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Dom👓×Sub🙂①
きりやん
無機質で暗い部屋に響くテノールの声
その言葉の返事はなかった
きりやん
スマイル
ぱちん、と音をたてて部屋が明るくなる
小さな1Kの部屋には
鎖に繋がれた男が一人
ベッドの上に座り込んでいた
きりやん
スマイル
スマイル
スマイル
見せびらかすようにじゃら、と
鎖の音が鳴る
玄関に立っていた男は
カバンを置いてネクタイを解きながら
ベッドに近付いた
そして彼の頬に手を添えて
上を向かせた
きりやん
スマイル
ゾクゾクッ――
背筋に快感が奔る
ほんのりと体に熱が籠る
嗚呼――こんな体質、大っ嫌いなのに――
きりやん
きりやん
きりやん
スマイル
返事をして、はっと気づいて
頬に添えられた手を振り払った
パシンッ
じゃらんと鎖の音が大きく響く
スマイル
スマイル
きりやん
きりやん
今は笑顔など見る影もない怒りに満ちた紫紺の眼
その視線と交わる金色の眼は
呑気に笑みをたたえていた
スマイル
スマイル
スマイル
きりやん
きりやん
きりやん
スマイル
スマイル
スマイルは床に視線を落とす
金色の眼もそれにつられて視線を落とすと
そこにはCollarである黄色の首輪が落ちていた
きりやん
黄色の首輪を拾いながら呟く
そういうPlayだとわかっていても
Collarが外されていた事に
きりやんは衝撃を受けた
きりやんには今のスマイルが何を考えているのか
まったくわからなかった――
きりやんとスマイルは
元々パートナー同士だった
お互いにただの友達で
ただDom性とSub性だっただけ
少し気分が悪い時に
軽いCareをするくらいの関係
その延長線上で
どちらともなくパートナーになった
そんな関係を続けて一年――
スマイルから突然提案された
少し、特殊なPlayをしてみないか――?
それがスマイル監禁生活だった
守るべきルールは二つ――
俺を監禁すること
俺をそこから逃がさないこと
そうして始まったこの生活――
しかし、蓋を開けてみれば
スマイルは敵意むき出しできりやんに歯向かう
それに加えて
監禁部屋から全力で逃げ出そうとした
自分から提案しておいたくせに――
そんなことを思いつつ――
きりやんはなんとかPlayのルールを守るために
スマイルを鎖でつないだ
相手が敵意をむき出しにするのだから
こちらも自然と同じ対応になった
スマイルを監禁しているのだから
当然彼のお世話は
きりやんがしなければならない
きりやん
必然的にきりやんの生活の中心は
スマイルになっていった
とは言え――Collarを外すのはやりすぎではないか
きりやんは小さなため息を吐いた
そして少し強めのGlareを放ちながら
スマイルを見下ろした
きりやん
スマイル
スマイルはびくっと反応する
恐る恐るきりやんを見上げた
きりやんはスマイルに見せびらかすように
Collarをくるくるとまわした
きりやん
きりやん
スマイル
スマイルは先ほどまでの
不機嫌そうな顔とは打って変わって
きょとんとした
きりやん
きりやん
スマイル
どこか焦るスマイルに問いかけても
うろうろと視線をさ迷わせようとする
しかしコマンドが効いているのか
きりやんにちらちらと視線を合わせようするだけだ
きりやん
スマイル
きりやん
スマイル
きりやん
きりやんの放つGlareに
スマイルは完全に俯いてしまった
スマイル
きりやん
きりやん
スマイル
きりやん
スマイル
きりやん
そう言って踵を返すと
くんと服の裾を掴まれた
きりやんは小さく振り返る
スマイルは俯いたまま
きりやんの服の裾を摘まんでいた
スマイル
スマイル
きりやん
きりやんからGlareが消えて
スマイルは小さく顔を上げた
スマイル
きりやん
スマイル
スマイルは視線を流しながら
顔を上げる
こちらを見ようともしないスマイル
きりやんはまたため息を吐きながら
Collarをつけてやった
きりやん
スマイル
きりやん
スマイルは首を傾げた
スマイルは本当にこんな監禁生活を望んでいたのだろうか
スマイル
スマイル
きりやん
きりやん
スマイル
言葉を返されて
きりやんは口を噤んだ
本当にそうなのだろうか――
きりやんはただ
スマイルの負担にならないのであれば――
そう思って、彼に付き合って
このPlayを続けているだけだ
きりやん
きりやんにはまだ
自分の本心がわからなかった
スマイル
その後はスマイルの鎖を解いてあげた
スマイルはこの狭い1Kの部屋を歩いて
トイレに向かった
この鎖も本当は自分でも解ける物だ
ただ解けない鎖と言う事にして
Playを楽しんでいるだけだ
きりやん
きりやん
鎖を解かないとトイレにも行けない
ご飯を食べることはおろか
水を飲むこともできない
不意に好奇心がきりやんを襲う
その日、きりやんは
水が2リットル入ったペットボトルと
食パンと菓子パンを
ベッドの傍に置いて家を出た
そして、スマイルが監禁されている部屋を
丸一日訪れなかった
スマイル、逃げたかな?
それとも、鎖だけ解いてトイレくらい行ったかも
きりやんは丸一日スマイルを放置した翌日の朝
スマイルの部屋を訪れた
きりやん
いつも通り、きりやんは挨拶をした
返事はない
ぱちんと電気を付けると
ベッドの上にスマイルがいた
スマイルは横になっていた
起きているのかどうかわからない
きりやん
きりやん
きりやん
そう言いながら布団をめくる
すると――
ガシッ
スマイルに腕を掴まれた
スマイルは苦しそうな顔をして
きりやんを見つめていた
そこにはやはり怒りの視線が含まれている
スマイル
スマイル
じゃらっと鎖を突きつけられる
きりやんはきょとんとした
きりやん
スマイル
スマイル
スマイル
スマイル
きりやん
きりやんはスマイルの鎖を解いた
スマイルはすぐに起き上がると
ドタドタと慌ててトイレに向かった
きりやんはますます
スマイルがわからなくなった
きりやん
きりやん
きりやんはふるふると首を振る
はー、と大きなため息を吐いた
きりやん
きりやん
きりやん
そこまで考えてはた、と気付く
きりやん
一体自分は何を望んでいるのだろうか
きりやんはまだ
自分の気持ちがわからなかった
スマイル
スマイル
悪態を吐きながらスマイルが
トイレから出てきた
きりやんはむっと顔を顰める
きりやん
スマイル
スマイルは部屋の中央で立ち止まった
きりやんはベッドの脇に座り込んで
スマイルを見上げる
きりやん
スマイル
スマイルはおず、と床を足で擦る
ゆっくりと、恐る恐るきりやんに近付いてきた
きりやん
抵抗しているのかスマイルの動きが鈍い
しかしスマイルは足を崩して
きりやんの目の前に座り込んだ
きりやん
スマイル
スマイル
スマイル
きりやん
スマイル
きりやん
きりやん
きりやん
スマイル
スマイル
きりやん
スマイル
スマイル
きりやん
きりやん
きりやんはまた大きなため息を吐くと
立ち上がってご飯の準備を始めた
スマイル
スマイル
スマイルは自分の首につけられたCollarを握り締めた