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LANが行方不明になった。街の見回り中、“鬼を見たような気がする”そう言って森の奥に入っていったLANの行方がわからなくなった。もう一週間も経つのに、情報の一つもないし…LANの行方どころか、LANの物や痕跡も見つからなかった。
みこと
すち
会話の空気も自然と沈んでしまう。みこととすちの会話に終止符を打ちたくて、俺は立ち上がる。
いるま
そのまま部屋を出たからその後のみこととすちがどんな会話をしていたかは知らない。
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いるま
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いるま
LANのことがあってから一人での見回りは禁止された。
俺ら5人…いや、LAN含め6人は街の警察みたいなものだった。それこそ犯罪を犯した人間を捕まえたり、夜の街を見回りしたり。それなりに剣術も体術も優秀な俺らは、鬼退治も仕事に含まれていた。
鬼、と言っても童話に出てくるようなものではなく、見た目は殆ど人と一緒で。ただ、頭に生えた角と口元を隠したマスクが人外であることを示している。
鬼はそんなに強い種族ではないが、一般人では太刀打ちできない。その為、基本的に鬼退治をするのは俺達の仕事だ。しかし、俺達にも力の差はある。一番強いとされていたLANが行方不明になったんだ、警備も厳重になるし、なにかしらの対策はしなきゃならない。人数を増やせばいいってもんでもないと思うけどな…。
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いるま
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いるま
自分のものとは思えないような低い声だった。珍しくなつも驚いたのか、肩がビクリと跳ねる。
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なつは何か言いたげだったか、諦めたのか口を閉じた。
なつと二人で夜の街の見回りをしていく。特に会話もなく、何の問題もなく見回りは終わりそうだった。
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いるま
くるりと踵を返した時、屋根の上に人影が見えた。登れそうな取っ掛かりもなく、高さもかなり高い。かなり身体能力が高ければ不可能ではないが…。
いるま
夜風に吹かれる黒と桃色の髪。そして、右耳に光る何か。あれは、俺がLANにプレゼントしたイヤリングじゃ―――。
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いるま
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いるま
LANがいなかったか?”そう問いかけようとして、口を噤んだ。
俺は初めて会った日からLANが好きだった。俺らより強いのに女の子みたいな顔と声。別に女の子みたいだから好きなわけじゃなくて、一目惚れしたのは事実だけど、俺はLANの内面も好きだった。
…そして、なつもLANが好きなことを知っていた。そもそもリーダーであるLANはいじられキャラではあるけど、皆から信頼されていたし、みこともすちもこさめも、友愛の感情は抱いていただろう。
そんななつに、LANが居たかもしれないことを告げれば、なつはLANを探そうとするだろう。…俺の中の黒い感情が囁いた。“秘密にしておけば、LANを独り占めできる”、と…。
いるま