涼太
マジで美人
啓介
でも実態が無いんだろ
涼太
そこが問題なんだよ
涼太
周りはスルー、俺にだけ見えてるみたい
啓介
その図書館明日も行くのか?
啓介
あの私語厳禁で厳しい図書館だろ
涼太
そう、そこ
涼太
明日ももちろん行くよ
涼太
もう日課だね。生まれて初めて自分の霊感に感謝
啓介
じゃあ俺も行くよ、いいだろ?
涼太
いいよ
涼太
もし見えたらラッキー
啓介
見えなかったら?
涼太
フツー
啓介
そうだな、俺、一般人認定
次の日
啓介
いる?
涼太
いるよ、一番窓際の席、そっちから見えない?
啓介
窓際の席は誰も座ってないよ、どこから見ても
涼太
やっぱり俺だけにしか見えないんだ
啓介
お前の霊感疑うわけじゃないけど、どう見ても誰もいないぞ
涼太
俺からは見えるんだって
涼太
あ
啓介
どうした?
涼太
今、目が合った
啓介
マジか?
その日の夜
啓介
結局なーんにも見えなかった
涼太
そう言うなよ、俺には見えてるんだから。窓辺の君が
啓介
なんだよ、窓辺の君って
涼太
俺が付けたんだよ、いいだろ
啓介
はいはい、もうすっかり恋する少年だな
涼太
悪かったな
涼太
でもお前にも見せたいよ。あのスッとした長い黒髪、パチっとした大きな瞳
涼太
そしてそして、目が合った時のはにかんだあの表情
啓介
お前、病気だよ。俺もう寝るわ
涼太
おう、おやすみ
次の日の夜
涼太
ちょ、聞いてくれ
啓介
何?また窓辺の君?どうした?
涼太
キスした
啓介
マジか!
啓介
目を覚ませ、しっかりしろ、正気に戻れ
涼太
いや、正気だよ、お前にしかこの話してないんだよ、どうすればいいんだ俺
啓介
要するに幽霊とキスしたってことだよな
涼太
そうなるかな?
啓介
お前、明日病院行って来い
涼太
いや、マジなんだって
涼太
ちゃんと感触もあったし
啓介
ホントに?
涼太
あった
涼太
と思う
啓介
何だよ、と思うって
啓介
どんなシチュエーションよ
涼太
彼女と目が合って、彼女が立ち上がって本棚へと歩いた
啓介
それから?
涼太
誰もいない本棚と本棚の間でこっちを向いた
啓介
ふむふむ
涼太
俺の顔を確認して目を閉じてアゴを上げた
涼太
もうこれはキス待ちだろ?
啓介
うーん、なんか腑に落ちない
涼太
お前、うらやましいだけだろ
啓介
うらやましいけど、なんか腑に落ちない
啓介
何が目的だ、何のためにそんなことを
涼太
分からない、きっと俺に恋したんじゃない?
次の日の夜
涼太
聞いてくれ
啓介
なんだ、今日はキス以上に進展したか?
涼太
そうなんだよ
啓介
え、そうなの?マジで?
涼太
お願いされた
啓介
何を?
涼太
なんか一緒にいたい、みたいな感じ?
啓介
それはヤバイ
涼太
こっち側に来てって、筆談で
啓介
うわぁ、それ一番ヤバイやつじゃん、お前もうあの図書館行くな
涼太
でもあんな顔されたら、それもいいかなって思った
啓介
それもいいかなってことは、お前死んでもいいってこと?
涼太
死ぬのはイヤだけど彼女のことは死ぬほど好き
啓介
お前取り憑かれてるよ、そういうのは本人には分からないんだよ
涼太
そうか?
啓介
そうだよ
啓介
とにかくもうあの図書館には行くな。そうだ明日は一緒に出かけよう
涼太
出かけるってどこへ?
啓介
ちょうど俺洋服買いに行こうと思ってたんだよ。付き合ってくれよ。帰りにマックおごるから
涼太
図書館寄ってからでもいい?
啓介
ダメ、学校終わったらそのまま行こう
涼太
うーん
涼太
分かった
次の日の放課後
啓介
あれ、教室にいないじゃん、涼太どこ行った?
涼太
ごめん、いま図書館
啓介
マジか、何で図書館にいるんだよ、変なニュース流れたからお前かと思ってビビった
啓介
今から迎えに行くから服買いに行くぞ。窓辺の君も一目見れたら今日はもういいだろ
涼太
分かった、でも服買いには付き合えないかも
啓介
なんで?
涼太
いや、何でもない、来たら話すよ
啓介
とにかく待ってろよ
啓介
啓介
図書館ついた、どこにいる?
涼太
見つけてみて
啓介
何だよそれ、まぁだいたい分かるけど
啓介
いた
涼太
見つけた?
啓介
見つけたよ、窓辺の君が座ってた席じゃん。今日は彼女いないの?
涼太
俺、啓介から見えてる?
啓介
は?何言ってんの?いいから行くぞ
涼太
啓介、彼女が成仏するためには身代わりが必要だったんだって
啓介
何だよ急に
涼太
それでな
涼太
次の身代わりになる人にしか見えないんだって