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鮭盛り合わせ

22 - ハプニング(krsh)

♥

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2023年08月09日

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今日は学校の空き教室を借りてアナログゲームの撮影をして、今は休憩中。

NakamuやBroooockはシャークんにひっつき虫だし、きんときやスマイルはそんな彼と会話を弾ませる。

入る隙が無い。

皆シャークんが好きなんだ。

勿論変な意味ではなく友達として。

でも俺は違う。

出来ることなら彼と手を繋ぎたいしハグしたいし唇を重ねたい。

いくら願った所で叶わないけれど、でもやっぱり面白くない。

そんな時だった。

ふと学校の用務員さんがやって来て俺達を呼ぶ。

用務員

お、君たち丁度いい所に居た!

Nakamu

なんすか?

この人は誰にでもフレンドリーに接してくれて人気が高い。

たまに飴をくれたりして俺もよくお世話になっている。

用務員

そろそろ災害時用の備蓄を更新しないといけないんだけど、僕他にもやらないといけない事があってさ。悪いんだけど誰か代わりにお願いできないかな

両手を合わせて軽く頭を下げる彼にシャークんは嫌な顔せず頷く。

シャークん

いいですよ

用務員

本当?助かるよ

お互いに柔らかい雰囲気を纏っていて花が飛んでいる。

なんて悠長な事を考えている場合ではない。

これはチャンスだ。

独り占めするチャンス。

誰かが声を発するより早く俺は立ち上がった。

きりやん

俺も手伝う!

用務員

きりやん君も手伝ってくれるの?

きりやん

はい!

すると心優しいワイテルズのメンバーが次々と手を挙げる。

Nakamu

俺も手伝うよ?

きんとき

皆でやった方が早く終わるでしょ

スマイル

皆行くなら俺も行く

Broooock

僕もー

これはまずい。

折角の申し出だけれど早く手を打たなければ。

きりやん

そんな多人数で行っても狭くて逆にやりづらいでしょ

きりやん

俺とシャークんで行ってくるから次の撮影準備でもしててよ

きんとき

あーそっか

Broooock

なら僕飲み物とお菓子買ってくるー

Nakamu

あ!俺も甘いの欲しいから一緒に行く!

スマイル

じゃあシャークん、きりやん頼んだ

納得して貰えたようで良かった。

行ってきますと手を振り、少しでも長く隣に居たいが為に態とゆっくり歩き倉庫に向かう。

災害用の備蓄が置かれている倉庫の場所は知っていたが訪れるのはほぼ初めてだ。

もしかしたら入学当時に案内されて以来かもしれない。

中に入る時に床に落ちていた箱を蹴飛ばして何しているんだと笑われて、かっこ悪いスタートを切った作業は、シャークんがダンボールを確認し俺が運ぶという役割分担が自然と出来上がった。

メンバー1の力持ちの実力を見せつけて後で労ってもらうのだ。

シャークん

じゃあ古いのと新しいの入れ替えるから、そっち置いたの全部外出して

きりやん

おけー

引越し業者のゲームでは皆の邪魔ばかりして笑いを生み出していたシャークんだけど、今は無駄が無くてかっこいい。

ギャップというやつだ。

優しくて可愛くて仕事もできるなんて、そりゃ女の子じゃなくても惚れてしまうよ。

なんて考えながら外に出ようとしたのだが、

きりやん

あれ?

ドアが開かない。

押しても引いてもびくりともしない。

シャークん

どうした?

きりやん

鍵かかってる!

異変に気づき見に来てくれたシャークんに伝えれば呆れた顔でため息を吐かれてしまった。

シャークん

ここの扉オートロックだよ、お前知らなかったの?

きりやん

オートロック!?

初めて知った。

確かにうちの学校はセキュリティが強いから何等不思議では無い。

きりやん

あれ、でも普通内側からは開くよね?

シャークん

開くはずだけど

きりやん

開かないよ?

シャークん

え?

立て付けが悪いわけでも無さそうだし、鍵穴があるわけでもない。

これってもしかして、閉じ込められたのでは。

シャークん

鍵壊れてるのかも

きりやん

シャークんどうやって中入ったの?

シャークん

開いてたんだよ、小さい箱がストッパー代わりになってて

きりやん

小さい箱……

そういえば、入る時に何か箱を蹴飛ばしたっけ。

シャークん

きりやん!

きりやん

ごめんなさい!だって知らなかったんだもん!

シャークん

取り敢えず誰かに電話して開けてもらおう

きりやん

あ、スマホ鞄の中だ…シャークん貸して

シャークん

……

え、あれ。

もしかして…。

きりやん

持ってない…?

