『おい、アヤ』
『──なんだ?』
『いい酒が手に入った。あっちで飲もうぜ』
満開の桜に指をさす
『いいのか? 神聖な場所だろ?』
『大丈夫じゃね? 俺ら人ならざるもんだし』
『お前、半人半妖じゃなかったか?』
『まあそう言うなって♪』
『あ、ちゃんと肴もあるぞ』
『抜かりねぇな。──酔いつぶれるなよ』
『酔いつぶれねーって。俺が酒に強いの知ってんだろ?』
飲みすぎて途中で眠っちまったのは知ってる
『あーそうだな』
こいつとは妙に馬があい、なんだかんだで俺たちはいつもつるんでいた
『なあ』
『ん?』
『またこうやって一緒に飲もうな』
『…………』
『約束だ』
平成22年4月上旬
絢斗
絢斗
…………ん
ぱちり
絢斗
(……夢、か……)
絢斗
ふぁ……
あくびをする
絢斗
(まさか、あいつの夢を見るなんてな)
咫穏
咫穏
やっと目覚めましたね
呆れ顔で見つめていた
咫穏
いったい、どのぐらいの量をお飲みになったのですか?
シートの上に酒瓶が散乱している
絢斗
──普通に飲んだ
咫穏
ウソつけ
咫穏
普通なら“兄弟“たちが死屍累々になってねーんですよ
咫穏
ヘタしたらアル中レベルです
絢斗
俺はなんともねぇぞ
上半身を起こす
咫穏
存じてます
思わずため息をついた
咫穏
せっかくのお花見が台無し
絢斗
…………
咫穏
? なんですか?
咫穏
じっと見つめて?
絢斗
なんでもねーよ
絢斗
絢斗
(顔が似てるのは当然だよな)
あいつの子孫だから
絢斗
なあ
咫穏
はい?
絢斗
口直しに花見酒かなんかねーか?
咫穏
甘酒(アルコール0%)をどうぞ
ひらひらと桜の花びらが舞った








