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蝶々結びの解き方

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蝶々結びの解き方

1 - 蝶々結びの解き方

♥

205

2020年03月02日

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捨てなくていいものばかり この手から零してしまう。

それが、何のための謝罪なのかは 分からなかった。 とってつけたような「ごめんなさい」を一体彼はどのように受け取ったのだろう。ただ、一瞬だけ悔し気な顔をして、手の中にあった鍵を惜しむように握った後 それをダイニングテーブルにそっと置いた。 それを彼に渡した時確かに僕達は幸せだった。

Urata

そらるさんが結婚だって

何が楽しいのか、スマホを見ながら うらたさんは笑った

カタカタとキーボードを打っていた 手を止めてそちらを見れば、スマホを向けてくる。その画面に並ぶのは 「そらるさん結婚説濃厚」 「そらるさん結婚まじ!?!?」

…眉を寄せた僕にうらたさんが呆れたように

Urata

…あー

と声を漏らした。

Urata

ま、苛立つのも分かるけどさ
しょうがねぇじゃん。

Mfmf

別に気にしてません。

子供みたいにそっぽ向いて 再び作業に戻る。 事実無根の結婚説を見るのはこれが 初めてではない。

そらるさん本人が「俺は何回結婚すればいいんだよ‪w」とネタにするくらい事ある事にそういう噂が立つ それが不自然ではないような年齢になったことくらい自覚している。 けれど、仕方の無いことだと割り切れるほど大人ではなかった。

Urata

何が不安なんだよ
あんなに愛されてて

Mfmf

…不安なんかじゃ、ないです。

そらるさんに愛されているという 実感はあった。 それでもネットの評価で今の立場を手に入れたと言っても過言ではない自分たちだ。いつか、そんな顔も知らぬ人々の勝手な想像の通り そらるさんが自分ではない誰かと結婚してしまうような気がしてそれが酷く恐ろしい

同性の自分たちには確約された未来がない。そらるさんと自分を結ぶものは今にも掻き消えそうな程脆い線にしかすぎない。結婚説が流れるたびに、行き場の無い不安は大きくなっていった。

Urata

まーふそんな顔すんなって
そらるさんに最近会えてないのか?

Mfmf

…忙しいみたいで…お互い、
アルバムの製作もあるし

自分が面倒で重たいことも分かってる。こうして気分が落ちるたびに、 持ち前の面倒見の良さを発揮して 家に来てくれるうらたさんには 感謝しかない

…そういえば製作スタッフに 女の人居るって言ってたな…。 どろりと暗い想像は、1度始まると止まらない。その女の人がものすごく綺麗で性格のいい人だったらどうしよう。

ううん、女の人だけじゃなくて 男の人だって恋愛対象になるかもしれない。インフォさんだってそらるさんの昔からの友達でーーー

Urata

まーふぃー!

うらたさんの声で薄い唇をちぎりと 噛んでいたことに気づく。 慌ててなんでもないと言うけれど 見透かしたような目に射抜かれた。

Urata

お前が1番信じてやらなきゃ
ダメだろ

Mfmf

分かってます…

Mfmf

…分かっていてもずっと
怖くて堪らないんです。

Urata

まふ、

Mfmf

幸せになればなるほど
失うことが震えるくらい
怖くなって、

うらたさんの方が泣きそうになる 自分のもののように心配してくれる彼はとても優しい。 その無条件さがそらるさんと重なってまたひとつ寂しくなった。

そらるさんから久しぶりに 連絡が来た。飯でもどう?って 了承のスタンプを送る。 ささくさとシャワーを浴びて、 お気に入りの服を着て、 薄らメイクをしたりして

行先はきっといつものラーメン屋 色気も何も無い場所だけど 好きな人には可愛いって思われたいでしょ?

Mfmf

そ、ら、るさん!

Srr

おー作業大丈夫だった?

Mfmf

ちょうど昨日キリのいいところまで
終わったんです!

なんてね、本当はちょっと 急いで納期の追った仕事を終わらせた。

Srr

忙しいなら断っても良かったのに

Mfmf

せっかくのそらるさんのお誘いを?

Srr

いつでも行けるでしょ飯なんて

そうですけど…と口もった 僕に背を向けてそらるさんが歩き出す。

Srr

まぁ、俺も会いたかったから。
来てくれてありがと

どんな不安もその一言で 取り払ってくれる。そらるさんへの好きがまたひとつ深くなっていく

Srr

あーラーメン食いてぇ

Mfmf

そらるさん、僕こってりしたやつがいいです〜!

Srr

いいね。

ほら、そらるさんを信じて、 愛し合うことはこんなにも簡単だ。

あれから、 何日か立ったある日 今僕は恋人であるそらるさんの家に来ている。

Mfmf

うぅん、ご飯を作ってあげようと思ってたんですけどね。ここは大サービスですよ!そらるさん!

