少女と別れて、 3週間ほどたった頃だった。
???(テレビの音)
ふと、耳に入ってきたその 歌詞とその歌声は 聞き馴染みのあるものだった
赤松楓(ヒロイン時代)
???(テレビの音)
ゼロ原
この歌声...
テレビから流れてきたその歌と歌声とその声の主に 僕は視線を奪われた。 そこに映っていたのは、 その歌を歌っていたのは、 紛れもない、 僕が殺した彼女だったのだ。
シン松
境界線はもうどこにもない
感情の振動をまんま伝えるよ 答えてよ!
七色仕様
エモーショングラフィー♪
違う。そんなはずは無い。 僕は殺したんだ。 彼女を殺してしまったんだ。 生きているはずないんだ... この手に未だに感触が 残ったまま離れないのだから。
ゼロ原
ゼロ原
この娘だって、あの娘に似てるだけの他人だ。
そう言い聞かせても 僕の心は跳ね上がって 仕方がなかった。
気づけば、僕は彼女の コンサートに 通うようになっていた。
シン松
次回もまた聞きに来てくださいね〜!!
深くお辞儀をした彼女はファンに向けて手を振りながらはけていく。
ゼロ原
やはり、彼女の行動 一挙手一投足があの娘に思えてならない。
...なんか、これじゃ、この娘の追っかけだな〜と思っているときだった。 帽子を深く被った誰かがぶつかってきた。
ゼロ原
シン松
お怪我はありませんか...?
ゼロ原
え、あ、だ、大丈夫です。
あなたは大丈夫ですか?
シン松
...あれ、貴方は...いつも私のコンサートに来て下さる方ですね?
応援して下さりありがとうございます...^^
ゼロ原
いえ、これからも応援させていただきますね!
シン松
あ、次の現場に行かなくては行けないので、失礼しますね...^^
ゼロ原
シン松
そう言って彼女は駆けていった。 ......やはり、あの娘のわけが無い。
ゼロ原
やっぱり、僕はキミとの約束を
守れそうにない............。
僕は生きる気力を無くし、 とある崖の上に立っていた。
ゼロ原
思い出が僕を許そうとしてくれないんだ...。
苦しいんだよ...。
今、キミの元へ行くから......
幽霊松
まだこっちに
きちゃダメだよ......!!
崖から身を投げようとした その時だった。
シン松
なんで、死のうとしてるの.........!?
僕の手を掴んで 必死に引き上げようとしてくれているのは、 あのシンガーのあの娘だった。
ゼロ原
シン松
離したら死んじゃう...!!
.....................!?!?
ゼロ原
だから離してくれよ...ッ!!
シン松
...それは違うよ!!
ゼロ原
シン松
どんな状況でも冷静な判断ができるひと............
......そして、誰よりも優しいひとだよ.........
ゼロ原
頼むから放っておいてくれ!!!!!
シン松
放っておけるわけないよ......?
だって...ようやく...会えたんだよ...?
...私...終一くんに......ずっと......
会いたかったんだよ.........?
ゼロ原
シン松
放っておくなんて出来ないよ......
ゼロ原
その顔で、その声で
僕を呼ばないでくれよ......
シン松
シン松
死なせたくない.........。
ゼロ原
ふと気が付くと僕の頭で拒否はしているはずなのに 身体は彼女を抱きしめていた。
シン松
.........ただいま............^^
彼女は僕を優しく、 抱き返してくれた。
ゼロ原
おかえり......!