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⚠︎ご注意ください⚠︎ ストーリー展開上竜胆くんが怖い人に見えますが、一時的にやさぐれてるだけで本当は良い人です。 (私の設定的にパートナーの絆はなかなか切れないために、お兄たんがいないストレスで不安定になってます。) ショッキングかもしれないので、ご注意ください。 重いのは今回がピークで、次回以降は少しずつ甘くなっていくはず…!

春千夜

──テメーのツメが甘いから下っ端がシクるんだろ!どうすんだよ、暗殺失敗しましたじゃ済まねェんだよ!何億の金が動いてると思ってんだ!

竜胆

何回も言ってるだろ!不測の事態が起きて、あの場で仕留めてたら足が付いた!アイツの判断は間違ってない!

春千夜

だから不測の事態が起きてる時点でテメーの職務怠慢だっつってんだよボケェッ!

いつもの様に竜胆と春千夜の怒声が事務所に響く。今回は言い合いの内容が内容なだけに、周囲も緊迫した空気に包まれている。

春千夜の言い分はたしかに間違っていない。しかし竜胆も決して準備が不足していた訳ではない。他の幹部が受け持ったとしても、このミッションは失敗しただろう。

皆どちらの肩も持てず、下を向いて我関せずの状態を貫いていた。

…三途、申し訳ない。六本木エリアの任務だから、本来なら俺ももっと関与するべきだった。今から俺も入って必ず暗殺を遂行させる。それで手を打ってくれないか?

見かねた蘭が2人の間に入って、春千夜に頭を下げた。

春千夜

おい蘭、テメーは何で竜胆に任せっきりにしたんだ!ふざけんなよ、失敗してからどうこうしようじゃオセーんだよ!

……申し訳ございません。

春千夜

謝れって言ってんじゃねーよ!テメー等どう責任取んだよ?!アァ゛?!

言い掛かりだ。通常暗殺は幹部1人が責任を持って担当するようにしている。蘭も蘭で大きな任務を抱えているから、蘭を責めるのはお門違いだ。

春千夜もそのことは解っている。でもパートナーの自分よりも竜胆と絆の深い蘭に嫉妬して、感情を抑えることができなかった。ただの八つ当たりだ。

竜胆

おい三途!兄貴は関係ねェだろ!

春千夜

関係あんだろ!テメー等が無能だからこんな結果になってんだろーが!

竜胆

──…くっ……テメー……それ以上兄貴を悪く言ったらブン殴るぞ!

おい、止めろ竜胆!

竜胆は春千夜を睨み付けながら胸ぐらを掴んだ。蘭が必死に止めようとしたが、怒りが振り切っていて止めれない。

鶴蝶

止めろ。そこまでだ。

蘭が巻き込まれそうなのを見て、鶴蝶が無表情で入ってきた。

春千夜の胸ぐらを掴む竜胆の手を掴むと、圧を加えて捻り無理矢理引き剥がした。

竜胆

──……ッ……、

春千夜

──……はっ……は……、

春千夜は掴まれた胸元を抑えながらへたり込んだ。Domの竜胆の怒気にあてられて、泣きたい衝動にかられていた。

鶴蝶

…三途、この件はもう責めても意味がないだろう。蘭の言う通り、次で確実に遂行できるように迅速に動いた方が良い。──…竜胆、お前は見境をなくすな。お前が任務を失敗したのは事実だろ。

竜胆

……申し訳ございません…。

頭上から竜胆の心のこもってない謝罪が聞こえた。

鶴蝶は溜め息を吐くと、春千夜に手を差し出して立ち上がらせた。

鶴蝶

少し三途と外の空気を吸ってくる。蘭と竜胆はちゃんと任務の話をしておけ。

…わかった。行ってらっしゃい。

春千夜は鶴蝶に連れられて、事務所の屋上に来た。

差し出された煙草を咥えて深く煙を吸い込むと、幾分か気持ちが楽になる気がした。

鶴蝶

今日は天気が良いなぁ。

春千夜

ああ、誰かさんがちゃんと任務を成功してりゃァ最高の日だった。

鶴蝶

はっ、そう言うなよ。誰にでも失敗はある。…お前は今はナンバー2の立場だ。だからと言って、俺等が古くからの仲なのは変わんねェ。

春千夜

……何が言いてェ。

鶴蝶

もっと俺等を信じろ。でもって頼れ。…竜胆と蘭は、やると言ったら責任をもって仕事する奴等だ。お前だって知ってんだろ?

春千夜

……………。

鶴蝶

お前ずいぶんと疲れが溜まってるんだろ。前よりも竜胆との言い合いが多くなったよな?

