司書
ここ、でもない
司書
あれ、また本が消えてる
司書
なんで?
秋声
司書さん、どうしたの?もう、まったく、館長も人遣いが荒いよね。
司書
あ、徳田先生……。
秋声
潜書に失敗した後は、みんな気が立ってるっていうのに……
徳田先生は、黒くなった本を取り上げた。それは、私たちの書いた本だった。
帝国図書館の、司書たちの日々のエッセイを綴った、アンソロジーだ。
秋声
これ、見えてない?
司書
あ、あの。まさかこんな本が有碍書に!?
秋声
敵からしてみれば、本丸を狙えって、ところだと思うよ。
司書
どどうしましょう。今すぐ館長に……!!
秋声
僕もついてく
司書
どうしよう。私たち、いなくなっちゃうのかな……。
司書
死んじゃうのはやだよ……
猫
報告は聞いた。今すぐ会派を結成し、司書官のアンソロジーに潜書する。
秋声
僕も出るよ。あと、空いてるのは、川端先生と、吉川先生ぐらいか……。
秋声
司書さんは、図書館で待ってて
司書
で、でも……
秋声
いいから
太宰
あれ、もう朝だ……。
太宰
体、良くなってる。
太宰
うう〜ん!
太宰
オダサク?は、いない……。
太宰
もう!オダサクのあほ!!
司書
ぐす、ぐす……ぐす
太宰
泣いてる、お司書さん?
司書
太宰先生……侵食って、こんな気分だったんですね、私、初めてで……
司書
ぐす、うえっく、お母さん……
太宰
だ、大丈夫?よしよし。
司書
太宰先生……ッ!!私、もう書けません……!!