主
きみは、だれ
ここは、どこ
ずいぶん、くらいところに、すんでるんだね
瑠亜が死んでからしばらくして、メンタルがほんの少し回復して意識を取り戻した
もう家に帰ってきたから医者からのサポートもなくなって1人で頑張らないといけない状態になった
その後瑠亜が死んだショックによって鬱を発症して記憶障害になってしまう
自分の部屋も分からない、鏡に映る自分も正しく誰か認識できない
きみ、きみ、リリィのこと、しらないかな
とってもきれいなこえ、
ぼく、すきなんだ
部屋に置いてた大きい鏡に向かって話す
ぼくをおいて、きえちゃって、
ひどいね、なんて、あはは、
でもいいんだ、ぼくはさ、
きっともう、だめ、だから
リリィが、しあわせなら、
それでいいよ
昔の話だけど「すずちゃが寂しくならないようにうちがそ場にいてあげるよ!!どこにも行かないから一緒にいてくれる?」って言ってくれたんだ
でも気がつけばもう居なかったんだひどいよね、
でも瑠亜がどこにいても幸せならいいかな、
うちがいても迷惑だろうしね
また、いつか、ひかりの、ふるまちを
てを、つないで、あるき、ましょう、
だれがうたった、うただったっけ、
まったく、ほんとに、えっと、えっと
この曲懐かしいな、
でも、細かいことは何も覚えてない
なんだったっけ?
きみは、そっか、ここにいてくれるの?
ずいぶんやさしいね、ありがとう
気づけば隣に誰かがいた
優しい雰囲気をまとって、可愛らしい顔立ちを持っている女の子だった
君は?と問いかけてみるけど返事はない
ただ横にいてくれるだけ
でも孤独だった自分にはとても嬉しかった
よるがこわいときのおまじない、
おしえてあげるよ
「あけないよるはない」、んだってさ
そっと自分の方に頭を載せる女の子
もしかして夜が怖いの?
夜が怖い時のおまじない
教えてあげるよ
「明けない夜はない」んだってさ
自分はふだん夜に起きてるから分からないけどね、w
どこにもいかないって、やくそくして、
ゆびきりしたのは、だれだっけ、
きみはさ、どうしてそんなに、かなしいかお するの?
あれ、なんで、
あれ、どうして、
ぼくは、ぼくらは、ないてるんだ
むかし約束してたんだ
仲が良かった女の子とゆびきりげんまんしたの
彼女の方をそっと見てみる
そしたら涙を流して、寂しそうな顔をしてた
あれ、なんでうちも泣いてるんだ
らら、らり、るら、
らら、らり、るら、
らら、らり、るら、
きみも、うたおう?
らら、らり、るら、
らら、らり、るら、
らら、らり、るら、
らら、らり、るら
懐かしいメロディを口ずさんで
2人で一緒に寂しい夜を凌ぐ
そんな時間もすぐ終わっちゃうものだ
ねえ、そらがあかるいよ
そろそろあさなのかな
ほらみて、そらが、きれいで、ああ、
とっても、そらって、あおいんだねぇ
そんなことを言うと君は優しく微笑んでくれた
ほら、おいで、ちょっとあるこうよ
歌おう?
窓の方に女の子を連れてゆく
静かに吹く涼しい風
少しづつ顔を出す太陽
そして不思議と沈まない月
何か大切なことがあった気がする
何にも思い出せない
いいや、きっと何もない
忘れるくらいなんだから
どこかで見たような懐かしい風景
でもどこか眩しいような気がする
なんだか希望が見えてきたみたい
おはよう、
そういえば、
「君の名前は?」
「……リリィ。」
「……な、に?」
「リリィ。」
「……そっか、綺麗な名前だ。ねえ、リリィ」
「……なあに?」
「君は、えっと、」
「私は、あなたが好きよ」
