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ゼッタイテキ

3 - episode three

♥

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2025年08月19日

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注意 二次創作 捏造多め

episode three

10877

DAY1 2017年8月4日 AM11:15

🍌

…ねぇ、君

??

何?

古びた学生服を身に纏い、眼鏡を掛けている男の子。

🍌

君は…誰?

??

僕は…ーーだよ。

🍌

へぇ、ーー。

🍌

いい名前してるね。

君は笑顔を見せた。 可愛くて明るい笑顔。

??

じゃぁ…そっちの名前は?

🍌

あ、俺?

🍌

俺はね、おんりー。

??

おんりー?

🍌

うん。よろしくね

君は教室の窓辺に腰掛けている。

空は明るく、陽射しが教室に差し込んでいる。

君はそれを愛おしそうに見つめている。

🍌

ーーは今何年生?

??

中学3年生。

🍌

じゃ、俺と同学年か。

🍌

俺も中学3年生。

この子は、同い年にしては僕よりも身長が結構低い。 160㎝位だろうか。細身で、力は弱そうだ。

??

学校は何処なの?制服、僕達と違うじゃん。

🍌

市立第一中学校だよ?

この子と学校が同じ? 制服が違うのに?

🍌

制服…最近変わったらしいんだ。

??

へぇ…そうなんだ…

それでもよくわからない。 何故制服が違う?同じ服を着ればいいのに。 それに、君は長袖を着ている。 暑い時期に、そんなのでいいのだろうか。

🍌

まぁまぁ、あまり細かいことは気にしないでよ。

🍌

君はなんでこんなに暑い日に此処に居るの?

??

家は誰もいなくて寂しいからね。

🍌

…ふーん。

訊いておきながら、どうでもよさそうな返事をしてくる。 君は初めて僕と目を合わせた。

🍌

ぁ、一つ頼みがあるんだけどさ。

??

何?

🍌

一緒に遊ぼうよ

??

遊ぶ?どうして急に?

🍌

…そういう気分なの。

??

まぁ、偶には受験勉強の息抜きになるし…いいよ

??

おんりーが鬼から始めよう

🍌

じゃ、10秒待つからーーは逃げて〜

鬼ごっこ… 小学生ぶりだろうか。 懐かしいな、この遊び。

校庭の端まで走って逃げる。 体力や運動神経は悪くはないが、良くもない。

🍌

始め〜

そう言うと、君は全速力で追いかけてきた。

逃げようとしても、動きを読まれて難しい。

こっちも全速力で逃げるが、脚力が高く、速い君には勝てない。

🍌

はい、ーータッチ〜

??

…もう、おんりー強いね…

息を切らしてしまう。

🍌

じゃ、逃げるから10秒数えて〜

でもなんだろ。 こんなくだらない遊びを少しやっただけだけれど。

楽しいな、これ。

DAY1 2017年8月4日 PM4:30

??

疲れたぁ…

🍌

はは、この位で疲れるなんて、ーーは体力ないね…

君は息を切らすことなく、飄々としている。 この子は見た目に反して凄く体力がある。

??

どうして君はそんなに体力があるの?

そうやって訊くと、君は俯いて黙った。

🍌

🍌

体力が無かったら…話にならかったから。

話にならない?

どうして?

気になるけれど、時間が時間だから、早く家に帰って勉強しなければいけない。

??

やばっ、もうこんな時間‼︎
じゃあね、おんりー。

🍌

うん、またね。

椅子から立ち上がり、走って教室を出た。

🍌

ーーと遊ぶの楽しかったな

🍌

俺も、生きてあんな事したかったなぁ。

🍌

友達と、もっと遊びたかったなぁ。

涙が止まらなかった。

男が泣くなとか、今は言われないらしいし。

いいよね、偶には弱音吐いて泣いても。

🍌

死にたく、なかったな。

家に帰りたくないなぁ。

夕焼けを見つめながら、重い足を動かす。

今日は少し、遠回りしようかなぁ。

校庭をわざわざ一周して、門へと向かう。

校庭の隅に、何かある。

??

これ…慰霊碑?

そこには、1945年8月6日に広島市に落とされた原爆で、沢山の生徒が亡くなった、と書いてある。

亡くなった人の名前と年齢が、分かる範囲では全て石碑に彫られているらしい。

その人達の名前を見る。

その中に、一つだけ、知っている名前が書いてあった。

「おんりー 十四」

おんりーは、死んでいる?

あのおんりーが?そんなまさか。

そんなまさか。

DAY3 2017年8月6日 AM8:14

??

おんりー、おはよう…

平和の鐘の音が街に鳴り響いた。

君は何も答えない。 黙って目を瞑っている。

僕も横で目を瞑り、黙祷をする。

平和の鐘の音が止み、時計は8時16分を指した。

🍌

今日は産業奨励館の方で平和記念式典があるらしいよ

??

…そうだね、今日は…

広島市に原爆が落とされてから71年が経った日だから。

??

おんりー…あのさ。

🍌

何?

??

おんりー、死んじゃったの?

🍌

…何、急に

??

おんりーの名前が…校庭の慰霊碑に彫られていたから

🍌

…そうだよ

??

おんりー…

🍌

俺は…あの日、このあたりで被曝して…

🍌

その後、死んだ。

君は悲しそうな顔をしている。

🍌

幽霊になって、ずっと…この学校を見てきたけど。

🍌

今の子達は…楽しそう。

🍌

俺も…勉強したり、遊んだりしたかった。

🍌

全部全部、できなかったから…

君は涙を流している。

🍌

もっと生きたかった…

🍌

ひとりはもう嫌だな…

??

おんりーはもう…

??

独りぼっちじゃないよ。

そう言うと、君は声をあげて泣き出した。

曇り空は少しずつ晴れていく。 光が差し込み、僕らが居る屋上が、光に照らされる。

涼しい風が吹き、僕の髪が靡く。

🍌

ーー…ありがとう。

🍌

俺はこれでやっと…

君は、泣き笑いのような顔を浮かべた。

🍌

あの世にいけるよ。

君の身体が透けていく。

🍌

今までありがとう、何回も何回も繰り返してまで、こんな俺を助けてくれて。

🍌

ばいばい、ーー。

??

おんりー‼︎

??

来世は…っ‼︎

??

来世は、絶対幸せに生きろよ…

最期にそう言うと、君はにっこりと笑って、口を動かした。

「君のおかげで幸せだよ。」 って。

complete the game!

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