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コメント
4件
わあ…このエピソード、めっちゃ怖かったけど千尋の心情がすごく伝わってきて切なかった…!特に夏樹に会いたいって思うシーン、胸がギュッとしたよ😭 テレビから出てくる赤いマネキンの描写、映像が浮かぶようで鳥肌立った…!次どうなるか気になる〜!
#怪異
×××
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千尋が「手紙」を投函してから
3日が経った
食卓に差し込むぬるい光の光源
窓から外を覗いてみる
幼い頃に見たような
不安定な感じの薄い雲が重なり合い
不気味に蠢く空があった
もう入梅したのかどうか
よく分からない
だが最近
こんな暗い天気が続いている
そして
千尋にとっては無情な
雀の囀りがかすかに聞こえていた
大抵どんな悩みでも
一晩が明けたらどこかに消え失せていたのだが
今回は そうもいかなかった
千尋の心に深く刻まれた傷は
もうすでに決して癒えることのない
焼印になっていた
千尋
家にはもうすでに
千尋以外の誰もいない
最近は千尋の両親も
朝が忙しいからと
早く家を後にするのだった
千尋
カーテンを閉めた千尋は
ずいぶんと昔に法事で会った親戚に
「千尋はお父さんにもお母さんにも似てないね」と
言われたことがある
確かに
そうなのかもしれない
自分で鏡を見たとき
ときどき思うことがある
自分はそれなりに
「綺麗」なのではないだろうかと
「ナルシなんかじゃない」
そういう考えもあるが
どうして両親から この顔立ちのいい自分が生まれてきたのか
不思議に思うことがあった
千尋
千尋
テーブルの上の ラップがかけられた惣菜を見やる
唐揚げ その茶色の肉塊は
食物らしからぬ形に見えた
千尋
千尋
嫌な妄想が
頭の中に広がりつつあった
考えまい
考えまい
そう考えるほど
より強いイメージが
頭の中に生み出される
ならば
明るいことを考えよう
そう思うものの
軌道を脱線した思考は
その車輪を回せば回すほど
谷底へ進んでいく
一昨日からずっと
風邪で体の具合がすぐれないという理由で
学校を休んでいた
学校に行っても
もはやいいことはなにもない
最大の親友であった 弓美はもういない
担任もいなくなった
クラスはもはや再起しないことだろう
千尋
千尋
ふと
頭の中に夏樹の顔が浮かんだ
「1日でも早く離れたい」
「友達になるなんてまっぴらごめんだ」
そう思っていた
「でも今
なんでこんなに会いたいんだろう?」
「どうしてどう思うんだろう?」
「変なやつだけど
それでも 会って
話がしたい」
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋はそう思って
椅子から立ち上がる
弱々しくではあったが
しっかりと両足を床につけて
しっかりと立ち上がる
どうしてか
立ち上がったら
歩き出せる気になった
一歩前に踏み出し
反対側の足を出すと
そのままさらに一歩進む
そのまま
両足はリビングのドアへと向かった
千尋
足がぴたりと止まる
ふと返り見すると
信号のないテレビが
黒い画面を映していた
千尋
千尋
千尋は卓上のリモコンを取り
電源ボタンに指を触れる
千尋
消してはいけない気がした
何かがおかしい
背後から
誰かが千尋の背中を見ている
千尋
千尋はリモコンをテレビに向けたまま
固まってしまった
押すしかない
電源ボタンを押せば
体が動く
千尋
「何か」を断罪するように
千尋は指に力を入れた
ボタンがへこむ
テレビはスタンバイになって
画面を変えた
千尋
テレビに表示されたのは
血を幾重にも塗り重ねたような
真っ赤な画面だった
千尋は電源ボタンを連打する
千尋
千尋
しかしそれが変化することはない
テレビの画面がぐにゃりと歪み
そこから何かが出てくる
千尋
手だった
真っ赤な手がでっぱった部分から
にゅっと伸びて
ついでその持ち主である
真っ赤なマネキンが
口を大きく開いた塑像が
テレビから産み落とされた
弓美
弓美
大きく開かれた口から
枯れた喉を鳴らすような
声にならないうめきが
おくびのように溢れる
千尋
千尋
千尋は震えながら
首を横にふる
弓美
弓美
塑像の眼窩に白目が現れ
ぎょろりと回転して黒目になった
血走った目
千尋は震えながら後退りして
テーブルの足でつまずき
横に倒れてしまった
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋
気がつくと
リビングに転がっていた
カーテン越しに弱い光がさしている
千尋は汗まみれの額を拭うと
よろよろと立ち上がり
リビングのドアノブに手をかけた
千尋
それを開けたら
また呪いに囚われる
そんな気がした
それを払拭するように
扉を開く