春千夜

……それはアイツが馬鹿だからだ。

鶴蝶

だから馬鹿とか言うなって。それを止めろって言ってんだよ。

鶴蝶は笑いながら春千夜の額を指で突いた。

明るい鶴蝶を見ていると、ネガティブなSubを支えるDomとしてふさわしい人柄だと実感する。

春千夜

……なぁ、最近はどうなんだよ。

鶴蝶

ん?何がだ?

春千夜

蘭とだよ。俺のお陰でパートナーになった癖に、何の報告もなしかよ。

鶴蝶

──…ぶっ…ゲホッ、ゲホッ……ッ、

鶴蝶は煙草の煙がおかしなところに入った様で、苦しそうに咽いだ。

春千夜

………ダサッ。

鶴蝶

おい、ダサいはないだろ。ひっでーなぁ…。……まぁ、上手くいってるよ。

春千夜

へぇ…。

鶴蝶

俺DomのクセにDomらしくねーっつーか、ずっと命令することに抵抗があったんだよ。偉そうにするのは好きじゃねーし、何でNormalじゃねーのかなーって悩んだ時期もあった。…でも蘭と過ごす内に考えが変わった。…なぁ、少し惚気ていいか?

春千夜

俺から振った話だ。好きにしろ。

鶴蝶

蘭は俺を喜ばせるために一生懸命コマンドを聞いてくれるんだよ。それが健気で可愛くてさ…俺も蘭を幸せにしたいって思うに決まってるよな。

春千夜

……………。

鶴蝶

パートナーって究極の存在だよ。至福の時を共有できる唯一の相手だ。──…そうだ……三途には言っておくか。

春千夜

ア?まだ惚気んのか?

鶴蝶

まあな。気が早いけど、蘭にチョーカーを贈ろうと思うんだ。首輪は色々差し支えが出そうだから、蘭のファッションに合いそうなものを選ぼうと思う。

春千夜

──…ゲホッ、

今度は春千夜が咽いだ。首輪はダイナミクスにおいて結婚指輪のようなものだ。まだ鶴蝶と蘭がパートナーになって3ヶ月ほどしか経っていない。いくら何でも早すぎる。

春千夜

……テメー……まさかお遊びのつもりじゃねーだろうなぁ?

鶴蝶

ひっでー言いぐさだなぁ。本気だよ。蘭と末長く一緒にいてーから、その意思表示に渡すつもりだ。……って…やっぱり重いと思うか?

重いわけがない。Domには解らないだろうが、Subの頭の中はDomの事だけでいっぱいだ。パートナーとして大事にされてる証明を貰って、嬉しくないわけがない。

春千夜

ま、テメーが蘭のことを一生責任持つつもりなら良いんじゃねーの?

鶴蝶

もちろんそのつもりだ。

鶴蝶の返答に迷いはなかった。

──狡い。竜胆にも鶴蝶にも大事にされている蘭が羨ましい。

春千夜

(…俺はあんなに竜胆に恨まれてるのに…なんだよこの差は…。)

数日後、蘭は事務所に黒のシンプルなチョーカーを着けてきた。

それと同時に自分がSubであることも、鶴蝶のパートナーであることもカミングアウトした。

その日の竜胆の機嫌は最悪だった。

致し方ないことだ。周りが蘭と鶴蝶の祝福ムードになっているのに、竜胆の立場で平気でいられる訳がない。

春千夜もその日は竜胆の態度を多めに見るつもりでいた。とはいえ、組織の立場上言わなきゃいけないこともある。

春千夜

竜胆、今日が上納金の回収日だ。早く出せって催促が来てる。

竜胆

……ア?今下の奴が持ってくんだよ。

春千夜

(…我慢だ我慢、今日のアイツは正気じゃない。)

九井

竜胆、先に金額解ってんなら報告しろ。

竜胆

……チッ、知らねーよ。

春千夜

……そうか。とにかく今日中には何とかしろ。

竜胆

解ってるよ。早く持ってくるように急かすから黙ってろ。

Subは感受性が強いせいで、Domの機嫌を敏感に感じ取ってしまう。竜胆が苛ついていることで、春千夜は不安を覚えていた。

春千夜

(怖い…居心地が悪い……最悪だ、薬が欲しい……。)

いつもの様にデスクからこっそり薬を取り出して服用しようとした。その時、竜胆が電話越しに怒鳴っているのを聞いて大きく身体が震えた。

竜胆

オイッ、ふざけんな!上納金が見当たらねーってどういう事だ。誰かパクったのか?!

聞こえてきた内容に、事務所の面々はザワついた。

竜胆

クセー奴全員調べろ。テメー等で何とか解決して持ってこい。解ったな?!

竜胆は電話を切るなり、八つ当たりでデスクを強く殴った。

竜胆

──クソッ、どいつもこいつも…!

…竜胆、物に当たるな。みっともないぞ。

竜胆

ウルセー、兄貴は黙ってろ!

