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テラーノベル(Teller Novel)

手紙

桜花小学校の校庭で待っている

手紙

七海

俺の元に不思議な手紙が届いた。

木戸七海それは、小学校のクラスメイトの女子だった。

12の時に死んだはずの。

初恋の相手でもある。

思いは伝えられずに終わったけれど。

だから、

手紙なんて来るわけない

イタズラだろう。

それでも行きたいと思った。

行かなければならない、と思った。

何か、大事なことがあるように思えたから。

草太

行って、マイナスにはならないだろう。

草太

行ってみるか。

口に出すと、

これがいいと思った。

草太

さて、行くか。

草太

ここをこう行くのかな。

草太

もう覚えてないや。

校庭についても、

誰もいなかった。

草太(心悪)

ほら、見ろ

草太(心悪)

イタズラじゃないか。

草太

イタズラ、か。

言葉にすると、より現実味が増してやるせなくなった。

おい、

俺を呼ぶ、声があった。

知り合いでもいたのかな?

しかし、辺りを見渡しても誰もいない。

草太

放心しすぎて幻聴かよ。

草太

情けねぇなぁ。

ここだ、ここ。

だが、また聞こえるので、

ふと、足元を見てみると

1匹の狐がいた。

やっと気づいたな。

草太

え?

驚いた。

狐が喋っている。

いや、どこかから流しているだけだろう。

あー。

なんで喋れるかと言うと、

神様だからだ!

草太

は?

いや、まて何故この狐が神様?

おかしいだろ

生意気極まりないやつが神様とか!

ま、そんなことはどうでもいい、

いや、どうでも良くない!

そうたでまちがいないな?

草太

え?あ、ああ。

そうだけど、なんでおまえがそれを…?

そしてなんかはぐらかされた?

この狐どうにも怪しい。

まさか、あのてがみの…

いや、この狐がそんなわけ、ないよな…。

漢字、どう書くんだ?

草太

は?

いや、

なな…

草太

七海のことで何か知ってるのか!?

落ち着け!

こいつ意外と声出るな。

とりあえず漢字

草太

あ、ああ。

草太

草に太郎の太。

なるほどな。

草太、か。

本題だが、

手紙を出したのは、俺だ。

草太

なんのために?

生前七海から頼まれていたのでな。

約束の日に出したわけだ。

ま、何を言いたかったかは、分からずじまいだがな。

犬神が何か知ってるかもしれん。

聞いてみるんだな。

草太

ありがとう。

草太

行ってみるよ。

ああ。

最後に、残した手紙についてとか、色々知りたい。

まだ、引きずってるんだよな。

これで、キリがつけられるならば…。

草太

あれ?

草太

なんか忘れてるような…

あ!

犬神ってどこにいるんだよ!

草太

あの狐大事なとこ教えてくれなかったな。

まぁ、いいけど、

心当たりは、何となく、ある。

俺にとって赤い紅いあの場所。

そう。七海の最後の場所。

思った通り、そこに犬神がいた。

草太

犬神様、ですよね。

犬神

ん、ああ。

犬神

いかにも。

犬神

ここに来たということは

犬神

聞きたいんだな?

犬神

七海の最後を。

赫い髪をなびかせて犬神は言う。

草太

教えてください。

草太

七海のこと。

犬神

よかろう。

犬神

では、話すとするか。

犬神

七海の最後を。

話は単純で、ものを落として拾おうとしたら

夕暮れの紅い赫い海に落ちただけ。

ただ問題なのは、

何故その海にいたのかということ

何を落としたのかということ

このふたつだ。

犬神

あと、彼女は最後に、

犬神

…と呟いたんだ。

草太

その言葉は?

犬神

それは、自分で見つけ出せ。

犬神

うもれたかこから…

犬神

落としたものは、お前が渡したストラップだ。

犬神

相当気に入ってたみたいだぞ。

俺が、渡したストラップ。

そんなものよりも、命のほうが、大切に決まってるのに。

犬神

俺の話はここまでだ。

犬神

それではな。

草太

ありがとうございました。

そういった時にはもう赫い海の彼方だった。

紅い髪をなびかせて笑っていたような、きがしたが気のせいかもしれない。

それよりも

愛しさが溢れて、少し苦しくなった。

行くあてもないので、とりあえず校庭に戻った

別に確信してた訳じゃないが、

あの不思議な狐がまだ、居るような気がしてならなかった。

草太

いた。

遅かったな。

草太

物思いにふけっていたもんでな。

とりあえず最後の言葉は、

自分で見つけ出せと言うより、自分で聞きにいけ、だよな?この場合。

草太に好きって伝えたかったのになぁ。

だってよ。

ああ、これか。

これを俺は恐れていたのか。

サッパリ振られて次へ進もうとしたのに

両思いになって、忘れられなくなったり。

その事がどうしようもなく切なくて

やるせなくて

1年前の俺ならば、喜んで

世界中腹踊りしながら回っただろう。

いや、無理だね。金がない。

だが、相当喜んだはずだ。

しかし、今の俺は違う。

忘れようとした時に手紙が来て。

これで、最後にしようって思ってたのに。

なんなんだよ。

3年たってのこれかよ。

忘れられそうだったのにくそうくそう

今更、聞いたっておせぇんだよ。

まぁ、泣くな。

無理に忘れなくたっていいと思うぞ。

草太

え?

時が経てば自然に忘れてゆくもの。

今忘れられないのは

今は忘れる時じゃないと体が判断しているからだ。

だから、無理に忘れる必要は、ないんだよ。

その言葉が、長年固まっていた心を溶かしてくれるようだった。

そして、この狐は本当に神様なのかもしれないとも思った。

威張るだろうから言わないけどさ。

しかも

草太

もふもふ

おしまいっ

撫でちゃダメだぞー。

草太

うう。

…10年後…

草太

確か、この後セツは、こういったんだよな。

…10年前…

なぁ

俺飼ってくんねぇか?

草太

何で?

住むとこないから。

草太

まあ、いいよ。

草太

縁起良さそうだし。

恩に着る

…10年後…

その狐はセツと名付けた。

今はセツと一緒に平和に?暮らしている。

セツ

さ、ん、ポ、行っくぞー

草太

あー、ハイハイ。

草太

じゃ、行くか。

セツ

おう!

そして、散歩に出かけたのだった。

その後何が起こるかも知らずに。

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