TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

————📞

はい、もしもし

…はい

電話は、病院からだった

桃くんの容態のこと

どうしてあんなに苦しそうだったのか—

彼は、ODの症状

幻聴、もしくは幻覚に苦しめられていたようだ

どんなことが聞こえているのか

どんなものが見えているのかは先生にもわからなかったらしい

でも、

ずっと

「ごめんなさい」

「もう、やめて」

そんな言葉を小さな声でずっと繰り返しているという

耐え難いようなものが彼の体に蝕んでいることだけはよくわかった

ガラガラガラ

やっほ

…おうニコ

それからも僕は毎日桃くんのところへ行った

日に日に桃くんは

元気がなくなっているようだった

体調はどう?

…まあ、ぼちぼち

前のように話していて急に耳を抑えることはほとんどなくなった

入院してから薬を過剰摂取していないため

症状が治ってきたのだろう

でも、口数はだいぶ減ってしまったし

なんか飲み物買ってこようか?

んーん、大丈夫

ありがとニコ

僕の前でも作り笑いするようになった

ねぇ、桃くん

今の君の目には

この世界がどんな風に映っているの?

桃side

どうしてだろう

薬を長い間飲むことを禁止されて

日に日にあの声は聞こえなくなっていった

急に頭がいたくなることもなくなった

でも

そんな症状が和らいでいくのとは反比例に

俺の元気がなくなっていく

心が苦しくなっていく

もうあの声は頭の中にひびいていない。

でも、

あの言葉はまだ心の奥に

深く突き刺さっている

「出来損ない」

「お兄ちゃん名乗んな」

「鬱陶しい」

「生きてる価値ない」

「○んでしまえ」

全て、俺に向ける言葉には

ふさわしい文言だろう

でも、だからこそ

その言葉たちが今でもおれを苦しめた

なんか飲み物買ってこようか?

んーん、大丈夫

ありがとニコ

どうしても苦しいのに

こんな嘘の笑顔をむけてしまう

そんな自分さえ鬱陶しい

「僕にでも、頼ってよ…」

あの時の青の言葉が頭の中を何度も再生する

俺を心配してくれた青

なのに俺は相談もせず作り笑いを向ける

本当に最低だ

優しい好意さえ無下にして

でも、そんな俺だからこそ

こんなに優しい弟と関わってていいのか、と考えてしまっては

どうしても

答えはNOへと辿り着く

ちょっと僕お茶かってくるね

ん、

いってらっしゃいニコ

ガラガラ

ごめん、青

ほんとごめん

こんな兄ちゃんで、

期待裏切ってばっかで

橙と黄も、ごめん

兄ガチャ失敗させて、ごめん

紫にぃも、赤にぃも、ごめんなさい

出来損ないで

こんな弟で

“お兄ちゃん”できなくて

償うから、

許さなくていいから

もう、俺のこと忘れて、

いなかったことに、して、

生きてて、

迷惑かけて、

ごめんなさい

「お兄ちゃん」だから

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

761

コメント

4

ユーザー

そかたんはろー!久々作品お邪魔するわ😇相変わらずうますぎな!?💖マジでそかたんがお姉ちゃんとか嬉しすぎて、、

ユーザー

いや、、続きが早く欲しいです

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