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夕焼けに殺される

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夕焼けに殺される

14 - 俺とボクの正体

♥

31

2025年09月29日

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逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……

逢魔トキ

なんだ……この場所。

逢魔トキ

ボクは確か……

逢魔トキ

そう、分離蛸に包まれて……!

目覚めたのは、駅のホーム。

空は暗いが、まだこの場所には明かりが灯っている。

ただ、人がいない。

電車も来ない。

それに、このような駅は見たことがなかった。

あたりがどうなっているのかも知りたいが、

残念な事に闇で何も見えない。

それで思った。時刻を見ようと。

しかし、ここにある時計はおかしかった。

まず、時計そのものが円ではなく、「と」の時のように歪んでいる。

「12」は「00」になっていて、一桁の数字は「01」のように記されている。

また、針が4本あり、その長さや太さはそれぞれバラバラ。

一番長いものに関しては、延々と「00」と「01」の間を繰り返しているようで、

一番短いのは、秒を噛まずに回っていた。

逢魔トキ

ええっと……?

逢魔トキ

何時なんだよ、これ。

 

ああ、時間とか無いから。

 

あんまり気にすんな。

逢魔トキ

……!!

背後から、宇宙人の声がしたので振り返る。

そこには、ホームの椅子に腰を下ろした、

フードの男がいた。

逢魔トキ

……宇宙人、なのか。

 

ああ、久しぶり。

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……久しぶり?

逢魔トキ

ボクら、初対面だよな……。

 

いいや、違うさ。

 

お前が覚えていないだけで、

 

俺らはもう出会っていた。

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

どういう……事だ。

 

説明が面倒だ。

 

うーん、でもなぁ……

 

脳に直接は、負荷が強すぎるだろうし……。

 

しゃあねぇ……

 

話しますかぁ。

 

よし、まずは俺の正体からだ。

 

約束もしていたしな。

逢魔トキ

…………

 

いいか?

 

どんなに意味がわからなくとも、「どういう事だ」と言うなよ。

 

……俺は

 

"俺はお前だ。"

逢魔トキ

…………ッ!

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……どういう事だ。

 

だから、言うんじゃねぇよ。

 

そこら辺、ちょっと口頭じゃ難しいんだ。

逢魔トキ

……?

 

あー。ええっと、じゃあ……

 

一周目での、この世界を覚えているか。

逢魔トキ

ああ、一人目が機械化で。

逢魔トキ

二人目が、俺によって死んで。

逢魔トキ

三人目が……。

逢魔トキ

……あれ。

逢魔トキ

おい、どういう事だ。これは……

逢魔トキ

それ以降の記憶がないぞ。

 

ああ、そうなんだよ。

 

それ以降は、お前には継げなかったみたいなんだ。

 

じゃあ、その後、

 

自分が、どう死んだかは?

 

覚えているか?

逢魔トキ

……わからない。

 

教えてやるよ。

 

お前はな、ストレスで死んだんだ。

逢魔トキ

……

 

一人目が機械化。

 

この時点で、お前にはかなりの精神的負荷があった。

 

まあ、転校してすぐの事だから、

 

当然っちゃ、当然だ。

 

そして、二人目は自らの手で。

 

自分で殺した。

 

これが堪えた。

 

今のお前ならば、自分では無く先生がやったのだと。

 

そう理解できるだろうが、当時わかるわけがない。

 

倫理観だとか、そういうところには厳しかった俺だ。

 

なんせ、医者になりたかったんだからな……。

 

…………

 

三人目は……

 

いや、これは……。

逢魔トキ

……なんだ。

逢魔トキ

ここまで来て、渋るか普通……?

 

なあ、体調は良好か。

逢魔トキ

……なんだ、いきなり。

逢魔トキ

まあ、割と元気だぞ。

 

……そうか。

"俺"を名乗る男は立ち上がり、

ボクの頭を両手で包むように掴んだ。

いや、正確には掴んでいない。触れていないのだ。

指先から火花が散る。

 

悪いな。

 

こればかりは、見たほうがいい。

 

……はぁはぁ

 

……はぁはぁはぁ

 

…………

逢魔トキ

なに……してんだよ

 

ああ、トキ

 

ほら、自殺した〇〇の身体

 

焼いちゃうの勿体ないなって……

 

俺、アイツのこと好きだったからさ

 

ほら、半身の肉が無いとは言っても

 

まだ使えそうだろ?

