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桃
橙
橙は何も疑わない。 桃も、それ以上は聞かない。
桃
それで終わり。
それが、桃の選んだやり方だった。
言わない。 縛らない。 嫌な顔もしない。
前に橙が「怖い」と言ったから。 独占しすぎる自分を、嫌がらせたくなかったから。
だから、全部飲み込む。
橙が誰かと楽しそうに話す。 橙が誰かに弱音を吐く。 橙が、自分以外の場所で安心する。
その一つひとつが、 桃の中で、少しずつ積もっていく。
桃
桃
そう言い聞かせるたびに、 胸の奥が、鈍く痛んだ。
夜、一人になると、 理由もなく息が浅くなる。
スマホを見る。 橙の名前を見る。
でも、開かない。
連絡したら、また囲ってるみたいになる。
優しさのつもりだった。
でもそれは、我慢の塊だった。