コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
昼休み。
叶井笑歌は中庭のベンチに座り、スケッチブックを広げていた。
春の光がやわらかくて、木漏れ日がページに揺れている。
叶井笑歌
鼻歌まじりに鉛筆を走らせる。
彼女のスケッチブックは、絵と笑顔でいっぱいだ。
そこに――
伊神天真
不意に声がして顔を上げると、眩しいほど元気な男子が立っていた。
叶井笑歌
伊神天真
叶井笑歌
伊神天真
天真は、どこか放っておけないタイプだった。
チャラくて、でも誰よりも明るい。
そんな天真の横顔を、笑歌はふと鉛筆でなぞってみた。
叶井笑歌
伊神天真
叶井笑歌
笑い合う二人の後ろを、ひとり静かに通り過ぎる男子がいた。
松永晄士郎。
教室では落ち着いていて、女子に人気がある。
けれど今は、ほんの少しだけ目を伏せて歩く。
松永晄士郎
松永晄士郎
放課後。
笑歌がスケッチブックを閉じようとしたとき、晄士郎が声をかけた。
松永晄士郎
叶井笑歌
松永晄士郎
一瞬、空気が止まった。
笑歌は驚いたように晄士郎を見る。
叶井笑歌
晄士郎は目をそらして、
松永晄士郎
と短く言って去っていった。
春の風がふたりの間を通り抜ける。
そのページの隅に、笑歌はそっと文字を書き込んだ。
「スケッチ:松永晄士郎」