TellerNovel

テラーノベル

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テラーノベル(Teller Novel)

𝐽𝑦𝑢𝑛𝑜.

あ, やべ, チャイム鳴った.. また後でな, 色男っ.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. ん

嵐のように去っていった変なクラスメートに驚きつつも, 机に頬杖をついて, 先生を待つ.

一時間目は, 確か理科だから.. あ~あ, 今までサボってたしなぁ, 付いていけるかな, なんて思いを巡らせていたのだけれども.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

.. はじめま-す.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. え.

教壇に上がってきたのは, あのテヒョン先生だった.

先生は一向に目を合わせてくれずに, ただプリントを束ねている, え, テヒョン先生って, 生徒指導の先生なのに, 何でここに??

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

イソ先生が急遽お休みを取られたので, 自習監督を務める.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

生徒指導のキムだ, よろしくな.

周囲の女の子達の間からざわめきとともに, あの先生カッコいいよね, などと黄色い声が上がるものなのだから, ちょっと焦る.

僕が一番好きで, 一番思いを寄せてるのになって, 先生の存在を他の人に見つけてほしくなくて, 眉を寄せた.

先生とどうしても目を合わせるために, 眼力を強くして, 先生を見つめてるのに, 僕にだけ不自然なほどに目を合わせてくれない ..

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

じゃあ自習用プリントを貰ったので, 今から配布するぞ-

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ん, このプリントを授業内に五枚完成させること.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

出来なかったものは居残りだ, いいな?

"え ~ やだ ~ !!"

"面倒くさい ~ !!"

などなど, 生徒間からあがるブーイングにも静かに冷静に対応する先生は, いつもの先生とはまた違って, かっこいい.

居残り.. 僕はある素晴らしいアイディアを思いついてしまった, それも, 放課後もしかしたらテヒョン先生と二人っきりになれるかもしれないというお得すぎるアイディア.

先生は手を後ろに組んで, 教室を回り始める, 当り前だが, クラスメートは居残りなどまっぴらだというようにペンを走らせる音が教室に溢れる.

僕はとくにすることもないのでぼーっとする.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ん.

テヒョン先生の短い小さな咳払いが聞こえて, 顔をあげると, 向こうの方の窓際の男子が寝ていたようで, その男子の頭を軽く手元に持っていた丸めた紙で叩いて起こした先生.

.. 寝ていたら, 会話するチャンスがあるかもしれないと, 僕は座ったままうとうとするではなく, がっつりと机に突っ伏せて, 居眠りを決め込んだ.

でも, いつまでも起こしに来てくれる様子もない先生.

眠れる森のお姫様を起こすのって, 王子様の役目なのに, 何で起こしに来ないのだろう.. まぁ, 自分を別にお姫様だと思っている訳でもないけどね.

20分くらい, 机に伏せて寝たふりしてたのに, 一向に起こしてくれないから, どうしようもなくて顔をあげた.

先生は手を組んだまま, 巡回しているのだけど, 僕の机がある列だけは避けているのか, もうかれこれ授業の半分以上が経っているのにもかかわらず, 一度も僕の所には巡回しに来ない.

好きな人と触れる事すらできないなんて, こんな苦しい事はないよね.

配布されたプリントを眺めた.

理解不能な記号たちは, 紙の上で僕をからかうかのように踊ってる.

Ω? V? A? J? .. なにこれ. Ωなんか何て読むのかも, なんていう記号なのかもわからない ..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

ねぇ, これ何?

𝑅𝑖𝑛𝑎.

.. えっと, それはオーム..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

おーむ..?

𝑅𝑖𝑛𝑎.

うん, えっと,, 抵抗を表す単位だよ..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

抵抗..?

𝑅𝑖𝑛𝑎.

V=I×Rで,1KΩは、1000Ω でしょ?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

そうなの?

𝑅𝑖𝑛𝑎.

うん, それで,10[mA]×1[KΩ]で10Vになるの.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

あ, そっか, ありがとう..

𝑅𝑖𝑛𝑎.

うんっ

小さな声で聴いたら, 小さな声で教えてくれたクラスの人だけど, いまいち解説もよくわからなかった, とりあえず"そっか"と言ってみたけど.

10Vとかって何? って感じだし..

この単元は意味不明っぽいから, こっちのプリントから手を付けて見よっかな.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

ん ..

月と太陽, 簡単そうだな, 月なら身近だし ..

んん, 何故夏至と冬至では南東や北東から早くなるのか答えよ? なにこれ, 意味が分からない, どゆこと ??

このプリントも無理そうだから, こっちのプリントから解くことにしよ..

..NaHCO3とは何の化学式か.. え, 何, この変な数字とか文字が羅列してるやつ.. 無理無理無理..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. はぁ.

意味が分からない問題ばかりだし, おまけにテヒョン先生も目を一切合わせてくれないし, やる気が完全に搾取されちゃう..

