時間終わっちゃう!

吉井かなえ

はいはい

椎名夏美

(…一目惚れ…なのかな…そんな感じもするけど…ちょっと違う気がする…)

吉井かなえ

よし!じゃあ今日もしっかり拝んでくるわ!

椎名夏美

行ってらっしゃい

吉井かなえ

夏美も朔夜くん?だったっけ?楽しんでおいでー♡

椎名夏美

もうかなえったら!

かなえは笑いながら奥へと歩いて行った。 今日も参拝客が多い。

椎名夏美

(朔夜、 どこかな…)

朔夜

夏美

椎名夏美

…っ…わっ…!?

後ろから急に声がしたから、私は驚きの声を上げてしまった。

朔夜

…ごめん、驚かして…

声がした方を振り向くと、そこには学生服の姿でなく、帽子をかぶりカットソーにジーンズ、腰巻Tシャツ姿の朔夜が立っていた。

椎名夏美

あ…き、今日は…姿…

朔夜

学生服じゃ目立つからな。夏美に会うのにあの格好がいいかと思ったんだが…

椎名夏美

あ…それで学生服に…

朔夜

それで、一応目立たない服装にしてみたんだが…

椎名夏美

(…私服姿の朔夜…着こなしててかっこいいな…)

朔夜

…どうした?やっぱり変か…?

椎名夏美

う、ううん、そんなことないよっ…すごく似合ってる…

椎名夏美

(…見惚れてたんだなんて言えないよ…)

女性1

きゃ、あの人かっこよくない?

女性2

どこかのモデルさんかな?素敵ー

椎名夏美

(…うーん…やっぱり目立ってる…みたい…)

通り過ぎる数人の女性の参拝客からちらちらと黄色い声が耳に入ってきた。やはり朔夜はもとより見た目がいいからか余計に目立ってしまっているような感じがした。

椎名夏美

あ、あの、あっちの東屋に行かない?そこで話そう…

朔夜

そうだな

椎名夏美

朔夜は…いつからここに居るの?

朔夜

千年以上は…いるかな

椎名夏美

…長いね

朔夜の話によると、ここは元はある人のお墓でそこが塚となり、時代とともに村人や子孫の手によって柊神社となったらしい。 そして、自分は鬼神として崇められるようになったという。 小さい頃におばあちゃんから聞いたこの神社の話と同じだった。

椎名夏美

(朔夜は千年以上もここに1人で…)

椎名夏美

ねぇ、朔夜…ここを離れようとは思わなかったの?人間の私がこんなこと言うのもなんなんだけど…

朔夜

…待ってたから…

椎名夏美

…待っていた…?

朔夜

ずっと…待っていたから…

…ドクン…

朔夜が切なそうな表情で私を見つめられた時、私の中で何か込み上げてくるものを感じた。

そして、やっぱり私は懐かしさを感じていた… それは、小さい頃に出会った時とは明らかに違う…

朔夜

…さき…

椎名夏美

…っ…⁈

朔夜がその言葉を口にした時、頭の中に私の知らない光景が見えた。

血まみれの朔夜 昔の服装を装った朔夜の姿 幸せそうに笑顔を向ける朔夜

椎名夏美

…っ…あ…

椎名夏美

(な、なに…いまの…?)

私はちょっとだけ混乱しそうになったけど、軽く頭を振ってさっきのことを忘れようとした。 少しは落ち着いたけど…さっきのことまで忘れることができなかった…

朔夜

…ごめん…

椎名夏美

え…?

朔夜

…オレが…夏美を混乱させてしまった…

椎名夏美

だ、大丈夫…

朔夜

………

椎名夏美

(どうして悲しそうな顔をするの…?)

その時、少し強い風が吹き、朔夜のかぶっていた帽子が飛びそうになった。 それを朔夜が手で押さえる。 そこからちらりと見えた角が見えた。 おそらく帽子は角を隠すために被ったのかもしれない。

風はさらに強く吹き、朔夜の長い髪がなびく。 朔夜はちょっと邪魔そうに髪を抑えていた。

椎名夏美

朔夜、その髪邪魔じゃない?

朔夜

確かに邪魔には感じるが、切るわけにもいかないしな…

椎名夏美

知ってる。髪は妖力を保つために必要なんでしょ?

朔夜

…よく知ってるな…

椎名夏美

おばあちゃんから聞いたことあるの。妖怪の類が髪の毛が長いのは妖力を保つためだって

朔夜

確かにそうだ…夏美の…祖母はなんでも知ってるな

椎名夏美

ちょっと待ってて

私は自分のカバンの中を漁った。朔夜の髪を結んであげようと思い、髪留めを探したの。

椎名夏美

えっと…たしか…あったはずなんだけど…

椎名夏美

(え…リボンしかない…)

朔夜

夏美、それリボンだろ?それでいい

椎名夏美

え…いいよ、明日ちゃんとした髪留め持ってくるから

朔夜

…夏美が使っていたものならなんでもいい…オレが身につけたいんだ

椎名夏美

(な、なんか嬉しい…な…)

椎名夏美

うん、朔夜がそう言うなら…朔夜、髪触っていい?

朔夜

いいよ

椎名夏美

(うわ…髪サラサラ…黒くて綺麗な髪…)

私は手ぐしで髪を解いていく。

椎名夏美

(うーん…ただ結ぶだけじゃまた髪広がりそうだな…ましてやリボンだし…あ、そうだ…!)

私は三つ編みで編み込みして纏めることにした。 朔夜の髪は長かったため、少し時間かかったけれど…

椎名夏美

できた!

朔夜

…?

朔夜は纏められた髪を触りじっと見つめる。 反応を見て、もしかして、気に入らなかったなかなと私は思ったの

椎名夏美

や、やっぱりだめ…だったかな…?

朔夜

そんなことない。これなら邪魔にならない。ありがとう

椎名夏美

よ、よかった…

吉井かなえ

夏美〜!

その時、かなえの声がした。 振り向くと入り口のところに立っていた。

吉井かなえ

私、先に帰ってるね〜!今度紹介してね〜朔夜くん!

椎名夏美

もう…かなえったら……ごめんね、勝手に名前教えちゃって…

朔夜

別に構わない。気にするな

椎名夏美

私もそろそろ帰ろうかな…まだ朔夜と話したいけど…

朔夜

夏美、これ

朔夜は私に手を差し出してきた。 その手のひらには赤い宝石?のようなものがついたペンダントが乗せられていた。

椎名夏美

これは…?

朔夜

お守りだ。常に身につけていてほしい

椎名夏美

私に…くれるの?

朔夜

うん

椎名夏美

ありがとう

朔夜

常に身につけてくれることだけは約束してほしい

椎名夏美

分かったわ

私は首からそのペンダントをかける。見えないように制服の中に隠す。

椎名夏美

それじゃ帰るね

朔夜

また明日待ってる

椎名夏美

うん。またね

朔夜

佳代…

おばあちゃん

おや、これはこれは鬼神様

朔夜

オレは…

おばあちゃん

…やはり夏美にその方のお姿を重ねてしまわれますか?

朔夜

…………

おばあちゃん

鬼神様、あなた様にこのようなことを言える立場ではないのですが…

朔夜

…分かってる…

おばあちゃん

鬼神様…どうか…夏美を、よろしくお願い致します

朔夜

…オレはあの子を…夏美を…
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