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鬱の気

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鬱の気

2 - ここ、でもない

♥

34

2023年05月08日

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司書

ここ、でもない

司書

あれ、また本が消えてる

司書

なんで?

秋声

司書さん、どうしたの?もう、まったく、館長も人遣いが荒いよね。

司書

あ、徳田先生……。

秋声

潜書に失敗した後は、みんな気が立ってるっていうのに……

徳田先生は、黒くなった本を取り上げた。それは、私たちの書いた本だった。

帝国図書館の、司書たちの日々のエッセイを綴った、アンソロジーだ。

秋声

これ、見えてない?

司書

あ、あの。まさかこんな本が有碍書に!?

秋声

敵からしてみれば、本丸を狙えって、ところだと思うよ。

司書

どどうしましょう。今すぐ館長に……!!

秋声

僕もついてく

司書

どうしよう。私たち、いなくなっちゃうのかな……。

司書

死んじゃうのはやだよ……

報告は聞いた。今すぐ会派を結成し、司書官のアンソロジーに潜書する。

秋声

僕も出るよ。あと、空いてるのは、川端先生と、吉川先生ぐらいか……。

秋声

司書さんは、図書館で待ってて

司書

で、でも……

秋声

いいから

太宰

あれ、もう朝だ……。

太宰

体、良くなってる。

太宰

うう〜ん!

太宰

オダサク?は、いない……。

太宰

もう!オダサクのあほ!!

司書

ぐす、ぐす……ぐす

太宰

泣いてる、お司書さん?

司書

太宰先生……侵食って、こんな気分だったんですね、私、初めてで……

司書

ぐす、うえっく、お母さん……

太宰

だ、大丈夫?よしよし。

司書

太宰先生……ッ!!私、もう書けません……!!

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