 

…………

 

……はぁはぁ

 

……はぁはぁはぁ

逢魔トキ

……どうしたんだよ

逢魔トキ

お前……

逢魔トキ

……なんで

 

……?

 

どうしたお前、様子がおかしいぞ

 

あ! まさか自殺した死体に同情してんのか?

 

まさかだよな!

 

だって、自殺だぞ自殺

 

 

……ッ

刹那、彼の首が飛んだ。

ボクの振った手の先には、いつの間にか斧があった。

 

……これは、

 

あの日の光景なのか。

先生

先生

2人目

逢魔トキ

……先生

先生

悪いな。

先生

君に単純な洗脳の効果は期待できないので、

先生

先に殺意を芽生えさせ、それを使わせてもらった。

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……は?

逢魔トキ

殺した……のか……?

逢魔トキ

この、俺が……?

逢魔トキ

……はは

逢魔トキ

流石に嘘だろ……

先生

いや、殺したよ。

先生

確かに、君が殺した。

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……俺が殺した

逢魔トキ

俺が殺した……のか……?

先生

だから、そう言っている。

先生

君が殺した。

逢魔トキ

そうか……

逢魔トキ

そうか……!

逢魔トキ

俺が……俺が……!

逢魔トキ

(ああ、殺したんだ。俺)

逢魔トキ

(人を殺しちまったんだ)

逢魔トキ

(でもさ、悪くないよな)

逢魔トキ

(別に……そうだよな)

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

(でも、殺したんだよな)

逢魔トキ

(人を殺した……)

逢魔トキ

(殺した……殺した……殺した……)

 

……ッ!

 

……トキ、君…………?

 

その……ごめん

 

声が……聞こえたから……

 

その……その…………

 

その………………

 

何が、あったんだ……?

 

なあ、その死体……

 

2つないか……?

 

なあ……

 

嘘だよなぁ……?

逢魔トキ

……嘘じゃない

逢魔トキ

マジなんだ

逢魔トキ

死んだよ

 

し、死んだってなんだよ……!

 

おぅっ……

女が両手で口を塞いだ。

しかし、間に合わず、胃酸を散らす。

あれを見た後だ。

本当に食欲が無かったんだろう。

 

まさか……

先生

【やれ】

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

…………ッ!

逢魔トキ

なに……吐いてんだよッ!!

 

ぶごぉめ……ッ!

女は焦り、吐きながら謝罪する。

しかし、間に合わなかった。

今回は横腹だった。

それも、力がうまく伝わらなかったため、

半分あたりで止まった。

出血が止まらない。

彼女の意識はしばらくあって、

ちゃんと死ねるまで、たくさん吐きながら苦しんでいたが、

このボクは、その悶絶する様さえ、楽しんでいるように見えた。

 

……ッ

 

……お前

 

何やって……

 

何やってんだよぉぉお!!

逢魔トキ

…………え

逢魔トキ

…………いや

逢魔トキ

…………え

逢魔トキ

俺が……殺した……?

 

ふざけんじゃねえぞ!!

逢魔トキ

…………

完全に放心したボクを男は殴る。

その力強く、その身体は大きく吹き飛んでいた。

逢魔トキ

…………

それでも、ボクに心は戻らないようだった。

男は続けて、頬を蹴る。

逢魔トキ

…………

馬乗りになり、胸ぐらを掴む。

男は叫んだ。しかし、ボクの目には何も映っていないようだ。

殴った。

殴った。

殴った。

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

(俺が……殺した……)

逢魔トキ

(心が、裂ける。)

逢魔トキ

(びり。びり。)

逢魔トキ

(びりりりり。)

逢魔トキ

(裂けていく。)

逢魔トキ

(びり、びり、びりりりり。)

逢魔トキ

(裂けていく。)

逢魔トキ

(びり。)

逢魔トキ

(りりりりりりりりりりりりり。。。。)

逢魔トキ

(裂ける。裂ける。裂ける。)

逢魔トキ

(裂け、るるるるるる)

逢魔トキ

(るるるるるるるるるるるるる)

逢魔トキ

(るるるるるるるるるるるるる)

逢魔トキ

(るるるるるるるるるるるるる)

逢魔トキ

るるるるるるるるるるるるる

逢魔トキ

…………

逢魔トキ

……るるるる。

 

…………何してんだ

 

…………何してんだ!