書類や服を片付けていく。 2人で買った服、誕生日にあげた アクセサリー

ーーーーカタン

何かを落としてしまったようだ。 拾い上げれば黒くて小さな箱

Mfmf

指輪ケース?そらるさんこんなマメな保管してたかなぁ。

それとも、よっぽど お気に入りの指輪なのかも。

Mfmf

うわぁそらるさん好きそう

そらるさんの綺麗な指に 嵌るのが想像出来る。

Mfmf

…あれ?何回書いてある

小さなそれはよく見なければ分からないけど…じっと目を凝らした時だった

Srr

あっ、まふまふ…待って

Mfmf

っ…これ…!

そらるさんがドアを開けてリビングに入ってくるのと同時に指輪を手から落とした。

Soraru×urata

…見なきゃいいものはどこにだって あるものだ。

Srr

付き合ってたんだよ。
もうかなり前だけど。

放心したようになっている 僕に言った。

Srr

もう別れてるし、お前が不安になることは何も無いよまふまふ。

Mfmf

じゃあその指輪は、

Srr

まぁ、ペアリングだけど、
なんとなく捨てづらくてさ

ほんと、タイミング悪い

めんどくさそうに言ったそらるさんにカチンとくる 元恋人のペアリングなんて 処分しておくべきじゃないのか? それを目の着くところにおくなんて…ーーーーたまたま?

Mfmf

…まだ好きなんだうらたさんのこと

Srr

は?

Mfmf

復縁したくなったから
当てつけみたいにこんなことしたんじゃないんですか!?

Srr

こんなことってなんだよ。
落ち着けって。

早く別れてしまえって うらたさんは思っていたのかもしれない。知らぬ間に涙が零れた。

Srr

まふまふ、お前また変なこと考えてるだろ。うらたくんとはホントになんもないって、

Mfmf

じゃあなんで教えてくれなかったんですか。

Srr

言う必要がないと思ったからだよ
それくらい、俺にとってはどうでもいい過去だよ。

Mfmf

どうでもいいなら
言っても良かったでしょ!?

Srr

いい加減にしろよ、
俺が好きなのはお前だって!!

滅多に大声を出さないそらるさんが 珍しく声を上げている。

Srr

なんなのお前、そんなに俺の事信じられない?

Mfmf

ちが、

Srr

違わないでしょ、
俺は正直お前にそこまで言われるとは思わなかったよ。

Mfmf

…そらるさん

Srr

お前が言うならこれはもう捨てるよ

Mfmf

…別れましょう

そらるさんが目を見開いた

Srr

なに、言ってんの別れないよ

Mfmf

もう、無理です無理なんです

Srr

本気で言ってる?こんなことで?
指輪ごときで?

Mfmf

違う!そうじゃない…

Srr

じゃあもっとちゃんとした理由を言えよ!

そらるさんが手に持っていた ケースを床に叩きつける

Mfmf

…ずっと不安で…それでも貴方と
いれば幸せだって思ったんです
ずっと一緒に居られるって信じてたんです。

Srr

だから、俺はこの先も!

Mfmf

…そらるさんと居るのが
苦しい…

Srr

…わかった
これは返す、

いつでも自由に彼が僕の部屋に入れるという証 それを彼に渡した時確かに僕達は幸せだったーーーーーーはずなんだよ。

Urata

…え?

目を丸くしてうらたさんが 固まった

Urata

わ、別れたの…?

Mfmf

…はい

Urata

なんで…?

泳ぐ瞳は何か 「心当たり」があると示していて

Mfmf

なんでだと…思います?

Urata

…その、

Mfmf

僕の相談話楽しかったですか?
そらるさんと付き合っていて不安だって僕が弱ってるのどう思いました?‪

Urata

まふまふ、違う、俺は…

Mfmf

ねぇ、言ってくれれば良かったじゃないですか「俺がそらるさんと付き合っていた頃はそんな不安を感じることがないくらい愛されていた」って
…僕達親友でしょう?

Urata

…そんなこと思ってない!
本気でお前とそらるさんが
上手くいくようにって!!

Mfmf

貴方も持ってるんですか?
「指輪」

Urata

…!!

…言葉を失った その反応だけでわかるよ あぁそう、お互いにまだ 大切に持っているということですか

Mfmf

…やってくれましたね。

Urata

まふ、聞いて?
俺たちはもう別れて

Mfmf

でもまだ好きなんでしょう?
そらるさんの事 あぁ、それとも

ーーもう僕に隠れて 復縁してたりするんじゃないですか?

泣きそうだったうらたさんの顔が 一変した。

Urata

…お前それ本気で言ってんのか?

Mfmf

…本気ですよ、
そうだとしても僕はもう
そらるさんの恋人じゃないですから
どうぞ明日からは、いいえ、今この瞬間からはこそこそせず堂々と関係を持っていいんですよ?

Urata

…わかったお前がそう言うなら
俺はもう遠慮しない。

Urata

まだ、好きだからお前がそらるさんと別れたなら俺はもう一度付き合えるようにそらるさんに自分の気持ちを伝える。

Mfmf

…どうぞお好きに

あぁ、 僕は何一つ大切にできない 臆病者だ。

Urata

そらっぴー!ほら見て!
これ!

