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山崎 孝太

俺は必ず救出してみせる

鳴沢 柚月

あ………うん

山崎 孝太

これは悲劇じゃない。次に会う時は更なる魅力に気づくことが出来るはず

鳴沢 柚月

そうだね……?

山崎 孝太

あの人も分かってくれるはず……!

鳴沢 柚月

孝太君……

鳴沢 柚月

「テニスの王●様」の話だよね…?

山崎 孝太

うん(きっぱり)

山崎 孝太

__俺は必ずボス部屋に幽閉されてしまったリョータくん(※表記は変えてあります)を救出してみせる

鳴沢 柚月

あ…………うん……頑張って……ね

一学期終業式。 夏の大会後の振り返休日みたいな感じで部活は休みの孝太君とお昼ご飯を食べて勉強会をする予定だったんだけど

___その前に孝太君の家に呼ばれて「テニスの王●様」の封印式に付き合うことになった。

「テニスの王●様」が納められた段ボールの前で、孝太君はものすごく無念そうに「受験が終わるまでは勉強に集中します」と誓いの言葉を述べ(させられ)ていた。

僕がお呼ばれされたのは、孝太君の言葉が実行出来てるか外から監視する為。らしい。

「1つでも折り目つけたらマジで怒るから」と孝太君は格好良く言い捨てて僕を連れて外に出て、今に至る。

途中でシャーペンの芯とヤケ食いする為のお菓子を買う為にコンビニに寄り、お会計を済ませると孝太君は ようやくいつもの孝太君に戻った。

山崎 孝太

昼どこで食べる?

山崎 孝太

ここからだと「ススキヤ」とか「吉原野」とかが近いけど

鳴沢 柚月

僕「ススキヤ」って行ったことないから行ってみたい…

山崎 孝太

非常に言いづらいけど…………「ススキヤ」も「吉原家」も吉田がよく出現する

鳴沢 柚月

う……

__飲食店は駅前にもあるけど中学生にはちょっと高い。(のぞみさんたちが一緒の時は駅前で食べるけど)

これから勉強会する図書館は飲食禁止だしなぁ……と思っていると、聞き覚えのある声がした。

西谷 春翔

あれ2人ともどうしたの?

山崎 孝太

あ、こんにちは

鳴沢 柚月

こんにちは

山崎 孝太

先生こそどうしたんですか

西谷 春翔

うん。期末テストも成績処理も面談も終わったからね。担任でも部活の顧問でもないから早く上がれたんだよね

山崎 孝太

今日は雑用押し付けられなかったんですね

西谷 春翔

そうとも言うね

鳴沢 柚月

言うんだ…

西谷 春翔

___それで二人は何してるの?ちなみに俺はモンブラン買いに来た。モンブランは正義

山崎 孝太

これから柚月と勉強会するんですけど、その前にどこで昼食べるかが決まらなくて

西谷 春翔

確か近くに「ススキヤ」とか「吉原家」があったと思うけど……2軒とも彼がよく出現するね…

西谷 春翔

………うん。じゃあこういうのはどうだろう

「快適さは保証出来ないけど、昼ごはん付きの勉強会が出来る場所なら1つだけ案内出来るよ」

__と先生が言ってくれたのでお言葉に甘えて案内してもらうことにした。

先生はモンブランを買うと どこか嬉しそうに車の鍵を取り出した。

外に出ると先生は鼻歌を歌いながら、遠目でも新車だと分かる車に向かった。

「これって高いやつじゃないですか」と孝太君が聞くと途端に先生の目が輝いた。

子どもの時からこの車に乗ることが夢で大学生の時からちょっとずつお金を貯めて最近やっと手に入れた、というようなことを運転しながら話してくれた。

僕よりずっと大人だと思っていた先生にもこういう一面があるんだと意外に思った。

___そんな感じで20分ほど車に揺られていると「昼ごはん付きの勉強会会場」に着いた。

西谷 春翔

まぁ狭いけど上がってくれ

着いたのは二階建ての木造アパートだ。

先生は指定された区間にしっかりと車を停めて施錠すると今度は家の鍵を取り出した。 その背中に向かって孝太君が声をかける。

山崎 孝太

あの…いいんですか?

