幼馴染は人殺し

ー1階ー

太宰は笑顔を作りながらプリンを受け取る。

太宰は一瞬で100通りの言い訳を脳内でシミュレーションする。

そして——

わざと視線を逸らし、気恥ずかしそうに頬を掻いた。

太宰母は半目で太宰を見つめ、ゆっくりため息をつく。

太宰母は階段の方に目を向け、

太宰は反射的に母の腕を掴む。

そのころ二階

ベッドの上で悶えて小さくバタついていた。

階段を上がろうとする太宰母。

止めようと必死の太宰。

緊張が走る。

太宰、ここぞとばかりに両腕を広げて母に抱きつく。

太宰はさらにしがみつき、わざと声を震わせる。

太宰母はため息をつきつつも、ぐいぐい抱きつかれて動けない。

二階

そろ〜っとドアに耳を当てる。

太宰母がキッチンへ向かった隙に、

太宰は小走りで階段へ向かう。

ガチャッ

太宰はそっと中也の頭を撫でてから、静かに部屋を出る。

ドアが閉まる直前まで、中也はじーっと太宰の背中を見つめていた。

ーーー廊下ーーー

気配を殺して階段を下りる。

太宰は言われた通り冷蔵庫を少し持ち上げるが、母の目は妙に鋭い。

太宰母がニヤッと笑う。

階段へ向かう母。

太宰母は腕を組んで、ジト目で太宰を上から下まで見る。

頭を押さえながら深いため息。

ガチャッ

太宰はそのまま中也の胸に倒れ込む。

そっと太宰の頭を抱きしめる。

中也の声は驚くほど優しくて、温かくて――

太宰の胸の奥をぎゅっと握った。