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53 - あの夏が飽和する。

2024年11月06日

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昨日人を殺したんだ。

レミリア

君はそう言っていた

フラン

梅雨時ずぶ濡れのまんま

レミリア

部屋の前で泣いていた

フラン

夏が始まったばかりというのに

レミリア

君はひどく震えていた

フラン

そんな話で

レミリア

始まる

フラン

あの夏の日の記憶だ

殺したのは隣の席のいつも私達を虐めてくるアイツ もう嫌になって肩を突き飛ばして打ちどころが悪かったんだ。 もうここには居られないし、どこか遠い所で死んでくるよ

レミリア

そんな君に私達は言った

フラン

「それじゃぁ」

レミリア

「私達も連れてって」

レミリア

財布を持って

フラン

ナイフを持って

レミリア

携帯

フラン

ゲームも

レミリア

カバンに詰めて

フラン

要らないものは

レミリア

全部壊して行こう

フラン

あの写真も

レミリア

あの日記も

フラン

今となっちゃ

レミリア

もう要らないものさ

フラン

人殺しと

レミリア

駄目人間の

フラン

君と

レミリア

私達の

フラン

旅だ

レミリア

そして私達は逃げ出した

フラン

この狭い狭いこの世界から

レミリア

家族も

フラン

友達も

レミリア

捨てて

フラン

君と

レミリア

3人で

フラン

遠い

レミリア

遠い

フラン

場所で

レミリア

「3人で死のうよ」

フラン

もうこの世界に

レミリア

価値など無いよ

フラン

人殺しなんて

レミリア

そこら中に

フラン

湧いてるじゃんか

レミリア

君は何も悪くないよ

フラン

君は何も悪くないよ

レミリア

結局私達は

フラン

誰にも

レミリア

愛された

フラン

事など無かったんだ

レミリア

そんな嫌な共通点で

フラン

私達は簡単に信じあってきた

レミリア

君の手を握った時

フラン

微かな震えも既に

レミリア

無くなっていて

フラン

誰にも縛られないで

レミリア

3人線路の上を歩いた

レミリア

金を盗んで、

フラン

3人で逃げて、

レミリア

今更怖い物は

フラン

私達には無かったんだ

レミリア

額のあせも

フラン

落ちた帽子も

レミリア

今となってはどうでも良いよ

フラン

あぶれ者の小さな

レミリア

逃避行の

フラン

旅だ

レミリア

いつか夢見た優しくて、

フラン

誰にも好かれる

レミリア

主人公なら

フラン

汚くなった私達も

レミリア

見捨てずにちゃんと

フラン

救ってくれるのかな?

そんな夢なら捨てたよ

だって現実を見てよ

シアワセの4文字なんて無かった

今までの人生で思い知ったでしょ?

自分は何も悪くないと

誰もがきっと思ってる

レミリア

あてもなく紡憧う鮮の群れに、

フラン

水も無くなり揺れ出す視界に

レミリア

迫り狂う鬼たちの怒号に

フラン

バカみたいにはしゃぎあい

レミリア

ふと君はナイフを取った

君が今まで側に居たから

ここまで来れたんだよ

だから、

もういいよもういいよ

死ぬのは私一人でいいよ

レミリア

そして君は首を切った。

フラン

まるで何かの映画のワンシーンだ

レミリア

白昼夢 を見ている気がした。

フラン

気づけば私達2人は捕まって

レミリア

君がどこにも見つからなくって。

フラン

君だけがどこにもいなくって

レミリア

そして時は過ぎていった

フラン

ただ暑い暑い日が過ぎてった

レミリア

家族もクラスの奴らもいるのに

フラン

なぜか君だけはどこにもいない

レミリア

あの夏の日を思い出す。

フラン

私達2人は今も今でも歌ってる

レミリア

君をずっと探しているんだ

フラン

君に言いたいことがあるんだ

レミリア

九月の終わりにくしゃみして

フラン

六月の匂いを繰り返す。

レミリア

君の笑顔は

フラン

君の無邪気さは

レミリア

頭の中を飽和している

レミリア

誰も何も悪くないよ

フラン

君は何も悪くはないから

レミリア

もういいよ

フラン

投げ出してしまおう

レミリア

そう言って

フラン

欲しかったのでしょう?

レミリア

ねぇ?

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