西谷 春翔

俺は君たちと違って独り身だからね。この時間にフリーになってもやることないんだよ

西谷 春翔

____俺は2人のことをただの生徒だと思ってないからさ。教師と生徒とか関係なく俺個人のお節介だ

西谷 春翔

まぁ快適さは保証出来ないけどね

やっぱり先生は僕よりずっと大人だ。 僕が先生の立場だったら たぶん同じことは言えない。

孝太君が「どうする?」という風にこちらを見た。

___僕も(いろんな意味で)先生をただの先生だと思ってないから 答えは決まってる。

西谷 春翔

一応クーラーはあるけど、換気したいから昼ごはんが出来るまでは扇風機だけで我慢してくれ

アパートの中は結構片付いていた。たぶんこまめに掃除もしてる。

僕と孝太君が玄関で靴を揃えている間に、先生は窓を開けて扇風機をつけるとワイシャツの袖を捲って台所に向かった。

山崎 孝太

あ、何か手伝い…

西谷 春翔

大丈夫大丈夫。俺が好きでやってることだから。2人はこの後勉強するんだし今のうちに休んでて

山崎 孝太

……意外とスパダリだ……………

鳴沢 柚月

…………僕だって帰って来たら換気くらいするもん…

山崎 孝太

うんごめん今のは俺が悪かった

全っ然関係ないけど「スパダリ」は「スーパーダーリン」の略だ。 ……僕も帰って来たら換気くらいす(以下略)

15分ほどでテーブルに料理が並んだ。

西谷 春翔

有り合わせの物で悪いんだけど…

テーブルには、わかめスープと目玉焼きが乗った焼きそばが並んでいた。

立っていてもソースの香りが鼻孔を通った。 ……これを15分で作ったんだ…

山崎 孝太

先生って料理上手いんですね

西谷 春翔

俺が付き合ってた時は料理担当だったからね

のぞみさんは昔こんなに料理上手な人と………って今の彼氏は僕だから弱気になったら駄目だ。

鳴沢 柚月

僕だって練習すれば…たぶん……

青のりまで乗ってる美味しそうな焼きそばを見て口を尖らせていると、僕の肩に先生が手を置いた。

西谷 春翔

……俺の時は俺の方が年上だったからっていうのがあったけど

西谷 春翔

やっぱり料理に関しては練習しておいた方がいい。自分の身を守る為にも……まぁのぞみは君には「試作品」を食べさせたりはしないだろうけど

西谷 春翔

君は飲み込みが早いからきっとこれより良い物が出来るよ

鳴沢 柚月

頑張ります

山崎 孝太

すごい美味しいです。先生って本当に料理上手いんですね

山崎 孝太

澪さんの次に

西谷 春翔

わー凄いいい笑顔

西谷 春翔

2人は第一志望校決まってる?

焼きそば(悔しいけど美味しい)が半分ほど無くなると先生が口を開いた。

僕が焼きそばを飲み込む前に、孝太君が箸を置いた。

山崎 孝太

一応……行きたいなって思ってる所はあるんですけど、まだ誰にも相談してないです

西谷 春翔

どこの高校?

先生が麦茶の入ったコップをテーブルに置いて孝太君に向き直る。僕も食事の手を止めた。

山崎 孝太

___呉董都(おとうと)学園です

西谷 春翔

テニス強豪校だね

西谷 春翔

一回乗り換えしないといけないけど、通えない距離じゃないね。
どうしてそこに行きたいの?

山崎 孝太

この辺りだとテニスは蒼陽高校が一番強いけど、俺の偏差値だと厳しい。………っていうのもあるんですけど

山崎 孝太

_______テニスが好きなんです

孝太君はテーブルの片隅に視線を固定しながら真剣な顔で続けた。

山崎 孝太

__凄いテニスが強い人と知りあって、その人と話したりボール打ったりしてるうちに、俺はテニスが好きで

山崎 孝太

趣味で終わらせるんじゃなくて、テニスに関わる仕事に就きたいなって思ったのが一番の理由です

山崎 孝太

呉董都学園は蒼陽高校の次にテニスが強くて、大学も併設されてて特別なプログラムもあって

山崎 孝太

俺にとっては凄く魅力的な学校なんですけど……まだ相談出来てないです

西谷 春翔

どうして?