シャークん

置いてきちゃった……

こんな漫画みたいな展開って本当に起こるものなんだね。

俺の不安に思う気持ちが顔に出てしまっていたのかシャークんが尖った歯を見せて笑う。

シャークん

大丈夫だって!俺達がここに居ることはアイツ等も用務員さんも知ってるんだし、そのうち見に来てくれるよ

きりやん

うん…そうだね…

一生懸命元気づけようとしてくれるのは有難いんだけど、違うんだよシャークん。

そんな事くらい俺だって分かっている。

問題は誰かが来てくれるまでの間だ。

男同士、密室、何も起きないはずもなく…。

って言葉を聞いたことがある。

一体何が起こるというのだろうか。

もっと詳しく調べておくんだった。

シャークん

きりやん?

きりやん

ひゃい!

シャークん

どうした?顔怖いよ?

きりやん

え…そ、そうかなぁ?何でもないよ!

これはまずい。

意識したら急に緊張してきた。

シャークん

荷物運んで疲れちゃった?出れなさそうだし座ってれば?

きりやん

はい、そうします

落ち着け俺。

2人きりになったことなんて今まで沢山あるではないか。

大人しく座っていれば何も起こらない。

平常心、平常心。

シャークん

水飲む?

きりやん

うぇ!?あ、み、水!?飲む!飲む飲む!

無理だ。

床に座り壁に寄りかかっているから当然シャークんの方が目線は高いわけで。

そんな場面今までだって幾らでもあったけど、正面から前屈みになって見つめられたことなんて無い。

小さい子じゃないのだし目線を合わせてくるなんて思ってもみなかった。

前屈みってこんな殺人的なポーズだったっけ。

前に垂れた服の隙間から胸が見えちゃいそうだよ。

そっちの方が高い位置に頭があるのに何で上目遣いになるのかな。

明るいわけでもないのに後光が差してる。

なんか白い翼も見えてきた。

あれ、天使?

シャークん

はい水。俺も休憩しよーっと

きりやん

ありが…と……

どうして隣に座るのかな。

近いんだけど。

受け取った水をがぶ飲みしたら落ち着いて飲めって笑われてしまったけどそれどころでは無い。

もうほぼ触れている。

距離感バグってやつだ。

普段は気にならないのに。

早まる鼓動を誤魔化すように話題を作る。

きりやん

そういえば非常用の水なのに飲んじゃって良かったの?

シャークん

どうせ新しいのと交換するし、置いとけない分は皆に配るだろうから1本くらい大丈夫だよ

そう言って俺の手からペットボトルを抜き取ったシャークんはさも当然かのように口をつけた。

待ってそれ間接キス。

きりやん

何してんの!?

シャークん

何って?

きりやん

いや…え…あれ……ん?

間接キスって普通の事だっけ。

そうだ、今更何を恥ずかしがっているのだろう。

食べ物だってシェアする仲ではないか。

メンバー皆で1本のコーラを回したことだってある。

バグっているのは俺の方だ。

1人でアタフタしている俺を不審に思ったのか、気づけばシャークんの顔が目の前にあった。

シャークん

今日のきりやん変だよ…大丈夫?

きりやん

近っ…あ……危ない!

シャークん

うわっ!

あまりの近さに動揺し身を引くと積んであったダンボールにぶつかってしまい、バランスを崩した箱はシャークん目掛けて倒れてくる。

反射的に守ろうとしたのだが、それが良くなかった。

今の状況は誰がどう見ても俺がシャークんを組み敷いているようにしか見えないだろう。

キョトンとした顔で見上げてくるシャークんは余りにも純粋で可愛くて小動物みたいで、早く退かなくてはならないのに危なっかしいと思う程に無防備で中々動くことが出来ない。

きりやん

ご…ごめん…

シャークん

うん…きりやん怪我してない?

きりやん

してないよ…

この気まずい空気の原因は明らかに俺なのに、ずっと続けばいいななんて思っている。

いや気まずいと思っているのも俺だけかもしれないけれど。

シャークんは一向に動く気配のない俺を嫌がるわけでも押し退けるわけでもなくそのまま会話を続けた。

シャークん

最近何かあった?

きりやん

え…?

シャークん

悩みとか困ってる事とかある?

きりやん

悩み…

今正に悩んでいるし困っているのだが、それを伝えるのはとても恐ろしい。

けど、何故だろう。

緑色の目に見つめられると勝手に口が動いてしまうんだ。

きりやん

好きな子がいるの…

シャークん

え、全然気づかなかった…どんな子?

