いつもこのバス停でバイバイを言った
バス停の裏を覗いたら
まだ君がいる気がした
10年前
柚愛
はしゃいだ声で私が言うと、
君
太陽みたいな笑顔で君が答えた。
神社前
柚愛
君
やっぱり太陽みたいに笑った
少しずつ階段を登ると、鳥居が見えてくる
空には乾いた雲と君みたいな太陽
時々吹く風には、夏の匂いが含まれてる。
君
柚愛
君は鳥居をくぐって、神社の砂利に寝転んだ。
柚愛
君
君
柚愛
君
思わず絶句してしまった私に、君が笑う。
やっぱり太陽みたいだ。
柚愛
私は君のそばにしゃがんだ
君
急に君が話しだした
君
君
真剣な顔で言う君に、夢見てるなぁ、と思った。
柚愛
君の言うことには追い付けないや……
君
君
君
空気を変えるように君が言うから。
柚愛
なにかを吹っ切るように私は言った
その年の8月
君
君
柚愛
柚愛
柚愛
突然君が言うからびっくりしてしまう。
柚愛
君
なんだか嬉しそうに言う君に、頬が緩んだ
君
柚愛
君
柚愛
少し、子供っぽいなと思ったのは、ここだけの話。
当日
君
少し遠くで、私を呼ぶ声がする。
柚愛
鳥居の前に、君がいた。
柚愛
君
『俺も今来た所!』とか言わない所、素直だなぁ……
君
君
柚愛
神社には、沢山の出店があった。
りんご飴、綿菓子、かき氷、焼きそば……
ヨーヨー釣り、金魚すくい、射的、盆踊り……
神社に実った山桜桃が、いつもよりおしゃれに見えた。
君
君
君は、出店の食べ物を全て食べたんじゃないかというくらい食べていた。
柚愛
ははは、と笑った私に、
君
そう言って、私の手首にかけられた袋を見る。
君
ははっ、と笑う君に、ムッとしてしまう。
柚愛
君は、時計を見て言った
君
柚愛
君
君が指差した方を見た
ドォンッ
パチパチパチ…
柚愛
柚愛
開いては散っていく。
キラキラの火花を残して。
柚愛
ドォンッ
パチパチパチ…
私の声と花火の音がぶつかった。
君
君
君
振り向いた君。
柚愛
柚愛
慌てたように言う私。
君
君
君はまた、花火の方を見た。
……伝わらなかった、か……
花火みたいに散った、私の初恋。
それから私は、口を噤んだまま。
ドォンッ
パチパチパチ…
最後の花火が終わった。
君
君
柚愛
柚愛
綺麗に散ったよ、私の初恋。
君
君
そう言って、君が神社の階段を降りだした。
私も君を真似て降りだす。
並んだ影が、夜の暗さに滲んでいった。
君
君
柚愛
君
君がワクワクした目付きで言うから
柚愛
なんだか私もワクワクしてきた。
いつものバス停、8:30。 学校に行くときの待ち合わせ。
私達の出会いは、いつもあの場所からだった。
君
やっぱり君は、はしゃぐ。
夜の笑顔は、さっき見た花火みたいだった。
柚愛
君
必死に空を指差す君。
この時間がずっと続けばいいのに。
柚愛
君
君
君
それっぽい星を指でなぞる。
柚愛
君
あーでもないこーでもないと言い合う時間が、何より愛しかった。
現在
なんとなく、夜道を散歩していた
……君は今、何してるかな。
今も太陽みたいに笑ってるだろうか。
つま先を見つめて、そんなことを思う
柚愛
そんなことを思っていると……
ドンッ
私の影と誰かの影がぶつかった
柚愛
柚愛
君
柚愛
君
君
君
君がいた。少し大人っぽくなった顔立ちをして。
柚愛
君
柚愛
柚愛
私達は、あの神社に向かった。
君
柚愛
君
いたずらっぽく笑う君は、やっぱり太陽だった。
柚愛
柚愛
柚愛
ちょっとふざけて聞いた
君
柚愛
『私はまだ、君が好きだよ』
とは、言えなかった
君
君
ちょっと真面目な顔で、君が言う。
柚愛
柚愛
私だったらいいな。
口に出せなくても、一つでいられたらいいな。
……そんなこと、ありえないけど。
柚愛
君
柚愛
柚愛
柚愛
君
また太陽みたいに君が笑った
……私はいつも
君との思い出を噛み締めてるだけ。
ただ君に晴れ:ヨルシカ 様
コメント
6件
あまり良い物には出来ませんでした~💦ありがとうございます!
ただ君に晴れがでてる!
本当にありがとう~!勇気出る!!