エミリーとぼく

ぼくの名前はジョン！

まだ3才だけど、りっぱなドーベルマンなんだ！

あっ、この声は…

エミリーだ！ ぼくの1ばんたいせつな人！

エミリーとは生まれたときからずっといっしょ。

いつもいっしょに遊んで、いっしょにごはんを食べて、いっしょにお昼寝して…

だから、ぼくエミリーがだいすき！

とくに…

エミリーのわらった顔が大好き！

エミリーはいつもわらってぼくをなでてくれる

それがうれしくて、ぼくはくるくるまわる

それを見て、またエミリーが笑ってくれる！

だから、毎日がとってもたのしくて、幸せなんだ！

エミリーはぼくの家族なんだ！

だから、おうちもいっしょ。

おさんぽした後は、いつもあったかいおうちに帰ってた

レンガのあったかいところの前に丸まって、うとうとしたり…

ちょっといやだったけど、エミリーとおふろにも入ったりした！

ごはんもお腹いっぱいになるまでたべてて…

でも、今はちょっとしかたべられなくなっちゃった

おうちにも帰れなくて、毎日かたくて冷たい地面でねるんだ

エミリーたちの楽しそうな話し声のかわりに

ときどき頭の上の、とおくの方でおおきな音がするようになった

びっくりしてぼくが吠えると、みんながぼくに注目する

エミリーはそんなぼくに「しーっ」ってだけ言ってくる

そのエミリーの顔は、ぜんぜんわらってなくて

エミリーがなんだか、ちがう人になっちゃったみたい

エミリー、どうしたの？

またエミリーのわらった顔を見るには、どうすればいいの…？

…エミリーの…声…？

まだ…起こさないで…

たのしい…ゆめを見てたい…

…もう朝なの…？

まどがなくて、おそとがどうなっているかわからない

お日さまがとどかないから、ここはさむい…

…おうちにはいつかえれるんだろう…？

今日でどれくらいたったのかな…？

今、おそとはどんな感じなんだろう

ガサゴソ…

やった、朝ごはん！でも…

うすく切られたパンでは、ぼくのおなかがぜんぜんいっぱいにならない

もっと食べたい！エミリー、もっとちょうだい！

エミリーが怒ってる

ぼく、なにか悪いことしちゃった？ぼく、パンが食べたいだけなのに

おねがい、エミリー、もっとパンが食べたいよ

ぼく、もうきのうからなにも食べてない…

エミリー、パンをくれるんだ！

パンじゃなくても、ついていけば何かもらえるかも！

やっぱり、エミリーはやさしいな

ぼく、エミリーがだいすきだ！