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怪異探求倶楽部

第27話 - File5−ハデスの代弁者−②

2025年08月29日

#ホラー

#高校生

#怪異

#都市伝説

#一次創作

#ドラマ

×××

菅生茜

ねぇ？信愛？

白縫信愛

・・・・・

放課後の教師で信愛は茜の呼びかけに気づかずずっと窓の外を眺めている

菅生茜

信愛ったら！ねぇ！

白縫信愛

あ、茜・・・

菅生茜

ずっと上の空だよ？

白縫信愛

あ、う、うん・・・

花牟礼さくら

やっぱり
美月ちゃんが心配？

白縫信愛

そう・・だね・・

菅生茜

そんなに心配ならさ
私たちだけでやってみる？

白縫信愛

え？

菅生茜

霊貴冥孤だよ

菅生茜

私たちだけで
会ってみない？

白縫信愛

でも・・・

菅生茜

だって許せないんだよね？

白縫信愛

そうだけど・・・

菅生茜

悪いけどね

菅生茜

霊貴冥孤が許せないのは
私たちも一緒だからね

白縫信愛

え？

菅生茜

佳苗や千歳さんに
おじろくおばさ

菅生茜

そして絹さん

菅生茜

私たちも信愛と一緒に
色んな人や霊を見てきた

白縫信愛

茜・・・

花牟礼さくら

そうだよ信愛

白縫信愛

さくら・・・

八乙女焔垂

悪いけど俺もだ

白縫信愛

八乙女くん・・

浦添朝陽

僕もです！

浦添朝陽

もしかしたらお母さんが

浦添朝陽

霊貴冥孤の標的に
なってたかも
知れないんですから！

白縫信愛

朝陽くん・・・

八乙女焔垂

やろうぜ！俺ら
怪異探求倶楽部で！

八乙女焔垂

詐欺師の化けの皮
剥がしてやろうぜ！な？

白縫信愛

うん・・そうだね

菅生茜

でもさ？まずは
霊貴冥孤が何処に居るか

菅生茜

それが一番重要だよね

白縫信愛

確かにそうだね

花牟礼さくら

この中で誰一人
霊貴冥孤に会った事
ない訳だしね

八乙女焔垂

いや、一人いるだろ

白縫信愛

え？一人？

浦添朝陽

あっ！そっか！

朝陽が何かを思い出したように声を張り上げる

花牟礼さくら

何？急に大声出して？

浦添朝陽

お母さんですよ！
僕のお母さん！

八乙女焔垂

その通り！

白縫信愛

あ、そうだったね

白縫信愛

絹さんは霊貴冥孤に
会った事あるんだったね

花牟礼さくら

あ！確かに！

浦添朝陽

お母さんなら
霊貴冥孤の居場所
知ってるかも！

白縫信愛

なら明日！学校休みだから
朝陽くんの家行って良い？

浦添朝陽

もちろんです！

八乙女焔垂

よし！決まりだな！

菅生茜

明日だね！

翌日の土曜日正午

一同は浦添家にやって来ていた

浦添絹

久しぶりねみんな

浦添絹

元気だった？

白縫信愛

はい！

白縫信愛

絹さんもお元気みたいで
よかったです

菅生茜

どうです？
朝陽くんとの生活は

浦添絹

そりゃ楽しいわよ

浦添絹

夢にまで見た
我が子との生活だから

浦添絹

ね〜❤︎朝陽〜❤︎

絹は朝陽を抱き寄せる

浦添朝陽

もうお母さん
辞めてよ

浦添朝陽

みんな居るのに

花牟礼さくら

そんな言いながら
内心嬉しいくせに

浦添朝陽

もうさくら先輩まで
辞めてくださいよ

白縫信愛

ふふふ

そんなやり取りを信愛は微笑みを浮かべて見つめる

浦添絹

それより今日は
どうしたの？

浦添絹

朝陽から電話あったけど

浦添絹

私に聞きたい事が
あるみたいね？

白縫信愛

はい・・その事
なんですけど・・・

一同は絹に対し美月の弟が総額300万霊貴冥孤に支払っている事

その霊貴冥孤は詐欺師の可能性が高く

自分たちはその詐欺師の化けの皮を剥がそうとしている事

その為に霊貴冥孤と面識のある絹に話を聞きに来た事

全てを話した

白縫信愛

何か知ってる事
ありませんか？

浦添絹

うー・・ん

浦添絹

確かに姉から朝陽を
取り戻す為に

浦添絹

霊貴冥孤って霊能者を
頼った事はあるわ

浦添絹

けどその霊貴って人は
死者の声を代弁するって
言ってきたのよ

浦添絹

でも私は別に死者の声
代弁してほしい
訳じゃなかったから

浦添絹

初回の相談料を
払っただけで

浦添絹

それ以降は
利用した事はないわ

