まふまふside
僕には、物心ついた時から、 お母さんや、お父さんは、 いなかった。
むしろ、血の繋がった人間は、 どこにもいなかった。
ああ、僕は、捨てられたんだなって。
何となく、そう思ってた。
だって、僕の髪の毛は真っ白で、 目は真っ赤だったから。
''普通''の見た目をしてなかったから。
愛して貰えなかった。
僕は、一人で生きようと決めた。
毎日を生きるのに、必死だった。
明日のことどころか、 今日のことを心配して、 過ごしていた。
そのうちに、気づいたんだ。
この世に必要とされないと、 生きていけないこと。
必要とされない人間に 待っている未来は、 ''死''だけだということ。
それから僕は、仕事を探した。
生きるために。
そして、偶然僕と出会った忍びに、 弟子入りをした。
今では、僕の肩書きは ''日本一の忍び''
今、僕は、 この国で一、二を争う大名の元に 仕えている。
僕は膝まづき、口元の布を下ろす。
忍びが口元を見せるのは、 信頼している人だけ。
まふまふ
まふまふ
そらるside
俺は、生まれた時から、 なんなら、生まれる前から、
人生が決まっていた。
だって俺は、 この国で一、二を争う大名の 長男だから。
俺は、父さんのあとを 継がなくちゃいけない。
………本当は、普通の人と同じ暮らしがしたかったけど。
そんなこと、言っちゃいけない。
そんなことしたら、 俺を産んだせいで亡くなった、 母さんに申し訳ないから。
俺は毎朝、母さんの形見である、 青玉の勾玉を見つめながら、呟く。
そらる
そらる
まふまふside
月の明るい夜。
僕は茂みから顔を出す。
これから、 北の大名の城に侵入する。
僕が仕える、東の大名の最大の敵だ。
僕の仕事は、ただ一つ。
相手の情報を盗むこと。
僕は、 黒い布を鼻の上まで引っ張りあげる。
口元は隠すけど、真っ白で、 目立つ髪の毛は、隠さない。
だって、 僕は見つかりっこないんだから。
これは、''日本一の忍び''としての、 自信の表れ。
僕は 周りに誰もいないことを確認して、 茂みから飛び出す。
茂みから助走をつけて、 そのままの勢いで城壁を登る。
ここの城壁は、石がゴツゴツしてて、登りやすいな。
しばらく登ると、 木の枠組みが見えた。
あそこから、部屋に入れる。
僕は、木の枠組みに指をかけて、 ぶら下がる。
この高さだから、 落ちたら死ぬに決まってる。
まぁ、僕は落ちないんだけどね。
まふまふ
腕の力だけで、身体を持ち上げる。
僕は部屋に飛び込んだ。
そして、屋根裏に素早く移動する。
ここまでくれば、こっちのものだ。
ここから、 この城の中の全ての部屋に、 誰にも見つかることなく、 移動出来る。
屋根裏は、 全ての部屋に繋がってるから。
僕は腹ばいになって、 床、要は、部屋の天井に耳を当て、 呼吸を止める。
僕は、自分の仕える城の中で、 一番耳がいい。
聞こえてくるのは、
自分の心臓の音と、
ザクザク、バシャバシャ、とした音、 そして、女性の声。
確認するまでもない。 あそこは、台所だ。
僕は、音と反対方向に進む。
小半刻ほど進んでから、 床に耳を当て、呼吸を止める。
聞こえてくるのは、 女性の声と、男性の声。
………ここかもしれない。 大名がいるのは。
僕は、屋根裏の板の隙間に、 爪を引っかける。
屋根裏の板は、 外れるようになってるんだ。
僕は、そっと、 屋根裏の板を一枚ずらす。
部屋の様子が、少し見えた。
男性は、入り口の方を向いていて、 こっちに背を向けている。
女性
男性
どうやら、 女性は部屋から出ていったようだ。
へぇ、あの男性は、 そらるっていうのか。
本当に大名かな? 声を聞いたところ、若そうだけど……
そんなことを考えていたら、 …………男性が、振り向いた。
まふまふ
僕は、 思わず出てしまいそうになった声を、
慌てて、手で押さえつける。
な、なんて、 綺麗な人なんだろう……!
僕は、生まれて 初めて誰かに見とれた。
だから、
生まれて初めて、失敗した。
何も考えずに動かした手が、 屋根裏の板に引っかかる。
まふまふ
しまった、と思った時には、 もう遅かった。
手が引っかかった反動で、 数枚の板が外れた。
板が外れて、 広くなってしまった空間に、
僕は見事に、
重力に従って、落ちた。
バシッ!
畳に、 自分の身体が打ち付けられる 音がする。
咄嗟に受身を取ったから、 痛みはなかった。
でも、問題は…………
僕は、ゆっくり、顔をあげる。
とても綺麗な顔の中の、 深い夜空のような色をした瞳と、 目が合った。
その綺麗な瞳が、 まん丸に見開かれている。
そらる
そらる
僕は彼の唇に、人差し指を当てた。
まふまふ
彼の瞳をしっかり見つめながら、 それだけ言って、僕は足早に その場を去った。
………僕は、とんでもないことを、 してしまった。
顔が熱い。
こんなに心臓が速く動いたのは、 生まれて初めてだった。
どうも!ノンカフェインです!
はい!今回の舞台は、戦国時代です!
物の名前や、数の単位に、 昔の言葉を使ってみたりしてます!
それと、 もう気づいていると思うんですけど、
表紙?の画像を描きました!
いつも、アイスの蓋の氷だったので、
ずーっとこれじゃ、つまらないよね〜 って思って、描きました!
やっぱり、デジタルは難しい!
アナログで描いたものを、 読み込んで色を塗りました!
アナログの方も、 コピックで塗ってみたんですが、 こんな感じです!
背景めんどくさくて、雑ですねww
今回の物語も、 楽しんで読んでいただけたらいいな って思ってます!
それじゃ、長くなってしまったので、この辺で!
ここまで読んで下さって、 ありがとうございました!
コメント
24件
レアさん ありがとうございます!
また投稿していいとき教えてください!!
面白かったんでTik Tokにだしてよろしいですか?