山崎 孝太

私立で………学費も凄いかかるし…両親は合格圏内にある公立高校に進むと思ってるし、俺も「テニスが強い人」と出会うまではそうするつもりだったから

山崎 孝太

偏差値も合格圏内にあるわけじゃないし…許してくれないかもって思うとなかなか言い出せなくて……やっぱり公立に行くのが妥当かなって…

西谷 春翔

それは違うよ

視線が下がっていた孝太君は先生の声で顔を上げた。 先生はしっかりと孝太君の目を見ながら続ける。

西谷 春翔

呉董都学園を第一志望にすればいいよ。自分の気持ちを曲げることはない

西谷 春翔

俺は今の話を聞いて、孝太君の呉董都学園に行きたいって気持ちを強く感じた。きっと御両親も理解してくれるよ

西谷 春翔

偏差値が足りなかったら勉強すればいい。許して貰えなかったら何度でも説得すればいい。楽して夢を叶える方法なんてないんだから

西谷 春翔

__数学で分からないことがあれば俺が教えるし、必要なら俺も御両親に頭を下げる

西谷 春翔

……俺の力なんてたかがしれてるけどな

山崎 孝太

………………いえ、そんなことないです。ありがとうございます

山崎 孝太

帰ったら相談してみます

孝太君は 吹っ切れたように微笑んだ。

____孝太君がそんな風に考えてるなんて知らなかった。

しっかりと将来を見据えてる。 ………僕はどうだろう…

西谷 春翔

柚月君は?もう決まってる?

鳴沢 柚月

あ……僕は…蒼陽高校………です

そう答えたけど、どうして蒼陽高校に行きたいのか、考えたことなかった。

ただお父さんに そこを目指せと言われているから。 それでいいのだろうか。

僕は将来何になりたいんだろう。蒼陽高校に行ったら何が出来るんだろう。

それを知る為に、自分で道を切り開いて行く為に、高校見学に行ってみよう。と思った。 わかめスープを飲み干した。

ちょっと冷めていたけどやっぱり美味しかった。

~bitter 2~

ようやく蔵書整理が終わった。 図書室内は弛緩した空気が流れているが、まだ終わりじゃない。

文庫本サイズの画用紙に、カラーペンなどを使って本の紹介文を書いていく作業__ポップ作りが控えている。(1人3枚)

2学期から新しく入る本の詳細は予め教師がプリントアウトしてくれている。 それに加えて1冊、自分がオススメしたい本のポップを作らないといけない。

いかに相手の興味を引く文章が書けるか___こういうのは私より兄の方が向いてると思う。

山崎 朋美

__画用紙貰って来たよ桃ちゃん

柴本 桃花

ありがとう

山崎 朋美

お礼を言うのはまだ早いぜお嬢さん………えー……っと…あ、いたいた

朋ちゃんは何故かしっかりと私の手を掴むと_______溝口君が座ってる席まで移動した。

朋ちゃんの意図を察した私は慌てて朋ちゃんの手を振りほどこうとするが、その前に朋ちゃんがニコニコしながら口を開いた。

山崎 朋美

ここ座っていい?

溝口 圭佑

どうぞ

朋ちゃんが振り返って親指を立てる。私は顔を赤くしながら朋ちゃんに小声でまくし立てた。

柴本 桃花

朋ちゃんっ………私もう心臓的に本当に限界で…………

山崎 朋美

何を言ってるの。部長に頼まれたんでしょ。とにかく座りなさい

朋ちゃんは私の両肩を掴んで溝口君の向かいに着席させると、自身も鼻歌を歌いながら腰掛けた。

山崎 朋美

さっきはありがと。魔窟ステージ手伝ってくれて

山崎 朋美

__溝口君はさ、なんでこの3Kの図書委員に入ったの?

溝口 圭佑

なんとなく……楽そうかなって

山崎 朋美

おお……蒼陽高校でまだそんな言葉が生きていたとは…結構先輩たちが噂してるから有名だと思ったんだけど…

溝口 圭佑

部活に入ってないのでそういう情報入って来ないんです

朋ちゃんが肘で私をつついた。 ……「部活」というワードを引き出す為に話を振ったのは すぐに気づいた。

正直心臓は本当にヤバいけど、部長に頼まれてる。なにより朋ちゃんがここまでしてくれた。

柴本 桃花

あ、あの!

