君になりたくて

お昼休憩がやってきた。

午前でのセット数は……

体育館から出る。

その時、誰かと肩がぶつかった。

思わずバランスを崩してしまう。

陸が明里の肩を抱いて支える。

明里が持つドリンクケースを指さした。

陸はニコッと笑う。

明里の顔はカッと赤くなった。

陸はニコッと明里に微笑んだ。

陸は明里の頭にポンっと手を置いた。

そのとき、頭の上にのる陸の腕を誰かが強く掴んだ。

陸は明里から手を離した。

そう言う陸の顔は少し悲しそうに見えた。

第8セット目スタートの笛が鳴る。

｢涌井さんも凌のこと、好きなんでしょ｣

先程の陸との会話がフラッシュバックする。

ボキ…っとシャーペンの芯が折れてしまった。

明里はぎゅっと目を閉じてそう唱えていた。

｢危ない！｣

その声とほぼ同時に……

ドンッ……

明里の額にボールが直撃した。

きっとこれは流れ弾だ……

ぼーっとしてる私が悪い。なにやってんの……

｢〇△□✕％※！｣

んー…私の事呼んでる…？

やばい。なんか衝撃が強すぎて＿＿

そこで明里の意識は途切れた。