つき
つき
あきせんせ
あきせんせ
担任のあき先生の声が、二年一組の教室中に、ビンビンひびく。
雷が落ちるまで、あと一歩だ。
まぜ
まぜは両方の耳たぶをおさえて耳せんにしながら
ななめ後ろのぷりをぬすみ見た。
本人は机の上のカードゲームをかくそうともせずに
椅子にふんぞりかえって
先生の顔をおもろそうにながめている。
ぷり
あきせんせ
あきせんせ
ぷり
あきせんせ
あきせんせ
あきせんせ
先生はいささか乱暴にカードをかき集めると、一枚残らず持っていってしまった。
すると、ぷりは机の中からなぞなぞの本を出して
声に出して読み始めた。
ちぐ
ちぐ
他の子がいいつけると、板書を始めていた先生は
あきせんせ
といっただけで、ふり向きをしなかった。
ぷりはしばらくの間、わざと笑い声を立てたり
周りの子にちょっとかいをかけたりしていたけれど
相手にされないとわかると、不満そうに机をガタガタゆらしはじめた。
まぜが呆れて見ていると、ぷりが思いっ切り、にらんできた。
ぷり
まぜ
まぜはあわてて目をそらして、教科書を読んでいるふりをした。
今年初めて同じクラスになってみて、おどろいた。
先生の指示にはしたがわない。
強く言われると、反発する。
優しくされると、なめてかかる。
授業中に、ふらっとどこかに行ってしまうこともあれば
休み時間に、どこからともなく近づいてきて、
みんなが遊んでいるのをながめていることもあった。
そんなぷりを、クラスメート達は自分からはさそおうとはしなかった。
たまにキレると怖いし、
遊びが中断してしまうからだ。
それでも、ぷりが断りもなくドッチボール入ってきて
剛速球で次々と、敵の内野を外野に送ったりすると
みんなは、わぁっと顔を見合わせて喜んだ。
かといって
二ゲーム目にも期待していると、ぷりはあっさりボールを放り出して
チームから抜けてしまったりするのだ。
先生が授業を再開し、教室が静かになると
ぷりはなぞなぞがどうでも良くなったらしい。
頭の後ろに手を組み、椅子を後ろにかたむけて、ただ天井をながめていた。
窓から入る日光が、誰かの筆箱に反射して、天井にちらっと映っている。
ぷりも思わずほおづえをついて
その光に見とれた。
その日の三限目は水泳だった。 いつもより水温が低かったらしく、プールからあがると、くちびるを紫色にしている子もいた。
あと
けち
口々にいいながら教室で着替えていると、あき先生が、ガラッとドアを開けて飛び込んできた。
あきせんせ
あきせんせ
一人の子が手を挙げた。
ちぐ
ちぐ
あきせんせ
ちぐ
あきせんせ
先生は真っ青になって、廊下をかけだしていった。
しばらくすると、教頭先生が入ってきた。
きょうとうせんせぇ
くらすめいとぉぉぉぉ
みんなは大喜び
けち
あと
などと言いながら、ぞろぞろと図書室に向かった。
まぜは何気なく手に取った『お芋のあっきぃ』という本をかりて戻ってきた。
三分の一ほど読んだところで、ふと窓の外に目をやると
空をピーッと一直線に横切って飛んでいく、トンボが目に入った。
まぜ
そのトンボの姿をおって
河川敷の方に目をやると、奥の草むらでなにか黒いものが、ちちららと動いている。
まぜ
『それ』は背の高いしげみの間から、出たり引っ込んだりしているようだった。
まぜ
なおも目をこらしていると
意外な顔が見えた。
まぜ
まぜは身をのりだした。
まぜ
その時、チャイムが鳴って、先生がいないまま授業が終わってしまった。
教室がざわざわとさわがしくなり
もぶくん
誰かがあき先生の口真似をした。
給食当番達が、配ぜん者を押してきた。 (小学校であったよねぇ、あっこの本、本当は小学生の話だからよくわかんねぇです)
もぶくん
もぶくん
もぶくん
ちぐ
けち
ガッツポーズをした子もいる。
みんながおぼんを持って、いそいそと列をつくっていると、誰かが、
あと
っといった。
見ると、いつの間にか、ぷりも列に並んでいる。(え?)
あと
けち
ちぐ
などと、みんなに口々に攻められても
ぷり
ぷり
ぷりはしれっとしている。
日直が教室の前に立って
大きな声で呼びかけた。
まじめちゃん
まじめちゃん
くらすめいとぉぉぉぉ
いただきますをして、みんなが口の周りをきなこだらけにしながら揚げパンを食べていると
あき先生がつかれた顔で帰ってきた。
ぷりはいち早く給食をたいらげて、シチューをお変わりしようとしているところだった。
それを見た先生は、怖い顔で歩み寄ると、ぷりの持っていたお玉をひったくった。 (玉って下ネタじゃないよ?)
あきせんせ
あきせんせ
ぷり
あきせんせ
こんこんとお説教されたあと、罰として一週間おかわり禁止を言い渡されたのに
ぷりは相変わらず、うすら笑いをうかべている。
ぷり
お皿を持ってのんびり席に戻ったぷりは、いつになくご機嫌な様子だった。
ぷり
ぷり
つき
ぷり
つき
それを聞いて、まぜは、知りたくてたまらなくなった。
まぜ
つき
つき
つき
ぷり
まぜ
ぷり
まぜ
ぷり
まぜ
ぷり
つき
つき
ぷりまぜ
つき
つき
つき
コメント
1件
可愛いですな( ˇωˇ ) 続き楽しみ!! «٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク