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雨音が、窓を叩く
ののはカウンターに腰かけ、手に持ったマグを揺らしながら、このみを見つめる
音ノ乃
このみは静かに微笑む
その目は、外の空よりも澄んでいた
甘狼
甘狼
甘狼
ののは少し首をかしげる
音ノ乃
このみは軽くうなずき、窓の外を見た
雨に濡れた街並み。歩く人々。車の水しぶき
甘狼
甘狼
ののはそっと手を伸ばし、このみの手に触れる
音ノ乃
このみの目に、ほんの少し涙が光った
甘狼
甘狼
外の雨が、少しだけ小降りになった気がした
窓の向こうの世界はまだ濡れているけれど
店の中には、穏やかな温かさが広がる
甘狼
甘狼
このみは立ち上がり、棚のノートを開く
ツクリが書き残した文字が、静かに光を帯びる
“次は——みんなの番。”
この瞬間、ののは理解した
喫茶ミリプロの雨は、このみだけのものではなく
全員の記憶と願いによって生き続けているのだと