浦添絹

けど──

白縫信愛

けど？何か
あったんですか？

浦添絹

その霊貴って人が
代弁した夫の言葉
って言うのがね

浦添絹

到底夫の言葉とは
思えないものだったの

浦添朝陽

どういう意味？

浦添絹

私が霊貴冥孤の店に
行ったのは今から５年前

浦添絹

その時の私は姉から
朝陽を取り戻すのに必死で

浦添絹

毎日毎日双方
駆けずり回ってた

浦添朝陽

・・・・・

浦添絹

そんな時に偶然霊貴冥孤の
店のチラシを見かけたの

浦添絹

そのポスターには

浦添絹

「冥府の王の力で貴方の
お悩みを解決します」

浦添絹

そう書かれてた

白縫信愛

冥府の王の力・・・

浦添絹

今思うと何でそんな胡散臭いチラシを信じたのか・・

浦添朝陽

・・・・・

浦添絹

それから店に
入ったんだけど

浦添絹

当日の利用は断ってるから
予約してからまた
来てくれって言われたの

八乙女焔垂

予約・・・

浦添絹

ええ、予約以外は絶対受け付けないって言われたわ

浦添絹

それから予約して
霊貴冥孤に霊視を
してもらったんだけど

５年前

霊貴冥孤

浦添さん・・・

霊貴冥孤

あなた・・過去に逮捕さ
れた事がありますね？

浦添絹

わ、分かるんですか？

霊貴冥孤

ええ・・分かりますよ

霊貴冥孤

なんでも
息子さんを虐待して
いたようですね

浦添絹

そんな事まで？

霊貴冥孤

それから貴方は
息子の・・朝陽くんと
離れ離れになった

浦添絹

は、はい・・・

霊貴冥孤

で、今は──

浦添絹

息子と再び暮らす日を──

霊貴冥孤

ですがあなたの亡き旦那様は嘆いてらっしゃいますよ

浦添絹

は？

浦添絹

旦那が？

霊貴冥孤

貴方は自らが犯した罪を
自覚して反省するべきと

浦添絹

え？

浦添絹

なに・・それ

霊貴冥孤

確かに貴方は
罪を犯しました

霊貴冥孤

ですがご安心ください

霊貴冥孤

神は全ての人々を
お救いくださいます

浦添絹

・・・・・

霊貴冥孤

貴方は──

浦添絹

すいませんが

浦添絹

帰らせてもらいます

霊貴冥孤

・・・・・

浦添絹

失礼します

浦添絹

霊貴冥孤が代弁した
旦那の言葉が

浦添絹

どうも本当とは
思えなくて

浦添絹

私はすぐに帰ったの

浦添絹

それからその店には
行ってないわ

白縫信愛

確かにおかしいですよね

白縫信愛

霊貴冥孤が本当に旦那さん
つまり朝陽くんのお父さんの声を代弁したんなら

白縫信愛

虐待じゃなくて癇癪が
原因だと知ってた
はずですからね

菅生茜

そうだよね

浦添絹

そう・・だから
怪しいと思って
すぐに帰ったの

八乙女焔垂

・・・・・

八乙女焔垂

それってもしかして

八乙女焔垂

ホットリーディング
だったんじゃね？

白縫信愛

ホット・・なに？

信愛は聞きなれない言葉を聞き返す

八乙女焔垂

ホットリーディング

浦添朝陽

なんですか？それ

八乙女焔垂

相手の事を事前に
下調べしたうえで

八乙女焔垂

いかにも今言い当てました
みたいに語る手法の事だよ

八乙女焔垂

逆に下調べ無しに
相手の仕草とか
癖とかを観察して

八乙女焔垂

まるであなたの事を
よく知っています風に
語る手法もあって

八乙女焔垂

それはコールドリーディングって言うんだよ

八乙女焔垂

まぁ占い師とかが
よく使う手だよ

菅生茜

へぇ〜・・初めて知った

菅生茜

・・・・・

菅生茜

ん？ちょっと待って

菅生茜

下調べって・・まさか

浦添絹

インチキって事？

八乙女焔垂

その可能性はありますね

八乙女焔垂

霊貴冥孤と話すには
予約が必要だった
って言ってましたよね？

浦添絹

ええ、そうよ

八乙女焔垂

その予約が下調べする為の
時間稼ぎだったんですよ

花牟礼さくら

でもさ？何で
そう言い切れるの？

八乙女焔垂

考えてもみろよ

八乙女焔垂

絹さんの虐待は実は
でっち上げだった
って知ってて

八乙女焔垂

尚且つ生きてる人間は
誰と誰だった？

浦添朝陽

お母さんと叔母ですね

八乙女焔垂

そうだよな

八乙女焔垂

まぁ朝陽も薄々は
気づいてたかも
しれないけど

八乙女焔垂

真実を知ってたのは
その2人しか居ないよな

