俺には少し変わった趣味がある
それは 夜中になると家の屋上に出て 双眼鏡で街を眺めることだ
いつもとは違う街を見れるから 自分としてはすごく楽しい
タクシーとかの動いてる物とか
ぽつんと立っている自動販売機とか
とにかくでけぇ給水タンクとか
当たり前の物を夜に見ていると 不思議だがワクワクしてくる
俺の家の南側には長い坂道があって まっすぐ降りると俺の家の方に 向かって下ってくる
だから屋上から南側に目をやれば その坂道とかが全部見えるように なっている
その坂道の脇に設置されてある 自動販売機を双眼鏡で 適当に見ていたら…
孝広
ん?
孝広
坂の上になんかいる?
孝広
大きな蛾か?
孝広
あ、いや人か、w
孝広
凄い勢いで坂降りてるなw
孝広
ん……?
孝広
あ…
孝広
よく見ると 全裸でガリガリに痩せた子供だった
そして何か 満面の笑みを浮かべながら こっちに手を振りつつ走ってくる
孝広
何だあいつ……
孝広
目合っちゃったし
孝広
てか何で見てんの分かったんだよ…
孝広
おいマジかよ
孝広
俺の家の方に近づいてる……
孝広
なんか嫌な予感がする…!
孝広
早く家に!
30秒後
ガチャガチャ
ガチャン
孝広
うわーどうしよう!
孝広
何なんだよあれ!
ズダダダダダッ!
孝広
え……
孝広
屋上への階段を昇る音が聞こえる……
孝広
明らかに俺を探してる……!
孝広
(本当に何なんだよあれ……!)
孝広
(どうしよう……!)
ズダダダダダダ…
孝広
(嘘だろ…?)
孝広
(今度は階段降りてやがる……)
孝広
(…………、)
孝広
孝広
ダンダンダンダンダンダン!
ピンポン!ピンポン!
ピポポン!ピポン!
子供
ウッ、ンーッ!
子供
ウゥーーーッ!
孝広
あ、あ……
孝広は怖さのあまり しばらくその場で硬直していた
孝広
もう…
孝広
絶対双眼鏡なんか使わねぇ…
孝広
てかあいつ……
孝広
もしかして……
まだドアの外にあいつがいると思い
勇気を出してドアを開けた
ガチャーン!
孝広
…………
孝広
あれ、いない……
孝広
あ……
孝広
良かった……
孝広
これで少し寝れる……
ガチャ
ドアを閉める音
孝広
もう寝よ……
孝広
子供
おやすみ
孝広
え…?