TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

俺は少し前に交通事故にあって入院している

不幸中の幸いとでも言うべきか怪我自体は大きなものではなく

2ヶ月程度で退院出来そうなものだという

今日はその事故からちょうど1ヶ月経った

リハビリも少しずつやっていて予定よりも早く退院出来そうだ

そんなある日の事である

暗い空間に1人少女が歩いてくる夢を見た

ペタペタペタ…と裸足でタイルを歩くような足音を立てながらこちらにやって来る

そして自分に語りかけてくるのだ

少女

ねーおにーちゃん?

少女

私ねー欲しいものがあるんだー

無邪気な声とは裏腹に少女の目はどこか空虚を見ている

少女

私ー足が欲しいのー

その問いに対し俺は唖然とした

そして視線を少女の足元に向けると何故か黒いモヤのようなものがかかり足がよく見えない

もし俺が少女の問いに適当に返事を返したらろくなことにならないだろう

頭では分かってるが夢での自分を制御するのは難しい

和彦

うーん…上げたい気持ちはあるけどもお兄ちゃんも足がないと困るから少し難しいかな

無難な返しをした俺に対し少女はむぅ と膨れるが直ぐに膨れるのをやめて別の案を出してきた

少女

そっかーふたつは貰えないのかー

少女

じゃあ!片方ならいい?

和彦

うーん片方か〜…

和彦

少し生活がしにくくなるくらいだから

和彦

そのくらいならいいよ

少女

ほんと!?やったー!

少女

約束だよ!

そういうと喜んで来た道を走った戻っていく

それから少しして俺の意識はそのまま闇に溶けていった

その夢を見た翌日のことである

あの夢が不思議な夢であるのは確かだ

その上夢とはいえ恐ろしい約束をしてしまったのだ

なんとなくだがその夢が不安を煽る

そしてその不安が的中した

喉が乾き1階の自販機に飲み物を買いに行こうとした時だ

階段を使い降りてる最中足を滑らせ落ちてしまった

治りかけていた足だったために少し脆くなっていたのか左足を折ってしまった

せっかくあと少しで退院出来たというのになんとも俺はついてない

その時はそう思っていたが自分の病室に戻された時にあの少女を思い出した

【片足を貰う約束をした】あの少女を

昨日の夢のすぐ後にこんな事が起きてしまった

それを思い出してしまい不安と少しの恐怖を覚えた

そしてその夜のことまた少女の夢を見る

少女

おにーちゃん見て見て!

少女

私足が手に入ったんだよ!

少女

約束してくれた通りくれたんだね!

昨日までは見えなかった少女の足だが

今日は片足がくっきりと見えている

それも俺が足を折った左足の方だけ…

少女

それでねー

少女

今度私腕が欲しいんだー

足の次は腕を求めてきた

あんな事があった直後に俺は直ぐに返事を返せなかった

変に返せばまた同じようになる可能性がそこにあるからだ

少し考えまた前回と同じように返すことにする

和彦

足と同じで俺も腕は必要だからさ

和彦

ちょっと難しいかな

少女

えー

少女

じゃあ片腕だけでも!

和彦

う〜ん……

和彦

片腕も無くなるのはなぁ

少女

むぅ…

少女はまたもやプクッと頬をふくらませる

一見すると可愛いものかもしれないが

状況が状況な上にやはり声質と行動これらとは対極に位置する冷ややかな目

正確にはどこを見てるのか分からない光を失った空虚なその瞳

それがまた不気味さを醸し出し恐怖を感じる

膨れるのをやめてこちらをじっと見たあと【べー】と舌を出してどこかに消えてしまった

その後にまた俺の意識が消えていく

目が覚めたと同時に左足に痛みを覚える

いや、痛みで起きたと言った方がこの場合は適当だろう

その痛みは昨日階段から落ちた時の比ではない

あまりの痛さに声すらも掠れるほどだった

隣人が異常を検知してナースコールを掛けてくれ看護師が駆けつけてくれた

その後担当医がやってきて検査した結果

不思議な事に折れた左足の部分が粉砕骨折となっていたのだ

たかだか階段から落ちただけでここまでなることは無い

さらに言えば落ちたその日に検査もしてる

その時はこんな酷い状態ではなかった

この状態ではもうどうすることも出来ず致し方なくその足を切断することになった

その手術前にあの少女を思い出す

あの左足本当に自分の足を犠牲にして少女は得たものだろう、と

偶然にしてはできすぎてるこの現状に俺は恐怖以外の感情は出てこなかった

手術が始まり少しして急な睡魔に襲われた俺はそのまま眠りにつく

少女

ねーねー

少女

おにーちゃん

少女

もう私腕はいいからー

少女

遊び相手が欲しいのー

少女

私の居る世界が独りぼっちでさ

少女

話し相手が欲しいんだー

変わらぬ様子で少女は俺に話しかけてくる

もう少女の話に耳を傾ける気はさらさらない

俺は少女の願いのせいで足を失ったのだ

少女の問いに答えるともう俺はあとがないのだ

だから俺は少女の問いに答えることは無い

少女

無視するのおにーちゃん?

少女

昨日までお話してくれたのにー

少女

もー自分勝手だなー

少女

少女

でもいいや

少女

おにーちゃんはもう私から逃れられないから

先程まで嬉々として話しかけてきた少女の声は突如冷たいものに変わる

そして表情もそれに伴って冷たくなる

先程まで上がっていた口角がスっと無くなり声も無邪気なものでは無い

どこか恨みや悲しみに似た声を出して俺に話しかける

俺の恐怖を煽っていたあの瞳は更に黒くなる

その瞳に光が宿ることは無くただ真っ直ぐに俺を見ていた

その水晶体には俺しか映さない

あの空虚な瞳が俺を縛り付ける

そして最後の一言

【私から逃れられない】

俺はきっとこの先もこの少女に脅される

いや、もしかすると俺に先はないのかもしれない

この暗く何も無い空間に縛られる事も可能性としてあるのだ

俺はもう何処にも行くことは無い

お題に挑戦シリーズ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

3

コメント

1

ユーザー

果たしてこれは正夢になるのか?

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