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エーミールが眠ってから 3年が経過した

わたしは高校生になった

最近では雪も降り始めた

冬が過ぎれば春がくる

春がきたら…エーミールは4年眠り続けていることになる

美晴

エーミール…

美晴

エーミールと一緒に大人になりたいよ…

静かに眠るエーミールの手を優しく握った

事故の直後、1週間ほどは集中治療室にいたが

すぐに普通の病室に移された

美晴

エーミール、見て

美晴

外は雪が降ってるよ

美晴

…ねえ

エミママ

美晴ちゃん

後ろから声が聞こえた

エーミールのお母さんが日本に帰ってきていたのだ

美晴

美晴

おばさん、久しぶりだね

久しぶりに見たエーミールのお母さんはやせ細っていて、表情も暗かった

エミママ

ごめんなさいね、美晴ちゃん

エミママ

エーミールがこんな状況なのに日本に帰ることが出来なかったの

美晴

大丈夫よおばさん

美晴

エーミールは私たちが見てたから

エミママ

…そう

エミママ

美晴ちゃんは、この3年で変わったわね

美晴

え?

エミママ

でも…おばさんは変われない

エミママ

海外で、夫と治療法を探してたわ

エミママ

今までずっと…

エミママ

だけど見つからなかった

エミママ

…見つからなかったのよ…っ

美晴

…おばさん

美晴

きっとエーミールは喜んでると思うよ

美晴

お母さんが会いに来てくれたんだもん

美晴

だから泣かないで…おばさん

エミママ

う、うぅ…ぅっ

美晴

泣か、ないで…

その後、お母さんが来てくれておばさんと話をしに行った

久々に見たおばさんを見た瞬間

あぁ…エーミールだって思った

エーミールはおばさんによく似ていた

だからおばさんが泣いていると

…エーミールが泣いてるみたいだった

美晴

ここ…なつかしい

幼い頃、よく2人で遊んだ花畑に来ていた

滅多に人が来ない、2人の秘密基地

何年経っても変わらないこの場所は 心地がいい

美晴

こっちはマーガレット…

美晴

あれはアネモネ

美晴

あれは…

美晴

なんだったかなぁ

3年も聞いていないエーミールの花の話

もしこの場にエーミールがいたら…

教えてくれたのに…

パンジーだよ

美晴

いつの間にか私の横に誰かが座っていた

印象的なのは

緑のネクタイに茶色のベストを着て先生のような格好の男の人

20代くらいの大人びている人がいた

ここ、綺麗やな

本読むのに、ここが1番最適やったから来てたけど

客がおったみたいや

美晴

…すみません

美晴

お邪魔しちゃって

あぁええよええよ

てか君、学生やろ?

今日は平日やし、はよ学校行きや

美晴

行きたいんですけど、えっと…

美晴

行く気分じゃない…っていうか

サボり?

美晴

…まぁ

ははっ!

じゃあサボるならここじゃなくて街のほうに行こうや

そう行って、男の人は私の腕を引っ張っていった

美晴

えっ、えぇ?

初めて会った人について行くなんて 本当はダメな事だし驚いたけど

美晴

でも

不思議と嫌じゃなかった

美晴

あ、あの…!

美晴

どこに行くんですか

ん〜どこ行こうかな

じゃあ飯食いに行こうや

俺、朝飯まだやから

そう言ってフラーっと寄ったオシャレなカフェに入った

オシャレなカフェの中は木造建築で かすかに木の匂いがした

そこにフワッとコーヒーの匂いがして 新鮮な気持ちになった

お店の中は客は少なく、静かで雰囲気がいい

ここに座ろか

と、言われるがままに座った

なんか食べる?

美晴

あ、私食べてきたんで…

美晴

温かいココアを

ん、おっけー

店員さーん

良かったのかな…

知らない人について行ったりしちゃって

そんなことを考えていると注文していたものが運ばれてきた

美晴

…パンですか?

そーやで

俺、朝はパンって決めてるから!

美晴

パンってお腹すきません?

何枚も食べればいい話やろ

美晴

ご飯の方がお腹にたまるし美味しいですよ

はあぁ?

絶対パンだわ

と、そんなやり取りをして

お店を出た

美晴

すみません

美晴

奢ってもらっちゃって…

気にすんなって

あ、図書館寄っていい?

朝読もうとしてた本、今日が期限なの忘れてたわ

美晴

はい

美晴

いいですよ

美晴

図書館なんて久しぶり…

本は良いで

色んな知識が身に付くしな〜

美晴

はあ、そうですか

本、か

高校生になって読まなくなった

昔は、エーミールがよくオススメしてくれてたっけ

試しにふと手に取った本を読んでみると…

美晴

あ、この本…

前にエーミールが読んでた本だ

チラッとしか見えなかったけど…覚えてる

なつかしい…

夢中でページをめくっていると、 正午を示すチャイムがなった

美晴

もうお昼か…

本読んでると時間、あっという間やろ?

おっ、その本懐かしいわ

美晴

美晴

知ってるんですか?!

あぁ読んだことあるから

美晴

あなたは本が好きなんだ…

そうや

本読むと頭良くなった気分なるし!

美晴

ぷっ

美晴

能天気なんですね

失礼やな〜

美晴

あはは

君、やっと笑ったな

今、私…

笑った

エーミールが眠ってから、笑うことはなかった

でも…笑えた

笑えたよ、エーミール

知らない人だけど安心感もあって

笑わせてくれる、優しい人

今日は、君と出かけた日。

{wrwrd}君と、最初で最後の日。

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コメント

2

ユーザー

やばい、マジで番外編だけで作品出してくれるとか神ですか? すいません、神でした…(?) エミさんの頭良くなった気分になるみたいなところ可愛いすぎませんか??可愛すぎて最高です…() 最後の人マジでエミさんなんですかね…? 幻覚…?ではないことを願いますね…! 今回もとっても面白かったです!!!次回で最後だと思うと悲しいですが!明日来るということはめっちゃ嬉しいです! 楽しみに待ってます!

ユーザー

次回で番外編終わります! 明日更新いたします😊

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