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コメント
9件
蛍くんへ 女に秘密 男はイケメン そして悪いやつ これ好きなパターンです。
上手く表せないけど、女性の特殊な能力、それを知ってしまったYouTuber。監禁され正当防衛で人を☆☆☆てしまった女性。 それらを引っ括めて愛し合えるといいですね。
赤トンボさん ありがとうございました!
氷点下五度。
八月の空に粉雪が舞った。
関西のとある街のとある警察署。
スズキ刑事は、長い取り調べの合間に気分転換をしようと屋外に出てきた。
スズキ
ササキ
ササキ
スズキ
スズキ
ササキ
ササキ
ササキ
スズキ
ササキ
スズキ
ササキ
ササキ
ササキ
スズキ
スズキ
ササキ
スズキ
スズキ
ササキ
スズキ
ササキ
ササキ
ササキ先輩の “ああ” は、同情のああだ。
横山先輩は取り調べが厳しいことで定評がある。
運悪く取り調べに当たった被疑者は、たとえ黙秘を貫いたとしても
最後は心が折れて自白する。
ササキ
休憩を終えるとスズキは署内へ戻った。
スズキ
室内にもかかわらず、まるで冷蔵庫の中を歩いているようだ。
原因の一つは暖房機具の故障だ。
残念ながらエアコンの修繕は、予算の兼ね合いで先送りされていた。
コン コン
スズキ
スズキは取調室に入った。
中で紫色の唇をした横山が、机をバンバン叩いているところだった。
横山
横山
横山
横山
女は黙秘している。
薄絹をまとい、怪しいまでに美しい笑みをたたえている。
横山
横山
横山
横山
スズキ
横山
横山先輩はくしゃくしゃっと頭をかきながら出ていった。
スズキは机を挟み、女の真向かいに腰を下ろした。
スズキ
スズキ
女
スズキ
スズキ
女は静かに頷いた。
ややしばらくして
防寒着に身を包んだ婦人警官が昼食を持って入ってきた。
女は丁寧に礼を言う。
スズキ
女
女の目の前に、硝子の器に盛りつけられたかき氷が置かれた。
スプーンを手にすると、少しずつ口に運び入れた。
スズキ
女
女
スズキ
女
女
スズキ
女
女
話すのか?
女の瞳が潤んでいる。
キラキラとサファイア色に輝いていて目が離せない。
スズキは思わず美しいと思ってしまった。
女
スズキ
まさか心を読んだ?
女は笑みを浮かべる。
僅かばかりに頷いた。
いけない。
スズキは心を落ち着かせようとする。
スズキ
女
鉛筆を持つ手がかじかむ。
スズキは雑紙に “フユ” と書き取った。
スズキ
女
スズキ
女
女
スズキ
女
スズキ
女
スズキ
女
女
許可?
ここで押し問答していても話しが進まない。
あとで調べれば済むことだ。
スズキは話しを進めることにした。
スズキ
スズキ
スズキ
女
スズキは手帳を取り出した。
スズキ
スズキ
女
スズキ
女
女
スズキ
スズキ
つい好奇心が先に立つ。
女
女
スズキ
スズキ
スズキ
女
女
スズキ
女
女の顔が曇った。
女
……
スズキはまたもや心を無にした。
これから訊かなきゃならない核心のために、些細なことはスルーすることにした。
スズキ
スズキ
スズキ
スズキ
女は憂いに満ちた表情でスズキを見つめた。
女
女
スズキ
スズキ
女
女
女
女
女
女
スズキ
女
スズキ
スズキの手帳に季節外れの大雪とある。
女
女
スズキ
女
女
スズキ
女
スズキ
スズキ
女
スズキ
女
女の瞳が左右に動いた。
核心はここにあるとスズキは感じとった。
女
女
女
スズキ
自分が発する無情な言葉に心がうずいた。
スズキ
女は悲しげにうつむき
観念したのか、少し間を置いてから話し始めた。
女
女
スズキ
スズキ
スズキ
女
スズキ
女
女
女
女
スズキ
女
スズキは鉛筆を置いた。
