チュン…………チュンチュン…
小鳥の囀りが耳に届く
僅かに風が吹いており、髪を靡かせる
風は少し冷たく、そよそよと吹くたびに心地よさを感じる
建物の隙間から差す朝日はほのかに温かく、まさに最高の環境である
ミスターレッド
レッドは廃墟の壁に寄りかかり、微かな寝息を立てている
誰もレッドの睡眠を邪魔する者は居ない
レッドにとって、この環境は最高のものだ
願うならば、このままずっと寝ていたい……
この最高の環境で、誰にも邪魔されず
ずっと……ずっと…
ミスターレッド
パンッ…………
ミスターレッド
何処から発砲音が響く
レッドの目が僅かに開く
開いた瞼に温かい日差しが届く
ミスターレッド
レッドはふぁっと欠伸腕を伸ばすし、
ミスターレッド
ミスターレッド
先程まで温かいと感じた日差しは、思いの外ギンギンと光り輝いている
レッドは眠い目を擦り、周りに目を向ける
周りに人気は無く、しん……と静まり返っていた
ミスターレッド
ミスターレッド
髪の毛に指を通し、若干髪型を整える
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
昨日の出来事を脳裏に浮かべる
目が覚めた時、自分が居たのは薄暗い船内
その中にはびっしりと人が詰められており
何処かへと連れ去られ、連れ去られた先で無差別大量虐殺が起きる
そこで何者かに手を引かれ……
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
廃墟の壁に背を当て、座り込む
ミスターレッド
ミスターレッド
つい最近の出来事であろう海に行った日を思い起こす
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは何かを思い起こし、ガバッと立ち上がる
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
数々の最悪な状況が頭に浮かび上がる
頭をブンブンと振り、頭の中からかき消す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
何処かに向かって問い掛ける
だが、問いに対する答えなど返っては来ない
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
壁に少し寄り掛かる
視線だけを動かし、辺りを見回す
崩れ掛けた屋根、ガラスの割れた窓、穴の空いた壁
お世辞にも「建物」とは言えない様な物が大量に建っている
更にはそこら中に石やガラスの破片、薄汚れた空き缶や布が落ちており、荒れ果てていた
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
廃墟の隅に纏められている何かに目を向ける
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
もう一度周りを見回す
やはり廃墟はあまりにも住めない様な壊れ方をしている
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドはそう言って壁に寄りかかるのをやめ、向かい側にある高い廃墟に目を向ける
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
そう言ってレッドは足のストレッチを始める
ミスターレッド
ピョンピョンとジャンプをし、目の前の高い廃墟を見据える
片方の足に力を込め、呼吸を整える
ミスターレッド
目の前の廃墟はざっと見て3階程の高さがある
壁には鉄の部品の様な物や、パイプが沢山くっついている
ミスターレッド
ミスターレッド
足の力を一気に解放し、建物目掛けて走り出す
徐々にスピードを上げていく
ジャンプをする地面に目処をつける
ミスターレッド
ミスターレッド
大きく足を踏み込む
地面を蹴り上げ、飛び上がる
壁にある突起部分に手を伸ばす
ミスターレッド
壁の突起部分をガシリと掴む
ミスターレッド
一瞬バランスを崩し掛け、手を滑らせかける
すかさずもう片方の手で突起を掴み、体を安定させる
ミスターレッド
体はぶらりと突起にぶら下がっており、手を滑らせれば真っ逆様に落下してしまいそうであった
ミスターレッド
視線をどうにか足元に向ける
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
若干体を右に揺らし、足をパイプに伸ばす
足がしっかりとパイプに乗り、安定感が感じられる
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
今度は視線を上に向け、手を掛けられそうな場所を探す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
鉄の突起より少し上のレンガの隙間に向かって手を伸ばす
隙間に指が見事に入る
ミスターレッド
右手でしっかりと体の安定感を保ち、左の指もレンガの隙間に入れる
再び支えが腕のみの宙ぶらりん状態になる
ミスターレッド
再び手を掛けられそうな物を探す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ツタは右手のすぐ近くに垂れ下がっており、頑張ればすぐに届きそうであった
ミスターレッド
ミスターレッド
体を支える腕に力を込める
ミスターレッド
ミスターレッド
腕の力で体を上に飛ばし、ツタに腕を伸ばす
右手はしっかりとツタを掴み体を支える
ミスターレッド
続いて左手でもツタを掴む
ミスターレッド
ミスターレッド
壁に足をつけ、ツタを伝ってどんどんと上へ登って行く
ミスターレッド
ミスターレッド
ツタを利用して登り続け、とうとう建物の頂上へと到達する
ミスターレッド
ミスターレッド
建物の頂上に立ち、周りを見回す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
何と無く視線を周りに向け、町を探そうとする
が
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
自分が立つ周辺には廃墟が多く広がっている
此処までは分かるのだが
その廃墟の周辺を巨大な壁が囲っているのである
いや……正確に言うと…
自身が今立っているこの島全てが壁で囲われているのである
ミスターレッド
あまりの衝撃の出来事に一歩後退る
ミスターレッド
首を僅かに動かし、周りを見回す
此処ら辺一体には廃墟の様な建物が多く広がっている
だが、自分の居る遥か南には大きなビルの様な物が多く建っている
ミスターレッド
ミスターレッド
頭が混乱し、動く事が出来なくなる
状況が理解できない
ミスターレッド
動く事が出来ないまま、数十秒が過ぎ去る
その時、ふとこんな声が耳に届いた
???
