『へ、...?』
突如言われた事に 間抜けな声が出た 私が困り顔を浮かべると、二人は苦笑いを浮かべる。 けれど直ぐに、近くにあった椅子に座れと促された 言われた通り静かに腰をかけると、ゾムさんが此方をまじまじ見てくる ...この方達は、初めから私を知っていたんだろうか。 段々と不安が募っていくが、コネシマさんの言葉で視線を上げた。
kn「んーと、まずすまんな。騙す事と同じやったし。許してくれ」
kn「...せやから、君からの問いに答えなあかんな。聞いてくれるか?」
『...は、はい。聞きます』
その言葉を聞けば、安心したような表情を向けられる。 ゾムさんはと言うと 此方を見たまま私達の話に耳を傾けているようだ。 ...え、凄いな?← 思わず感心してしまったが、真剣な顔になったコネシマさんに背筋が伸びる。私も同じように、耳を傾けた
kn「今、この国で起こってんのは 察した通り戦争や。それも土地やない、国全てを賭けたな。 もう勝敗は決まっとるもんやけど」
『国、ですか...』
kn「おん。んな驚かないんやな」
『あ、えっと...そ、その。少し話を聞くので。街に行くと!』
zm「....ほぉーん?」
『(な、なんか怪しまれてる...)』
kn「、、まぁそれで、ルシェート国の上層部が中々に厄介やねんな。 〝ご息女様が居る限り我々は不滅〟 とか言い張ってる。そのご息女様ってのが、俺らW国の総統、グルッペン・フューラーって奴が連れて帰って来い言うとる、お嬢様って訳や」
...この方達の目的が分かってしまった以上、私にはできる事が無いのかもしれない ───私には、小さな頃からの夢があった。 〝魔法植物を使い、沢山の人を救うこと〟だ 城には魔法塔という場所があった。 この国を守っているとされる、魔法使い様達が住まう塔 壁には宝石が散りばめられていて、天井には浮いた大きなシャンデリア 一度だけそこへ迷い込んでしまった時、本当に本当に、綺麗で。 今では子供が夢を見る理由なんて、それだけで十分なのだと感じる 、、、けれど、あの人の娘として生まれてきたからには、この国の後継者になる以外の道はない。 ...それが、どんなに私を苦しめたか どんなに自分が憎かったか....。
『...では、お二人は、ここに居ても良いのですか?この国の上層部と同じ立場なんでしょう?』
zm「んー?そりゃ俺だって城で暴れたいのは山々やけど、総統命令やしな。前衛はシャオロンとかショッピくんとか言う奴で間に合っとるし、特殊部隊出動させる程の国ちゃうもん それに一人で逃げたした次期女王なんて興味あるに決まっとるやろ?」
興味、か “次期女王”という言葉に対し、酷くこめかみが軋んだ。 なりたくない。 なりたくない物に、どうしてならなくてはいけないんだろう。 私の運命は、もう決まってしまって...
『...いらないです。 そんな上っ面なだけの権利なんて』
kn「そうやろうな。その顔からしても、今此処に居ることからしても」
『はい。いりません。』
kn「ええなぁそのキッパリよう。 やっぱグルッペンが気に入る子や」
zm「じゃ、そろそろ急げシッマ。」
kn「りょーかいっ。 ...じゃ、改めて ○○・エステル。 いや、ちゃうか。 ○○・ルシェート・エステル。」
『...なんでしょう?コネシマさん』
kn「俺ら、W国と契約しようや」
真っ直ぐと耳に入ってきた言葉。 コネシマさんと肘をつき絡めた手越しに、目が合った “契約しようや” 変に心臓が音を立てる。
『...なぜ私と?私には何も残っていませんし、この国は滅びると、、』
『....滅びる、、、』
kn「んーっはは!せやぞ。お前が居る限りこの戦争は続き 国民は苦しみ、、、 父親やら上層部だけを恨んでるお前は、そんなん嫌に決まっとるよな」
『...では、契約の内容とは?』
私が問うと、コネシマさんがこれまでに無いスッキリとした顔で告げた
kn「こちらが国すべての安全を保証する代わり、女王にならずW国の魔法医務室の助手 ....と、これはおまけか知らんが、姫になれっちゅう契約や。」
ぽかーんっと口が開いたまま固まる いつの間にか隣に居たゾムさん、笑いを堪えるコネシマさんに目の前で手を上下に振られる。 私は数秒硬直した後、時間差でガタリと音を立て椅子を立ち上がった。 次回につづく
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