Srr

なになに…あ、そのアプリ入れたの?

Urata

面白いって言ってたからさぁ、
ここ、どうやるの?

Srr

そこは

耳を塞ぎたくなる。 ーーーあぁ、昔はこういう風にしてたんだ。

Sakata

急に仲良うなったなぁ
あの二人

Mfmf

…さかたん

Mfmf

そらるさん、今フリーだからね

Sakata

えっ別れたん!?!?

Senra

…こぉら楽屋で大っきい声出しちゃいかんやろぉ

Sakata

あ、

Senra

ごめんなちょっと聞こえてもうた
気悪くせんでな

センラさんは坂田の口から 手を離した。

Sakata

まふ、ほんとに?
あんなに仲良かったやん

Mfmf

違うよさかたん
僕が振ったの

Sakata

は?

Mfmf

もうねダメだった
それにそらるさんだってもう

「次」が居るみたいだし

Sakata

なに、言ってるん?
そんなわけないやんか!
だってうらさんは…!

Senra

坂田!
言ったらあかん!

Sakata

あ、…そぅやね…ごめんまふ

Mfmf

ううん、大丈夫けどなに?
そんな事ないって

Senra

申し訳ないんやけど
俺らからはなんも言えんよ

Mfmf

何か知ってるんですか?
センラさん。

センラさんの手を掴む

Mfmf

お願いします!!

Senra

まふくん、

Mfmf

もう、自分でも
何が正しいのか分からないんです

Senra

…わかったそこまで言うなら

Mfmf

センラさん!

Senra

リハの後でええ?
坂田も来るやろ?

Sakata

うん、行く!

Senra

ただな、まふくん、
話を聞いても全部解決するわけやないんよどうするかはまふくん次第やから。

Mfmf

かんぱぁい!

Sakata

リハお疲れ様!

Senra

この3人で飲むのは
初めてやね

Mfmf

…それで昼間の話だけど

Senra

まずは、なんで別れたか
聞いてもええ?

Mfmf

実は…

さっきまでの事を全部話した。

Senra

あんな、まふくん
まふくんと付き合い始める時に
絶対に隠そうってうらたんから言ったんよ

Mfmf

なんで…?

Senra

気まずいから、かな
それともう1つ理由があるんよ

Senra

うらたん、そらるさんに振られたんよ

Senra

「うらたくんより、守りたい人が出来た。一生大事にしたいと思ってる。
そいつといる為だったらなんだってするんだ。うらたくんのことは心から愛してる。けれど、ここでうらたくんを最優先にして生きられない。ここで別れて欲しい」

Mfmf

…え?

Senra

何度も頭下げて

Senra

「最低なことは分かってるけど、
何を捨てでも俺はあいつを愛してあげたい」って

Sakata

うらたん、そらるさんが付き合った子の事まで相談に乗って上げてたみたいなんよ。

Mfmf

…うらたさん

Urata

まふ、いらっしゃい
どうしたんだよこんな夜中に

Mfmf

ごめんなさい!

Urata

えっ、ちょ、まふ!?

Mfmf

ごめんなさい
酷いことを言いました。

Urata

まふ、いいよ、ねぇ、
顔上げてよ

泣きそうな声

Mfmf

僕のせいだったのに
何も知らなかった。
ほんとにごめんなさい!

Urata

いいんだって。
俺はほんとに気にしてないから

Mfmf

そらるさんと別れたから堂々と
そらるさんにアプローチしていいって言いました。でも、あの言葉を前言撤回させてください。

Urata

………

Mfmf

うらたさん。

Mfmf

どうかもう一度
「そらるさんを僕にください!」

Urata

うん、いいよ、
あの日からそらるさんは
まふの物だよ

Urata

意地悪して、ごめんね。
そらるさんとよりを戻したいとか思ってないから!

Urata

そらるさんはお前が思ってるよりも
誠実で不器用で…………いい男だよ

Urata

俺のことはもういいから、
早く行ってこーい!!

Mfmf

そらるさん、
伝えたいことがあってきました。

Mfmf

そらるさんに別れましょうって
そう言いました。そらるさんと居るのが苦しくって例え終わる日が来るとしても、僕は、

Srr

終わらせないよ

Srr

終わらせないよ、まふまふ
そんな気持ちで俺はうらたくんと
別れてない。

Mfmf

そらるさん。

Srr

お前を不安にさせたのは俺のせいだよな。でも、ごめん、悪いけど

ーーー何を言われたって お前を離す気なんてないから。

Mfmf

そらるさん、また合鍵もらってくれますか!

Srr

うん、貰うよ。

Srr

ずっとずっとこの先も愛してるよ
まふまふ。

少し歪な僕達の蝶々結び 僕たちにはそれが一番ぴったりかもしれないなぁ…なんて

この作品はいかがでしたか?

205

コメント

27

ユーザー

一....←その呼び方やめいww 待ってましたぁ~! やっぱ、スゲー....

ユーザー

確かにぽいかも、、、、、(((((

ユーザー

悔しいくらい凄いっ

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