残り時間, 20分くらいあるけど, 僕は筆記具をおいて, テヒョン先生の顔を眺めることにした.

キーンコーンカーンコーン ..

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ん, 授業プリントできなかった奴は放課後, プリント持って自習教室に来い

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

プリント出来た奴は, 今提出しろ-.

結局, 目が一度も会う事も無く, あっけなく終わってしまった授業, テヒョン先生は気だるげに号令をかけて教室を出て行った.

急いで廊下に出た.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

せんせっ.. !!

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

..

わざと聞こえなかったふりをして, 去ろうとする先生に駆け寄って, 思い切り手を引く.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

っ, お前 ..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

せんせ, なんで遠ざけるの.. ? 何で避けるの.. ?

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

.. はっ?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

ずっと目も合わせてくれないし.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

お前.. 教室の前だからやめろ, まじで ..

先生の困った様な顔を見ると, 僕まで泣きたくなるんだけど, ぐっと顔を見返す.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

.. 書類書かなきゃいけねぇから. じゃあ.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

せんせ, 僕の気持ちっ.. !!

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ここではやめろ, まじで..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

せんせ.. ,

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

またな.

僕の目も見ず, 言葉を断ち切るようにして去って行った先生を見ると, 凄く苦しくて.

僕は, 先生の後ろ姿を眺める事しか出来なかった.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

..

いや, これは何か違う気がする.. うん, 絶対何か違うよね.

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

NaHCO3っていうのは, 炭酸水素ナトリウム
の事ね, 化学式で..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

..

放課後, テヒョン先生と居残りできるのかと思って, 期待して次週教室で待っていたのだけれども, 怖そうなオジサン先生と二人きりの居残りだなんて一切聞いてない.

化学式とか, 自転と公転とか, シアノバクテリアとか.. そういう説明をされても何も入ってこない, 聞いてないこんなの.

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

チョン君? 聞いてますか?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

あ, はい..

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

じゃあこの化学式はどうなる??

.. 知らないよ, まず化学式って何?

こんな知識無くても生きてけるのにさ, 意味わかんないんですけど.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. えーっと, 化学式.. ?

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

そう, これは簡単なはずだよ.

早く答えろと無言でかけられる重圧, こんな事ならさっさとプリントを解いておくべきだった..

化学式,, 要するに式を何か言えばいいんだよね??

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. 187-48とかですか..?

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

えっと, 君は何の話をしているのかな??

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

この化学式, 炭酸ナトリウムの化学式を答えてって言ってるんだよ?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

..あ, そっか, 間違えました, あはは..

いや, ちゃんと式を答えたんだけど!? 確かに適当に言ったけど, 一応真剣だったけど!?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

39×27とか..?

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

.. もしかしてさっきからふざけてますか?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. あ, いや..

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

ん~.. 147÷35とか..かなぁ?

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

.. 先ほどの説明, 聞いてましたか?

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

NaHCO3が炭酸水素ナトリウムだから, それと同じように考えてみなさい.

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

.. NaHCO3..?

何, なにこれ, どういう意味 ??

理解不能すぎて, 先生の顔を伺うけど, 私の顔に答えはありませんよ,とばっさりと切り捨てられる.. はぁ, 泣きたいよ.

ガラガラッ

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

スホ先生, すみません,, 用事が終わりましたので交代します,

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ありがとうございました ..

𝑇𝑒𝑎𝑐ℎ𝑒𝑟.

おぉ, よかった, じゃあ私は帰ることにしようか, チョン君, 頑張りなさいな?

𝐽𝑢𝑛𝑔𝑘𝑜𝑜𝑘.

あ.., あ..

口をパクパクと金魚の様にあほらしく動かす事しか出来ない僕.

当り前だ, 目の前にテヒョン先生が居るのだから.

テヒョン先生は, そんなパニック状態の僕を特に気に掛ける様子もなく, スホ先生に会釈をしてから, 僕の隣の椅子に座り, 僕のやりかけのプリント(ほぼ白紙)を引き寄せた.

そして.

𝑇𝑎𝑒ℎ𝑦𝑢𝑛𝑔.

ん, 居残り実習はじめるぞ.

とあれ程に焦がれた低い, 落ち着く低音ボイスで言うのだ.

先生, 僕, もう少し頑張ってみてもいいですか??

いつか先生に好きって言ってもらえるように.

そんなことをぼんやりと考えながら, 僕は先生の綺麗な横顔を見つめていた.

♡ → 700 ..

.. はい, 新展開ですね.

次回, 放課後のぐて, 居残り授業編 !! うわ, どきどきしますな !?

はい, 次回のぐてぐてぶりにもご注目お願いいたしますっ!!

そだ, あともう少しでフォロワー様300人.. !!

ありがたき~, ありがたき~ !!

これからもみなさんのほんのひと時なんかに, 寄り添えるような物語を書かせていただきますので, よろしくお願いいたします !!

いつも感謝です, これからもよろしくお願いいたします !!

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