浦添朝陽

そうですね

八乙女焔垂

霊貴冥孤が絹さんの事を
下調べするために

八乙女焔垂

その叔母さんの所に
行っていたとしてだ

八乙女焔垂

叔母さんが霊貴冥孤に
絹さんの逮捕は私が警察にした嘘の通報が原因でした

八乙女焔垂

なんて言うと思うか？

白縫信愛

あ！確かにそうだよね！

八乙女焔垂

そんなの自分から罪を
自白するようなもんだろ？

菅生茜

確かに自分から
言うわけないよね

花牟礼さくら

なるほどね・・・

白縫信愛

霊貴冥孤は絹さんの
素性を調べたけど

白縫信愛

逮捕された真実に
辿り着けなかったんだ

八乙女焔垂

そういう事だよ

浦添絹

でもホットリーディングだの、コールドリーディングだのって

浦添絹

八乙女くん
良く知ってるわね

八乙女焔垂

ちょっと前に図書館で心理学の本を読む機会があって

八乙女焔垂

それに書いてあったんです

菅生茜

ああ、それでか

浦添朝陽

ようは相手がお母さんだったからインチキがバレた

浦添朝陽

そう言う事になりますね

八乙女焔垂

そういう事だ

八乙女焔垂

ようは──相手が
悪かったって事だな

浦添絹

確かにね・・・

浦添絹

自分で言うのもなんだけど

浦添絹

私が歩んで来た人生って
ある意味特殊だからね

浦添家を後にした一同は古海商店街を歩いていた

白縫信愛

やっぱり霊貴冥孤は
詐欺師だと思って
良さそうだね

八乙女焔垂

ああ、十中八九な

浦添朝陽

でも問題はその事を
どうやって赤迫先生に
伝えるかですよね

白縫信愛

それなんだよね・・・

菅生茜

ねぇ、信愛〜・・

菅生茜

とりあえず
どっか店に入らない？

菅生茜

暑くて死にそう
なんだけど〜

ハンディファンを手にした茜が気だるそうに口にする

白縫信愛

確かに今日暑いよね

浦添朝陽

今日の最高気温は
３０度らしいですからね

花牟礼さくら

ひぇ〜どおりで
暑いわけだよ

菅生茜

まだ６月だよ？

菅生茜

６月でこの暑さとか
どうなってんの？

白縫信愛

ならとりあえず
ファミレスにでも
入ろっか

菅生茜

さんせ〜♬

花牟礼さくら

ドリンクバーでも頼んで
今後について話し合いだね

白縫信愛

そうしよう

白縫信愛

ん？あれは？

一同がファミレスに入ろうとすると信愛の歩みが止まる

菅生茜

ん？どうかした？

白縫信愛

あれってさ・・・
美月先生じゃない？

花牟礼さくら

あ、本当だ

信愛が指差した先には美月の姿があった

白縫信愛

男の人と一緒
みたいだね

花牟礼さくら

まさかの彼氏？

八乙女焔垂

そうか？そんな
雰囲気じゃないけどな

浦添朝陽

なんか言い合い
してる雰囲気ですね

菅生茜

確かに・・・

信愛が指差した先では美月が男性となにやら言い合いをしていた

赤迫美月

累（かさね）！
良い加減にしなさい！

赤迫累

姉貴には関係
ねーだろーが！

赤迫美月

何言ってんのよ！

赤迫美月

借金までして！

赤迫美月

あんなインチキ
霊能者に──

赤迫累

姉貴には分かんねーよ

赤迫累

俺の気持ちなんて・・

赤迫美月

累・・・

赤迫累

沙月（さつき）が死んだのは俺のせいなんだ

赤迫美月

だから何で？

赤迫美月

なんであんたの
せいになるのよ！

赤迫累

話すつもりなんてねーよ

赤迫累

放っておいてくれ

赤迫累

もうガキじゃねーんだ

累は走って行く

赤迫美月

ちょ、累！

赤迫美月

待ちなさい！

赤迫美月

まったくもう・・・

赤迫美月

何考えてんのよ！

白縫信愛

あの・・美月先生？

赤迫美月

あ、白縫さん

赤迫美月

恥ずかしいところ
見られちゃったわね

白縫信愛

さっきの人って

赤迫美月

話したでしょ
あれが私の弟の赤迫累

白縫信愛

弟さんって
霊貴冥孤に・・

赤迫美月

ええ・・・

赤迫美月

あいつったら懲りずに
また霊貴冥孤の店に行く
って言い出してね・・

白縫信愛

その霊貴冥孤の事で

白縫信愛

美月先生にどうしても
聞いてもらいたい話が
あるんです

赤迫美月

私に？

・・・・・

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