スズキ
女
女
女は訴えかけるように言った。
スズキ
スズキ
スズキ
スズキ
女は涙を浮かべた。
それがどういうわけか
女の涙は不思議な現象を起こした。
目尻に浮かんだ涙が空気に触れると
煌めきながら結晶化してゆくのだ。
涙だけじゃない。
空気中にある水分までもが一瞬にして凍ってしまった。
.🔹゚。*.・❄。.・゚✳。※゚・
ザラメ砂糖のような氷塵が ダイヤモンドのごとく輝きながら空間を漂った。
気温は下がり
湿度も下がる。
女
女
スズキ
スズキは立ち上がった。
足元でジャリと音がする。
床に散らばった無数の結晶を踏みつけていた。
スズキ
スズキ
少なくとも彼女はウソは言っていない。
スズキは女の腰縄を緩めた。
少なくとも踏みしめた雪は本物だ……
スズキ
女はふたたび話し始めた。
女
女
スズキ
女
女
女
女
女
女
スズキ
女
スズキ
女
女
女
女
女
スズキ
女
女
女
女
女
女は口を閉じた。
スズキ
女
スズキ
スズキ
女
スズキ
スズキ
女
女
スズキ
スズキ
証明の場は裁判だと
言いかけたところで
取調室のドアが勢いよく開いた。
横山
横山
横山
横山
スズキ
横山
横山
スズキ
スズキ
スズキ
チッチッチッと横山は舌打する。
横山
横山
横山
横山
横山
横山
横山
横山
横山
横山は凄みを見せた。
女の顔は驚きに満ちた。
横山
横山
横山
横山
横山
女
女は美しい顔をゆがめ、横山をにらみつけた。
不意に女の目が輝きを失ったかと思ったら
うつろな表情で宙を見つめた。
スズキ
ゴン
ゴン カン ゴン バシッ
バン!
屋外で激しい音がする。
磨りガラスにも関わらず、天候が悪化しているのは一目瞭然だった。
バリン!
突然、窓ガラスが割れた。
ガラスを突き破って、こぶし大の氷が入り込んできた。
スズキ
横山
二人は割れた窓の隙間から外を覗いた。
横山
地面は大量の氷で埋め尽くされ、ありとあらゆるものがへこんでいた。
スズキ
スズキ
横山が新車だったとうめいた。
ややしばらく経って
警察署長の青山が取調室に飛び込んできた。
青山署長
青山署長
青山署長
横山
青山署長
横山
青山署長
横山
青山署長
青山署長
スズキは急ぎ女の腰縄を外した。
スズキ
スズキ
綺麗な顔を覗き込んだ。
女の瞳に輝きが戻っていた。
良かった……。スズキは内心ほっとした。
青山署長
女はすっと立ち上がった。
女
スズキ
女
スズキ
スズキは署長の許可を得ると、女と一緒に廊下に出た。
先ほどの冷気はうそのようになくなっていた。
玄関の前に、黒塗りの乗用車と女性秘書官が待っていた。
秘書官が来ようとするのを、 女は待つようにと手で制した。
女
女
スズキ
スズキ
スズキのまごついた様子に
女は愛らしい微笑みを浮かべた。
女
女は口をすぼめ、ふっと息を吹きかけた。
.。・゚・✳。゚*
冷気がスズキの頬をなでるようにかすめる。
女はゆっくり前を向くと一歩を踏み出した。
冬を乗せた黒塗りの乗用車は車廻しを滑るように走り出した。
暑つ……
街に日差しが戻ってきた。太陽の熱は、降り積もった雹を解かし、そこかしこに大きな水溜まりをつくった。
スズキはネクタイを緩めながら署内へと戻った。
この夏の異常な寒さは農作物の生育に大きな被害をおよぼし、食糧難を引き起こした。
冷温は燃料高騰にも一役かった。
数ヶ月もの間、人びとに深刻な影響を与えつづけた。
一方、南半球においては、行き場のない夏がいつまでも居座っていた。
連日五十度を越える酷暑が続き、水不足による甚大な被害をもたらした。
冬が去った二週間後
遅刻した夏がようやくやってきた。
西の空が赤く燃えるころ
寂しげに、ひぐらしがカナカナカナと鳴き始めた。
スズキ
スズキ
スズキ