先生

やめてやってくれ。

 

……先生

先生

彼、もう死んでいるよ。

 

…………ッ!!

 

…………

 

……なんだ、

 

なんだこれ……。

 

頭……痛い……。

 

何が……起こってんだ……。

 

……ああ、

 

そうか、"俺"……

逢魔トキ

…………

 

…………

 

……どうだ。

 

思い出したか。

逢魔トキ

ああ、わかったよ。

逢魔トキ

俺が真に知るのは、君の正体でなく

逢魔トキ

ボクの正体だったんだね。

 

……。

 

あの日、お前は壊れた。

 

心に大きな亀裂が入った。

 

……なあ、今ならわかるんじゃないか。

 

なぜ、この世界での死が、現実での死に直結する。

逢魔トキ

……それは。

逢魔トキ

この世界での死が、心の死を意味するからだ。

逢魔トキ

心が死ぬ。

逢魔トキ

だから、現実で自殺してしまう。

逢魔トキ

……そういう事なんだろう。

 

そうだ。

 

だが、お前はこの世界で死んでも、現実で死なない。

 

だから、世界を繰り返してきた。

 

そうなった理由。

逢魔トキ

……。

 

お前は、あの日。

 

心が裂けてしまった。

 

通常、一つしかないはずの人格。

 

それが、二つに分かれた。

 

お前は、俺だ。

 

俺という主人格から生まれた、

 

もう一人の俺。

 

それが、俺とお前の正体。

 

……。

 

……ごめんな、辛い思いをさせてきてしまって。

逢魔トキ

……。

逢魔トキ

……いいんだ。

逢魔トキ

いいんだよ。

逢魔トキ

俺はそのために、生まれてきたんだろ。

逢魔トキ

君の心が死なないために、俺は生まれたんだ。

 

だが……。

 

……。

 

それは、あまりにも酷い……。

逢魔トキ

……そんな事ないよ。

逢魔トキ

そんな事、言わないでくれ。

逢魔トキ

俺はこうなる運命だったんだ。

逢魔トキ

……ずっと悩んでいたんだよ。

逢魔トキ

この世界が現実でない事だけは、確かにわかるのに、

逢魔トキ

どうにも俺には、現実の記憶が無い。

逢魔トキ

他の者たちもそうだし、そういうものなのだろうと……

逢魔トキ

そういう制限の掛けられた世界なのだろうと……

逢魔トキ

そう思っていた。

 

……。

 

……お前は、この世界にしか存在していない。

 

心が裂けてから、この世界に存在を縛られている……。

逢魔トキ

……やっぱりか。

逢魔トキ

そして、この世界はそろそろ終わる。

逢魔トキ

そうなると、俺は……

 

主人格である俺と統合し、

 

……消える、だろうな。

逢魔トキ

……はぁ。

逢魔トキ

わるい、やっぱり辛いかも。

 

……無理もないさ。

逢魔トキ

でも、俺……

逢魔トキ

行かなきゃならない。

 

……ああ。

逢魔トキ

約束……したんだ。

逢魔トキ

誓ったんだ。

逢魔トキ

……必ず守るって。

逢魔トキ

俺が生まれた意味が、お前のためならば。

逢魔トキ

俺の生きる意味は、彼女がためにある。

 

……好き、なんだもんな。

逢魔トキ

……いや。

逢魔トキ

恋とか、よくわかんないから……。

 

……ふっ。

 

まだ、そんな事言っているのか……。

 

だが……こうやって見ると、

 

お前は、しっかりお前だな。

逢魔トキ

……?

 

俺とは違うってことさ。

逢魔トキ

……ああ、そういう。

逢魔トキ

……ふっ。

逢魔トキ

笑いのツボは結構近いかもな。

 

なあ、俺よ。

 

お前は嫌がるかもしれないが、一つ提案がある。

逢魔トキ

……。

 

少し複雑な事をいうが、俺自身は正確には主人格でない。

 

ほら、向こうにもいただろう。

 

上位者の言葉だけを借りる、中継機ってやつが。

 

実は、あれと近い。

 

主人格自体はこの世界に入れないため、

 

分離蛸を介して、会話をしている。

 

俺は厳密には、分離蛸なんだ。

逢魔トキ

……それが、その提案とやらに、どう繋がる。

 

簡単なことさ。

 

俺は、お前で……

 

お前は、俺だ。

夕焼けに殺される

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