mz
なんで、お前泣いて…

kty
…

涙を拭いながら、ktyはスマホを取り出し何かを打つ
kty
『どうして、追いかけてきたの』

mz
それは…お前が、急に来なくなったから心配で

kty
…『それは、ごめん』

mz
なぁ、また一緒にあそこで練習しようぜ?

kty
『それは、できない』

mz
…なんでッ?

kty
『僕の声は、化け物だから』

mz
は、?

kty
『小学生の頃から「化け物」って言われていじめられて』

kty
『他にもたくさん嫌なことをされてきた』

kty
『自分の「歌手」という夢も、否定され続けた』

mz
…

kty
『それで、僕は不登校になって…でも、高校には行ってみようと思えたんだ』

kty
『高校は不安だったけど楽だった。今まで否定してきた人達がいなくなるから』

kty
『でも、やっぱり夢を追うことが怖くて』

kty
『ずっと自分の夢に嘘をついてきた』

kty
『本当は歌手になりたいけど、耳が不自由な人でもできる仕事になりたいと、嘘をついた』

kty
『だって、言ったら否定されるから』

kty
『でも、先生や親、そして本当に歌手をしてる人を見て、』

kty
『やっぱり嘘をつくのを辞めた』

kty
『たとえ叶わない夢でも、もう一度だけ、追ってみたいって』

kty
『でも…やっぱり、あの一言がどうしても頭から離れなくて』

kty
『怖くて』

kty
『だから、諦めちゃったんだ』

でも、きっと打ちたくない。伝えたくない言葉なのはわかる
mz
ktyは、本当に歌手になるのを諦めるのか?

mz
まだ、心残りがあるんじゃないのか?

kty
…ッ

kty
『まだ心残りはある。きっと一生なくならないくらいの』

kty
『でも…やっぱりこんな弱い僕じゃ、なれるわけないから』

kty
『なれないのに追いかけるなんて、やっぱりおかしい事だから』

kty
『だから、歌手を諦めて他の夢 』

mz
でも、歌手になりたいのに他の夢を追いかける方が辛いだろ

kty
…ッ!

mz
それに、ktyは弱くないよ

mz
だって、1度諦めてしまいそうな夢をまた追いかけることは、きっと強いからできる

mz
そして、それを叶えるために努力することも、強いからできる

mz
だから、ktyは弱くなんてないよ

mz
誰よりも強くて、努力家な

mz
ただの男の子だよ

「ただの」と言われたことが、まだわかってないように
kty
『でも、僕は他の子と違う。欠けてしまってる』

kty
『だから、ただのなんかじゃ…』

mz
じゃあ、その欠けた部分を埋めればいいだろ

kty
『…え?』

kty
『耳が不自由なの、治るの?』

mz
そうじゃなくて

mz
耳が不自由なのは関係ない。俺が言ってるのは夢を叶えるために必要な部分のこと

mz
耳が不自由でもなれるはずだろ

mz
だって、そう信じて今まで努力してきたんだろ?

kty
『それは…』

mz
俺が言ってるのは、お前が夢を追いかけれない、そんな一言のこと

mz
そのせいで、今夢を追いかけるのを戸惑ってる

mz
なら、それを埋めればいい話

kty
『でも、そんな簡単に埋めれるわけ…』

mz
じゃあ、俺が一緒に埋めてやるよ

kty
『え、?』

mz
俺がお前の欠けた部分を埋めれるように助ける

mz
前みたいに、お前の発声練習を手伝うように

kty
『でも、mzに迷惑が』

mz
迷惑じゃない

mz
お前の夢を叶えるためなら、俺は手伝うよ

mz
でも、それはお前がまた目指すならの話

kty
…

mz
本当に夢を諦めるのか、それとも

mz
俺と一緒に欠けた部分を埋めながら夢を叶えるか

mz
お前は、どっちを望む?

kty
『…ほんとに』

kty
『また、追ってみてもいいの、?』

kty
『叶わないかもしれない夢なのに』

mz
もちろん

mz
お前が追いたいなら追えばいい。

mz
だって、たとえ叶わない夢でも、追うのは自由だろ?

kty
『…ぼく』

kty
『また、夢を追いたい。』

ktyは、今まで1番いい笑顔をしてそう打ったのを、俺に見せてきた
mz
よし!じゃあ明日から再開だな

kty
『うん!』

kty
『でもmzち、もうめっちゃ暗いよ?』

mz
…え?

mz
やっば!?めっちゃ暗いじゃん

kty
『…泊まってく?』

mz
…いいのか、?

kty
『うん、こんな暗い中mzち1人にしてたらなんかやらかしそうだし』

mz
俺がやらかす側かよ

kty
『そんな見た目してるし』

mz
そんなわけないってー

mz
まぁ、ありがたく泊まってくよ

kty
『ん、じゃあ着いてきてね』

mz
んー

kty
『あ、言い忘れてた』

mz
?

kty
『mzち、』