声がひっくり返った。 新しく入る本の詳細が書かれたプリントを読んでいた溝口君が私を見る。

カラカラに渇いた口を懸命に動かした。

柴本 桃花

部長が……あ、男子、テニス部の部長が…良かったら入部して欲しい………って言って……るんだけど…

溝口 圭佑

……申し訳ないんですけど

語尾と一緒にだんだん視線が下がっていた私は溝口君の声で そっと顔を上げた。

溝口 圭佑

部活には入らないことにしてるんです

溝口君は申し訳なさそうに微笑を浮かべていた。 ……笑うとこんな感じなんだ。

柴本 桃花

あ…そう……なんだ

心臓が持たない。これ以上は話を続けられない。 隣に座る朋ちゃんが「よくやった」と言うように机の下で手を握った。

山崎 朋美

っていうことは家でたくさん練習してるんだ

溝口 圭佑

一応、そうですね

山崎 朋美

全国4連覇だもんね。アホガキ間違えたうちの弟もね、テニスやってて全国大会の中継毎年録画して見てる

山崎 朋美

今年も絶対見るって。あと応援するって言ってた

溝口 圭佑

ありがとうございます

……短いけど会話が出来た。

結局同じ文句で断られたじゃないか、と心の中で部長に恨み言を述べるのは、もう少し後にしよう。

プリントに従ってポップを作っているうちにヤバかった心臓も落ち着いて来た。

次は自分がオススメする本のポップ作りだ。 私は予め確保していたハードカバータイプの本を机に置いた。

私が置いた本を見て朋ちゃんが目を剥いた。

山崎 朋美

ぶ厚っ!テニス部と学業両立しながらよくこんなぶ厚いの読めるね。どういう本?

柴本 桃花

……………恋愛小説

山崎 朋美

なかなか……直情的な表現が…多いですな………桃ちゃんも夢見る女の子なんだね

柴本 桃花

べ、別にいいでしょ……朋ちゃんだって映画化された恋愛小説読んでたじゃん

山崎 朋美

推しが表紙だったからね………でもね~内容はイマイチだった…

山崎 朋美

主人公とヒロインの年が離れすぎてて現実味が薄いっていうか…年が近くないと なかなか恋愛感情には発展しないんじゃないかなって私は思ったんだけど

山崎 朋美

溝口君はどう思う?

どうしていちいち溝口君に振るの!と思ったけど、溝口君の恋愛観に興味がないとは言い切れないかもしれない。

溝口君が画用紙から顔を上げた。 歯切れのいい返事が返ってくると思ってたのに

溝口 圭佑

俺も最近まではそう思ってたんですけど……案外そうでもないですよ

溝口 圭佑

大学生の知り合いがいるんですけど、その人は中学生と付き合ってるし

その顔と声は 痛みを堪えるような 憂いがあった。

溝口 圭佑

肩書きとか年齢とかは「好き」っていう気持ちの前では何の意味もないって強く実感しました

溝口 圭佑

大学生は………中学生しか見ていないから

全部、わかった。

……あなたは

中学生しか見ていない大学生を、見てるんだね…

山崎 朋美

皆恋してるんだねぇ…

山崎 朋美

でも桃ちゃんがフラれたわけじゃないよ!

山崎 朋美

どうやら溝口君は大学生?に好意を寄せてるっぽいけど大学生は中学生?と付き合ってて…

山崎 朋美

溝口君をアウトオブ眼中にさせる中学生って何者!?って思うところもあるけど

山崎 朋美

とにかく桃ちゃんにもチャンスはあるよ!今日はもうパーッといこうよ

柴本 桃花

うん……

やっと委員会活動が終わったというのに私の心は晴れない。 胸が痛い。

___私は恋愛小説が好きだ。

「どうせ現実なんて…」と思っていても、いや思っているからこそ 登場人物に自分を重ねていくのかもしれない。

今日のポップ作りの為の小説も、読んでるこっちが恥ずかしくなりそうな表現ばかりだったけど、夢中で読んで2日で読破した。

小説のような情熱的でひたむきな恋に憧れていたのかもしれない。 手に入らないと分かっていたから憧れた。

ハッピーエンドで終わるのはフィクションだから。

苦いだけの現実に勝ち目なんてあるわけない。

1ページ目の1行目の文章 ____彼女を想う貴方を想う

胸が痛い。

女子大生と男子中学生が交際している話 シーズン2

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コメント

3

ユーザー

進路なぁ……本当に自分のやりたいことができるところ目指さないと入学してからモチベ保つのキツイからなぁ……(部活がなかったら不登校なってた説濃厚勢です) 柚月くんも自分のやりたいことに重きを置いて判断してくれるといいなぁ…… アイコンのイラストめちゃくちゃかわいくてすきです

ユーザー

TELLERの仕様が変わりましたね!オリジナルアイコンが作れるようになりました。 というわけで稚拙ですがアイコン変えてみました😳。もっとイラストのスキル上げます… 久しぶりに元カレ君登場!以前からこういう男子会書いてみたかったので非常に楽しく書けました。 読んでくださりありがとうございました❗

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