???
誰かが声を荒げ、怒っている
ミスターレッド
建物の下から怒声が響く
建物の下を見下ろす
下で2人の少年が殴り合いをしている
ミスターレッド
ミスターレッド
金髪の少年が激怒しており、もう片方の少年はニヤニヤしながらそれを見ている
???
???
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
???
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
???
パッと見少年達は自身より年上の様に見えたが、喧嘩内容は小学生とも捉えられる様なものだ
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
もう一度建物の下の少年らを見下ろす
相変わらず2人の少年は殴り合いをしている
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
再び視線を周りに向ける
再び町を囲う巨大な壁が目に映り込む
この壁は一体何なのだろうか
それと同時に「自身が立っているこの場所が何なのか」という大きな疑問も現れる
そんな純粋な疑問が心を駆り出す
レッドは自身の立つ建物の下から響く声に耳を傾ける
???
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
???
少年達は先程と似通った内容の話をし続けている
金を奪われたという金髪の少年は奪われた金に必死に手を伸ばすが、もう一方の少年は返す気が無いようだ
それどころか、金を盗んだ少年は金髪の少年に拳を振るっている
それに対抗し、金髪の少年も拳を振り返している
どちらかが圧倒的な力を持っている訳でも無く、戦いは泥沼化していた
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
シグレの放った言葉が脳裏に蘇る
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
必死に金を取り返そうとする少年に視線を向ける
確かに少年は金髪であった
ミスターレッド
ミスターレッド
???
髪がボサボサの少年
殴り合いは徐々にヒートアップし始め、少年達はお互いにフラフラとし始めている
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは建物から降りる事のできそうな場所を探す
先程の様な都合の良いツタはぶら下がっていない
先程のツタから降り直すと少年達の居る場所とは反対側に降りてしまう
そうなると大きなタイムロス、遠回りになってしまうのだ
その間に少年がノックアウトされてしまったらどうなる?
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
この建物の壁を見る限り、少年達の場所側に降りる為に使える物は何一つ付いていない
ふと、近くの廃墟の屋根に目を向ける
ミスターレッド
ミスターレッド
今自身が立っている建物の横には、沢山の屋根が連なっている
屋根は階段の様になっており、下まで降りる事ができそうであった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
そう言ってレッドは隣の建物の屋根へと飛び移った
ズダッ……ガッ…
金を奪った少年は金髪の少年に攻撃を与え続ける
髪がボサボサの少年
???
???
???
???
金髪の少年も必死に抵抗を続ける
だが、既に体力は尽きかけているのだ
腕で必死に攻撃から身を守る
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
???
金を盗んだ少年がズボンのポケットに手を突っ込み、何かを取り出す
シャキン………
鋭い音を立て、それは取り出される
???
???
髪がボサボサの少年
???
髪がボサボサの少年
???
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
???
???
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
金を盗んだ少年が金髪の少年に向かって、ナイフを振り上げながら駆け出す
金髪の少年は咄嗟の出来事に対応できず、体が硬直する
???
少年は目を瞑り、腕で咄嗟にナイフの攻撃を防ごうとする
ミスターレッド
レッドが金を盗んだ少年の襟元を掴む
髪がボサボサの少年
突然後ろから引っ張られた衝撃で、金を盗んだ少年の手からナイフが飛んでいく
髪がボサボサの少年
金を盗んだ少年は体のバランスを崩し、尻餅をつく
ミスターレッド
???
金髪の少年は素早く金を盗んだ少年の手から金を取り戻す
金髪の少年は金を取り戻した瞬間、金を盗んだ少年と距離を置く
レッドは金を盗んだ少年の事を睨みつける
ミスターレッド
ミスターレッド
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
金を盗んだ少年は戸惑っており、視線が宙を泳いでいる
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは少年を睨みつけながら圧を掛ける
髪がボサボサの少年
髪がボサボサの少年
金を盗んだ少年はものすごいスピードで立ち上がり、何処かへと走り去って行く
レッドは走り去って行く少年の背を見つめている
金を盗んだ少年の姿が見えなくなる
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは額に手を当て、やれやれと首を振る
???
少年が少し怯えた様子で話し掛けてくる
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
???
???
???
ミスターレッド
……………
唐突に沈黙が走る
金髪の少年は不思議そうな表情をしながら尋ねてくる
???
???
???
ミスターレッド
???
ミスターレッド
ミスターレッド
少年の姿に目を向ける
少年はボロボロの黒いズボンにヨレヨレのタンクトップを来ている
髪の毛はボサボサとしており、無造作に1つ結びに纏められている
???
???
ミスターレッド
自身の服と少年の服を見比べる
違いは一目瞭然だった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
???
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
???
???
コメント
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えっ、えっ、レッド?
レッド君も盗んでるだろw でも助けるレッド君かっこいい……!さすが兄貴!
レッド、人のこと言えなくない…? 場所…何処…?