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光生
んー
光生
うわ、もう12時か
光生
はぁ
水槽を見た
信長がスイスイと 気持ちよさそうに泳いでいた
光生
お前はいいよなぁ
光生
受験とかなくて
信長
魚になりたいか？
光生
それも悪くないかも
信長
魚も色々大変だぞ
光生
そうなのか？
光生
まあ、それもそうか
光生
こんな小さい水槽の中
に入れられて
に入れられて
光生
逃げても水がないから
生きられないし
生きられないし
信長
それは人間も同じだろ
光生
え、どこが
信長
人間も一種の水槽の中
で生きてるじゃないか
で生きてるじゃないか
信長
魚にとっての水は
人間にとっての空気だ
人間にとっての空気だ
光生
なるほど
光生
でも水槽って入れ物
だろ？
だろ？
信長
地球も大気という名の
入れ物の中に入ってるだろう
入れ物の中に入ってるだろう
信長
大気から出たら、
どうなる？
どうなる？
光生
死ぬ、な
信長
だろう
光生
考えてみたことも
なかった
なかった
光生
そっか、俺たち人間も
所詮は檻の中か
所詮は檻の中か
信長
でも一度檻に入って
しまえば自由だぞ
しまえば自由だぞ
光生
そうなのか？
信長
俺を見ろ
信長は右へ行き そして左へ泳いだ
信長
どの方向にも行ける
信長
この水槽の中であれば
俺はどこにでも行ける
俺はどこにでも行ける
光生
それは小さい水槽
だからだろ
だからだろ
信長
俺にとっては広いぞ
信長
端から端へ行くだけで
かなりの運動だ
かなりの運動だ
光生
そうなのか？
信長
視点も変わって
なかなか面白いぞ
なかなか面白いぞ
光生
視点？
信長
ああ。例えば
右の隅へ行った
信長
ここからだとお前の
部屋は綺麗だ
部屋は綺麗だ
信長
でも
今度は左端へ行った
信長
ここからだとベッドの
下が汚いのがバレバレ
下が汚いのがバレバレ
光生
汚いって…
信長
この水槽の中にいる
からこそわかる事も
ある
からこそわかる事も
ある
光生
だから人生楽しめ
って？
って？
信長
ああ
信長
そして一所懸命生きろ
光生
「一所懸命」なんて
よく知ってるな
よく知ってるな
信長
「必死に生きてこそ、
その生涯は光を放つ」
その生涯は光を放つ」
光生
それ、もしかして
信長
織田信長の名言だ
信長
お前の親父さんが
言っていた
言っていた
光生
親父、また変なこと
教え込んだな
教え込んだな
信長
また、ではない
信長
名前をつけた日に
そう言われた
そう言われた
光生
そうだったのか？
信長
「その願いを込めて
この名前にしたんだ」
この名前にしたんだ」
信長
「光を放つ人生を
おくって欲しいから」
おくって欲しいから」
信長
「光生だ」って
光生
えっ
光生
まさかそれって
光生
今のって、俺の話？
信長
そうだが？
光生
えっ⁈
光生
そう言えばお前、
ずっといるよな
ずっといるよな
信長
お前より2年早く
からこの家にいる
からこの家にいる
光生
マジか
光生
っていうか
光生
名付けた理由を魚から
聞くってどうよ
聞くってどうよ
光生
つか
光生
親父どれだけ
信長好きなんだよ
信長好きなんだよ
光生
そしてそれをなぜ
魚にまで伝える？
魚にまで伝える？
信長
素晴らしい親だと
思ったぞ
思ったぞ
光生
いやいや、
そこじゃないだろ
そこじゃないだろ
信長
まあ、なにはともあれ
信長
立派な名前をもらった
以上、頑張るしか
なかろう
以上、頑張るしか
なかろう
光生
まあ、今のを聞くと
頑張るしかないけど
頑張るしかないけど
信長
自分の水槽の中で
一所懸命生きるんだ
一所懸命生きるんだ
光生
魚のくせに偉そうな
信長
なんだと
信長
先輩に向かって
光生
じゃあ、先輩こそ
頑張ってくださいよ
頑張ってくださいよ
信長
なんだ急に
光生
その水槽の中で
光生
俺の人生が光放つまで
光生
長生きしろよ
信長
言われなくとも
そのつもりだ
そのつもりだ
信長
それと先輩に対しての
態度がなっていない
態度がなっていない
光生
急に先輩面すんなよ
光生
魚のくせに
信長
フン
信長
水中で息もできぬ
人間が偉そうに
人間が偉そうに
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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