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カピバラ
カピバラ
カピバラ
カピバラ
カピバラ
カピバラ
カピバラ
カピバラ
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カピバラ
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カピバラ
カピバラ
息苦しくなるほどの人混みの中
歩道の脇に、一際目立つ君がいた
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最初は奇抜な格好をしている人だとしか思わなくて
僕はそのままダラダラと街をほっつき歩いた
結局行く宛てもなかった僕はある場所に辿り着いた
ゲームセンター
別にゲームがしたい訳じゃない
ただただゲームセンターの雰囲気を楽しみたかっただけ
そのはずなのに
いつの間にかUFOキャッチャーにのめりこみ、1600円を無駄にしていた
そんな時
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声をかけてきたのが君だった
知らない人にしてはカジュアルで
あまり正しいとも言えない礼儀
それでも、
僕は君に惹かれていた
思わず君を見つめてうっとりとしてしまう程に
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君が差し伸べた少し褐色に染った指にさえも見とれてしまう
正直、この頃の僕はどうかしてたと思う時すらあるよ
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知らない男の手を握る君の細い手と小柄な体に何も反応できず、僕はなされるがままだった
気がついた時には目の前のUFOキャッチャーが虹色に光り、景品のGETを促していた
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思わず首を縦に振る
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言えるわけがない
少し気だるげな君が、クマのぬいぐるみを両手で可愛らしく抱えているのがもっと見たかったからなんて
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僕はまた弾かれたように首を縦に振った
正直な話、ここに来るのは初めてだった
だけど、これからは頻繁に通うつもりだし、別にいいだろうと言い聞かせる
君と会う為なら何度でも来るよ、なんてらしくない言葉たちが頭の中に移りゆく
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結果はもちろん惨敗だった
EDR(Enjoy Dance Revolution)も、ヘビヘビパニックも、エアホッケーも、レースゲームも全てボロ負けだった
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サングラスの隙間からこちらをなじるような視線を向ける君に、どこか安堵すら覚えた
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今は違うとだけ言っておこう
街中で見た君には目に光がなかったなんて、本人に言えるわけもない
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そこから僕たちは定期的に遊ぶようになった
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不思議な事に、君はいつもそこにいた
どれだけ早く飛び出しても、どれだけ早くアラームをかけても
かならず君はそこにいた
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遊んでいる時の君の顔は、太陽の様だった
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レーシングゲームで遊ぶ時の横顔も
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UFOキャッチャーにのめり込んでいる時の真剣な顔も
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僕を完膚無きまでに叩きのめした時の笑顔も
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意外とくすぐりに弱いとわかった時の、あの頬を赤らめた顔も
何もかもが
愛おしかった
出会った時のような気怠げで、この世に関心なんてひとつも無かったような雰囲気の時もあったね
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瑠璃
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君のこの世への憎悪も、感謝も、何も理解出来ないような顔が僕は怖く感じていた
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いつもと違う…いや、これがいつもなのかも知れないけど、いつもとは違う儚い目には、僕は恐怖なんて感じなかった
ある日の事だった
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数分後、トイレからは目の下を赤く腫らした君が出てきた
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瑠璃
無理やり張りつけたかのような笑顔に、僕はどこか、胸騒ぎを覚えていた
赤く腫らした目、目尻に光る少しの涙、どこかおぼつかない足取り
なにかあるのは明白だった
僕は少しの間ボーッとして、すぐにその場を飛び出した
走り去る君の小さな背を追いかける
どこまでも
どこまでも
走っていても、いらない考えは振り切れなかったらしい
僕の頭に、いらない妄想ばかり浮かぶ
もし僕の存在が迷惑だったら?
もし君が僕を疎ましく思っていたら?
もし君に、
もし君に
"彼氏"がいたら?
そんなことを考えているうちに、君は曲がり角を曲がり住宅地に入っていく
どこまでも入り組む住宅地は、僕にとっては大迷路だった
ここも違う
ここも違う
ここも違う
ここも違う
完全に行き詰まり、諦めようとした僕の耳に、君の甲高い声が聞こえた
間違いない。
瑠璃が危ない
次の瞬間、僕は今まで走ったことの無いような速度で走っていた
肺に突き刺さるような痛みが走る
こんなに動いたのは何年ぶりだろう
角を曲がった時に見た光景は、信じ難いものだった
不審者?
不審者?
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不審者?
R
不審者?
僕の頭は一瞬働くのをやめていた
今まで見た事ないぐらい怒り狂う君と、逆上する男
男が飛びかかろうとしていたのを見て、僕の脳は再び動き始める
僕
不審者?
瑠璃
叫び声と共に現れたのは、他でもない貴方だった。
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