……竜胆……。

蘭の瞳が泣きそうに揺れた。鶴蝶は何も言わないで蘭の肩を抱くと、引っ張るようにして事務所から出た。

九井

こんな事は言いたくないが、上納金がないのはマズいぞ。

竜胆

いざとなったら俺が実費で何とかする。

九井

そういう問題じゃねーんだよ。

──…言いたくない。竜胆が怖い。でも春千夜の立場上、身勝手なことを言っている竜胆を許すわけにはいかない。

春千夜

…竜胆。下っ端に任せておいて良い問題じゃねーぞ。テメーが調べに行ってこい。

竜胆

アァ?俺が何もしてねーって言いてーのか?

春千夜

そうじゃない。けれど然るべき対応はして貰わなきゃ困る。

竜胆

Shut up!(黙れ!)──…テメー、いっつもウルセーんだよ!

『グレア』だ。強く叱りつけるコマンドと併せて浴びせられて、春千夜は酷い恐怖にかられた。

全身が震えて、視界が真っ暗になった。

春千夜

(怖い怖い怖い怖い……、)

意識が全て恐怖と不安で塗り替えられる。遠くで九井が叫んでいる声が聞こえるが、何を言っているのか理解できない。

──…今まで感じた事がない恐怖に包まれている。竜胆のせいだ。俺は竜胆に叱られた。

竜胆が怖い。それでも本能的に竜胆に褒めて欲しい、愛して欲しいと求めている。

春千夜

(──…情けねぇ……。)

春千夜は闇に呑まれるようにして、意識を失った。

春千夜は竜胆のグレアによって『サブドロップ』に陥って気絶した。

怒りに任せて人前でコマンドを使ってしまった。当然その場にいた幹部達は全員、春千夜がSubであることと、竜胆がパートナーであることを知った。

──とんでもない失態を犯してしまった。春千夜の秘密を守れなかったどころか、Domが絶対にしてはいけない命の危険を脅かすことをしてしまった。

竜胆は春千夜に付き添って病院に向かった。普段より体温が低くなったパートナーの身体に触れて、涙が溢れた。

今まではずっと春千夜のことが恨めしかった。春千夜の態度からも、これ以上関係性が親しくなることはないと思っていた。

しかしDomも結局はSubに尽くしてもらうことで承認欲求を満たされている。意地をはっていても、竜胆にとって春千夜の存在は大きい。

春千夜が搬送されてから深夜まで、竜胆は昏睡状態の春千夜に付き添った。罪悪感で生きた心地がしない。

マイキー

──…竜胆、まだいたのか。

声を掛けられて顔を上げると、マイキーがいた。

竜胆

……首領………、

マイキー

話は聞いてる。

マイキーはゆっくり歩み寄り、切ない顔で春千夜の頬に触れた。

マイキー

…竜胆、サブドロップに陥る瞬間はどんな心地だかわかるか?

竜胆

……わかりません…。

マイキー

恐怖と不安、絶望…負の感情しかなくなって、意識を閉ざさなきゃいけないくらい苦しい状態になる。酷いもんだ。

竜胆

………………。

マイキー

どうして俺がそれを知ってると思う?

竜胆

……わかりません……。

マイキー

俺もSubなんだ。訳あってもう一生会えねーけど、パートナーもいた。

竜胆

…そう…だったんですね……。

マイキー

俺達Subは他の性別の奴が理解できないくらい色んな悩みを抱えて生きてんだ。…生物的にネガティブなんだから、自分一人でどうにかしようって足掻いてもどうすることもできねェ。…唯一の拠り所がDomなんだよ。

竜胆

……………。

マイキー

お前に拒絶されたって、こんな状態になったって、コイツはお前を本気で恨むことはできない。…利用されて不幸な目に遭うSubがどれだけいると思う?

竜胆

……………。

マイキー

竜胆、お前なら上手くやってくれると信じてた。…でももう限界だろう。三途とパートナーを解消してくれ。

竜胆がしたことを考えると、パートナーを解消するのは当然の判断だろう。

あんなに憎んでいた春千夜との深い関わりを絶てるのなら、手放しで喜ぶべきだ。

解っている。けれど本能が春千夜と離れたくないと求めている。

竜胆

──……嫌です。

マイキー

…そう言うのは解ってた。でもこれ以上三途を不幸にしないでくれ。

竜胆

これからは態度を改めて接します。だから──…。

マイキー

頼む。三途は俺にとって大事な幼馴染みなんだ。……これ以上、辛い思いをさせないでくれ。

マイキーは竜胆に深々と頭を下げた。

──梵天のトップにここまでのことをされて、拒否できる訳がない。

マイキー

…コイツは俺と違ってまだ引き返せる。…まだ傷が浅い内に…頼む、コイツの手を離してやってくれ……。

竜胆

………わかり……ました………。

竜胆は震える声で告げた。

竜春 Dom/Subユニバース【完結】

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