テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そんなある日。 夕方の自動販売機の前。 任務の報告が終わり、飲み物を買って帰ろうとした時、星乃が横に立った。
星乃 絵梨
自動販売機からガコンと音がして、苺牛乳が 下に出てきた。星乃が、自動販売機の下から 苺牛乳を取ると、五条に渡して来た。
星乃 絵梨
苺牛乳を受け取った瞬間、ふっと笑う星乃の顔が、光に照らされてやけに綺麗に見えた。 柔らかな紫色の髪が肩にかかり、瞳の奥がまっすぐで、どこか優しい。
知らないうちに甘い息がこぼれる。 ああ、もう分かった。 これは確実に恋してる。
最近、悟との距離が近い。
任務の帰り道、並んで歩く肩の近さ。 廊下ですれ違う時に交わす視線。 それが、偶然じゃないと感じる瞬間が増えた。
嬉しい気持ちもある。 でもこれは、憧れなのか、それとも……何なのか。自分でもよく分からない。
ふと、昔の夏油との会話を思い出す。
夏油傑
星乃 絵梨
星乃 絵梨
星乃 絵梨
夏油傑
夏油傑
夏油傑
そう言って、夏油は小さく笑った。
あの時は意味がよく分からなかった。 でも最近、その言葉の温度がじわりと胸に残っている。悟の視線が、自分に向けられるたびに。 私、どうすればいいんだろう。
昼下がりの高専。 書類を片付けていた星乃の肩を、背後からぽんと叩く手があった。
五条悟
振り返れば、いつもの飄々とした笑顔の悟
星乃 絵梨
星乃 絵梨
五条悟
星乃 絵梨
そう言って、にこっと微笑む。
五条は一瞬、言葉を失った。 普通なら、このまま腕を引いて連れ出せる。 でも、彼女の微笑みは妙に柔らかくて、押すことも引くこともできない。
別の日。廊下の角で五条が腕を広げて待ち構えていた。
五条悟
がばっと肩を抱く。
星乃 絵梨
星乃 絵梨
五条悟
目の前に、野薔薇と恵の姿があった。 野薔薇と恵は、冷ややかな目を五条に向ける
伏黒恵
五条悟
釘崎野薔薇
星乃 絵梨
野薔薇と恵は、報告書を五条に渡して教員室を出て行った。野薔薇は、見なかったことにしようと思ったらしくなにも聞いて来なかったけど、目線が、凄い怖かった。
五条悟
最近の星乃は、赤面したり、アワアワすることがめっきり減った。 学生時代の彼女なら、この距離感で完全に固まっていたはずだ。
実は、学生時代にみっちり仕込まれていた。 夏油からの「五条悟の扱い方」。
夏油傑
夏油傑
夏油傑
あの時は半信半疑だったけれど、今なら分かる。この距離感を保つのが、彼との心地いい関係に繋がっていると。
けれど、五条の胸の内は少しずつざわついていた。
のらりくらり、自然体でかわされる。 付かず離れずの、絶妙な距離感。 嫌われているわけじゃないのに、手を伸ばしても、すっとすり抜ける。
五条悟
じっと星乃を見ているうちに、ふと脳裏に浮かんだ。
傑に似てる。 今思えば、あいつと星乃は波長が合うというか……妹と兄みたいな感じだったんだろうな。 だからこそ、あの二人は妙に似ている。 笑い方も、引き際のうまさも。 気づいた途端、胸の奥に小さな棘のような感情が引っかかった。