きりやん

同級生で笑顔が可愛くて、頼りになるけど天然で、努力家でかっこよくて癒しをくれる人

きっと自分のことだとは思っていないんだろうな。

シャークんらしいと言えばらしいのだけど。

シャークん

好きな人ができてよかったじゃん!何かあったらいつでも相談しろよ?俺じゃ頼りないかもしれないけど協力するから!

ほら。

犬を撫でるみたいに髪をわしゃわしゃと掻き乱してきて悪戯っ子のように笑う。

シャークんがいけないんだ。

必死に抑え込んでいる理性を揺さぶるようなことをしてくるから。

きりやん

本当に協力してくれる?

シャークん

当たり前じゃん、俺に出来ることなら何でも言ってよ

きりやん

じゃあじっとしてて

シャークんが口を開くより先に顔を近づけた。

重ねた唇は思っていた通り柔らかくて、何時まででも味わっていたくなる。

でもそういう訳にもいかず体を起こせば耳まで真っ赤に染めて呆然と見つめ返してきた。

シャークん

きり…やん…?

きりやん

シャークんが言ったんでしょ?協力するって

シャークん

俺は真剣に…

きりやん

俺だって真剣だよ!まだ分からないの?

からかわれたと思ったのだろう。

メンバー同士仲が良すぎるというのも考えものだ。

抱きついたり押し倒したりは日常茶飯事。

だから感覚がおかしくなっているのだ。

でも唇へキスをする奴なんて居ない。

俺は冗談で終わらせたりなんかしないよ。

きりやん

俺の好きな人は同級生で笑顔が可愛くて頼りになるけど天然で、努力家でかっこよくて癒しをくれるシャークんだよ

きっと人のこと言えないくらい俺も赤くなっている。

もっとスマートにかっこよく告白できたら良かったのだけど、俺にはまだ無理そうだ。

さっきまで無邪気に笑っていたシャークんはだいぶ大人しくなり困惑しているとひと目で分かった。

きりやん

もう一回キスしていい?

シャークん

っ…

きりやん

嫌なら逃げていいから

最初から力なんて入れていない。

俺より力の弱いシャークんでもその気になれば抜け出せるだろう。

けど再び重なった唇に期待してしまう。

俺の手に指を絡ませるだけで退かそうとはしない。

何処までなら許してくれるだろうか。

舌を入れたら、肌に触れたら、繋がったら。

用務員

シャークん!きりやん君!居るかい?

ノック音と共に聞こえた用務員さんの声に我に返ってシャークんから離れる。

もし声をかけられなかったら歯止めが効かなくなっていたかもしれない。

危なかった。

きりやん

居ます!

用務員

ごめんね、鍵が壊れていることを伝え忘れちゃって

ゆっくりと体を起こすシャークんに代わって返事をすれば外から鍵を開けてくれた。

散乱したダンボールを整えシャークんの手を引いて部屋を出る。

きりやん

あ、古い水1本貰っちゃいましたけど

用務員

いいんだよ、1本でも2本でも持っていきな

きりやん

ありがとうございます

用務員

こちらこそ有難うね。後は僕がやるから戻っていいよ、お疲れ様

相変わらず彼は優しい。

お言葉に甘えてお任せしよう。

シャークんと2人で廊下を歩く。

きりやん

ねぇ

シャークん

なに?

きりやん

逃げなかったってことは期待していいんだよね?

遠くの方でメンバーの楽しそうな笑い声が聞こえる。

シャークんを独り占めできるのもあと少し。

でも、もう寂しいとは思わない。

シャークん

協力するって言っただろ、ばーか

俺が一方的に掴んでいた手が握り返してきて、愛おしさにまたキスをしようとしたら場所を考えろと止められた。

きりやん

じゃあ、撮影全部終わったら俺の家来てくれる?

シャークん

まぁ…いいけど…

きりやん

泊まり!泊まりがいい!

シャークん

調子乗んな!

軽く頭を叩かれてしまったけれど、優しいシャークんは俺の願いを聞いてくれるだろう。

楽しみで嬉しくて、その後の撮影は絶好調だった。

数日後、投稿された動画のコメントに「今日は一段と元気だね」「何かいい事でもあったのかな」と書かれていて、シャークんを抱きしめながらニヤつくこととなる。

END

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シャケが天然発揮しててもう尊い‼︎ もし良ければなんですがbrsh で配信プレイてっお願いできますか?

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