⚠︎ご注意ください⚠︎ ストーリー展開上竜胆くんが怖い人に見えますが、一時的にやさぐれてるだけで本当は良い人です。 (私の設定的にパートナーの絆はなかなか切れないために、お兄たんがいないストレスで不安定になってます。) ショッキングかもしれないので、ご注意ください。 重いのは今回がピークで、次回以降は少しずつ甘くなっていくはず…!
春千夜
竜胆
春千夜
いつもの様に竜胆と春千夜の怒声が事務所に響く。今回は言い合いの内容が内容なだけに、周囲も緊迫した空気に包まれている。
春千夜の言い分はたしかに間違っていない。しかし竜胆も決して準備が不足していた訳ではない。他の幹部が受け持ったとしても、このミッションは失敗しただろう。
皆どちらの肩も持てず、下を向いて我関せずの状態を貫いていた。
蘭
見かねた蘭が2人の間に入って、春千夜に頭を下げた。
春千夜
蘭
春千夜
言い掛かりだ。通常暗殺は幹部1人が責任を持って担当するようにしている。蘭も蘭で大きな任務を抱えているから、蘭を責めるのはお門違いだ。
春千夜もそのことは解っている。でもパートナーの自分よりも竜胆と絆の深い蘭に嫉妬して、感情を抑えることができなかった。ただの八つ当たりだ。
竜胆
春千夜
竜胆
蘭
竜胆は春千夜を睨み付けながら胸ぐらを掴んだ。蘭が必死に止めようとしたが、怒りが振り切っていて止めれない。
鶴蝶
蘭が巻き込まれそうなのを見て、鶴蝶が無表情で入ってきた。
春千夜の胸ぐらを掴む竜胆の手を掴むと、圧を加えて捻り無理矢理引き剥がした。
竜胆
春千夜
春千夜は掴まれた胸元を抑えながらへたり込んだ。Domの竜胆の怒気にあてられて、泣きたい衝動にかられていた。
鶴蝶
竜胆
頭上から竜胆の心のこもってない謝罪が聞こえた。
鶴蝶は溜め息を吐くと、春千夜に手を差し出して立ち上がらせた。
鶴蝶
蘭
春千夜は鶴蝶に連れられて、事務所の屋上に来た。
差し出された煙草を咥えて深く煙を吸い込むと、幾分か気持ちが楽になる気がした。
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
鶴蝶は笑いながら春千夜の額を指で突いた。
明るい鶴蝶を見ていると、ネガティブなSubを支えるDomとしてふさわしい人柄だと実感する。
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
鶴蝶は煙草の煙がおかしなところに入った様で、苦しそうに咽いだ。
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
鶴蝶
春千夜
今度は春千夜が咽いだ。首輪はダイナミクスにおいて結婚指輪のようなものだ。まだ鶴蝶と蘭がパートナーになって3ヶ月ほどしか経っていない。いくら何でも早すぎる。
春千夜
鶴蝶
重いわけがない。Domには解らないだろうが、Subの頭の中はDomの事だけでいっぱいだ。パートナーとして大事にされてる証明を貰って、嬉しくないわけがない。
春千夜
鶴蝶
鶴蝶の返答に迷いはなかった。
──狡い。竜胆にも鶴蝶にも大事にされている蘭が羨ましい。
春千夜
数日後、蘭は事務所に黒のシンプルなチョーカーを着けてきた。
それと同時に自分がSubであることも、鶴蝶のパートナーであることもカミングアウトした。
その日の竜胆の機嫌は最悪だった。
致し方ないことだ。周りが蘭と鶴蝶の祝福ムードになっているのに、竜胆の立場で平気でいられる訳がない。
春千夜もその日は竜胆の態度を多めに見るつもりでいた。とはいえ、組織の立場上言わなきゃいけないこともある。
春千夜
竜胆
春千夜
九井
竜胆
春千夜
竜胆
Subは感受性が強いせいで、Domの機嫌を敏感に感じ取ってしまう。竜胆が苛ついていることで、春千夜は不安を覚えていた。
春千夜
いつもの様にデスクからこっそり薬を取り出して服用しようとした。その時、竜胆が電話越しに怒鳴っているのを聞いて大きく身体が震えた。
竜胆
聞こえてきた内容に、事務所の面々はザワついた。
竜胆
竜胆は電話を切るなり、八つ当たりでデスクを強く殴った。
竜胆
蘭
竜胆
蘭
蘭の瞳が泣きそうに揺れた。鶴蝶は何も言わないで蘭の肩を抱くと、引っ張るようにして事務所から出た。
九井
竜胆
九井
──…言いたくない。竜胆が怖い。でも春千夜の立場上、身勝手なことを言っている竜胆を許すわけにはいかない。
春千夜
竜胆
春千夜
竜胆
『グレア』だ。強く叱りつけるコマンドと併せて浴びせられて、春千夜は酷い恐怖にかられた。
全身が震えて、視界が真っ暗になった。
春千夜
意識が全て恐怖と不安で塗り替えられる。遠くで九井が叫んでいる声が聞こえるが、何を言っているのか理解できない。
──…今まで感じた事がない恐怖に包まれている。竜胆のせいだ。俺は竜胆に叱られた。
竜胆が怖い。それでも本能的に竜胆に褒めて欲しい、愛して欲しいと求めている。
春千夜
春千夜は闇に呑まれるようにして、意識を失った。
春千夜は竜胆のグレアによって『サブドロップ』に陥って気絶した。
怒りに任せて人前でコマンドを使ってしまった。当然その場にいた幹部達は全員、春千夜がSubであることと、竜胆がパートナーであることを知った。
──とんでもない失態を犯してしまった。春千夜の秘密を守れなかったどころか、Domが絶対にしてはいけない命の危険を脅かすことをしてしまった。
竜胆は春千夜に付き添って病院に向かった。普段より体温が低くなったパートナーの身体に触れて、涙が溢れた。
今まではずっと春千夜のことが恨めしかった。春千夜の態度からも、これ以上関係性が親しくなることはないと思っていた。
しかしDomも結局はSubに尽くしてもらうことで承認欲求を満たされている。意地をはっていても、竜胆にとって春千夜の存在は大きい。
春千夜が搬送されてから深夜まで、竜胆は昏睡状態の春千夜に付き添った。罪悪感で生きた心地がしない。
マイキー
声を掛けられて顔を上げると、マイキーがいた。
竜胆
マイキー
マイキーはゆっくり歩み寄り、切ない顔で春千夜の頬に触れた。
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
竜胆がしたことを考えると、パートナーを解消するのは当然の判断だろう。
あんなに憎んでいた春千夜との深い関わりを絶てるのなら、手放しで喜ぶべきだ。
解っている。けれど本能が春千夜と離れたくないと求めている。
竜胆
マイキー
竜胆
マイキー
マイキーは竜胆に深々と頭を下げた。
──梵天のトップにここまでのことをされて、拒否できる訳がない。
マイキー
竜胆
竜胆は震える声で告げた。
コメント
36件