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ガシッ
風莉
風莉
渉は
落ちる寸前で、僕の手を握ってた。
渉
あの距離を一瞬で進むなんて
やっぱり、渉は僕の予想に収まらない。
風莉
風莉
風莉
風莉
僕がそう言って指を解こうとした瞬間
渉
雨で濡れた顔で
らしくもなく、叫ぶ渉がそこにいた。
渉
流石に力が抜けてきたのか
少し苦しそうにする渉。
このまま時間が経って、 "僕だけ"落ちてしまえばいい。
そんな願いを叶えるように
偶然にも降っていた雨によって、指は湿り
今にも滑ってしまいそうだった。
風莉
もう、滑ってもおかしくない。
そう思った時
最近どこかで、聞いたことのある声
それとともに近づいてくる
おそらく、2人分の足音。
風莉
風莉
そう思った途端
僕の体は引っ張られた。
今日聞いたばかりなのだから
間違えるはずのない声。
それは逆先くん、つまり夏目だった。
もう1人は、最近五奇人だなんだと言われている
朔間零。
渉
渉
でも、この時の僕の目には映っていない。
僕にはそんな余裕などなかった。
風莉
渉
風莉
風莉
風莉
風莉
ほっといてよっ!!
渉が、急に黙る。
そんなこと滅多にないけど、
僕はそんなこと気にかけられない。
故に
渉
渉の表情が、いつもと違うことにも気づかなかった
パァンッ
そんな音が聞こえて
頬の痛みが数秒遅れてやってきた。
風莉
覚えているのは、それと、
耳が張り裂けるようなよく通る声。
渉
渉
風莉
渉
渉
渉
渉
一つだけ、脳裏に焼き付いている言葉。
渉
生きてください
風莉
きっと僕の顔は
雨と涙でぐちゃぐちゃになっていただろう。
渉
渉
僕の顔を一瞬見て
らしくない言葉を残して、渉は去っていった。
夏目
零
風莉
視線だけ、声の主に向ける。
零
零
『もっとあいつに相談しろ』
多分、零はそう言った。
零
夏目
パタン
ドアは優しく閉まった。
1人になった屋上には
止む気配のない雨だけが、 静かに打ちつけていた。