テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夕方。 家には、私と兄だけ。
テレビはついてるのに、内容は全然頭に入らない。 ソファの端と端。 近いのに、遠い。
のあ
兄は、私の方を見ない。 でも、視線は何度も迷っているのがわかる。
ゆあん
呼ばれて、心臓が跳ねた。
ゆあん
低い声。 逃げ道をふさぐみたいな静けさ。
私は頷いて、兄の部屋についていった。
ドアが閉まる音。 それだけで、胸がぎゅっとなる。
ゆあん
そう言われたのに、兄は私から目を逸したまま。
ゆあん
前置きが、ずるい
ゆあん
拳を握りしめる音が、やけに大きく聞こえる。
ゆあん
一拍。
ゆあん
そこで、やっと目が合った。
苦しそうで、必死で、でも⸺逃げない目。
ゆあん
一歩、近づく。 でも触れない。
ゆあん
喉が詰まる。
ゆあん
声が、少し震えた。
ゆあん
世界が、一瞬止まった。
ゆあん
はっきり、言い切る。
ゆあん
私は、息の仕方を忘れていた。
ゆあん
自嘲気味に笑う。
ゆあん
一歩、また近づく。
ゆあん
深く息を吸って。
ゆあん
視線が、私から逸れない。
ゆあん
⸺選択肢を、くれる。
でも、それは同時に 逃げ場をなくす言葉だった。
私は、震える足で一歩踏み出した。
距離が、消える。
兄の呼吸が、近い。
ゆあん
最後に、低く。
ゆあん
抱きしめない。 触れない。
ただ、言葉だけが、全部を越えた。
胸がいっぱいで、 涙が溢れそうで。
でも⸺逃げたいなんて、思わなかった。